ANCNOC 18Yo. 46% Official Bottle
評価: ★★★ Recommend!
CP: ☆☆☆ – ☆☆☆☆
価格: ★ – ★☆
ボトル紹介
上級品の入り口にあたる18年。12年とはスペックが何もかも違います。
ノックデュー蒸留所のシングルモルト、アンノック18年です。
アンノックはオフィシャルボトルのラインナップが非常に豊富ですが、12年を入門編とするなら、上級品の入り口にあたるボトルがこの18年です。
12年と比べて熟成年数が伸びているのは勿論ですがそれだけでなく、度数と構成原酒(樽種)というシングルモルトの味わいに直結する基本的な要素が何もかも異なります。
アンノック12年は40%加水調整ですが、アンノック18年は46%加水調整と飲み応えのある仕上がり。
原酒構成も12年がバーボンカスク熟成原酒のみで仕上げられているのに対して、18年はスパニッシュオークのシェリーカスクとアメリカンオークのバーボンカスクで熟成された原酒が使われています。
こうやってスペックだけ見ても「美味そうだな」と思っちゃいますね。
ちなみにアンノック18年より更に上級品の22年や24年も、特にウイスキーを飲み慣れたモルト愛好家からの人気は根強いです。
アンノックの国内正規輸入元は三陽物産株式会社ですが、同社を介さない並行輸入品も一定量出回っています。並行輸入品は価格面にばらつきはあるものの正規輸入品の3割引から5割引程度で売られていることが多く、米国回りで輸入されるものは容量が750ml(欧州向けや国内正規は700ml)であったりと、正規輸入品と比べてお得な点が多いのが実情だったりします。
テイスティング
家で飲むならこういうのがちょうどいい。麦芽感好きに一推しなシングルモルト。
穏やか過ぎるほどの穏やかさが持ち味だったアンノック12年と比べると、18年はまさにスペック通りに味わい全ての面で上位互換となっています。
加水調整ながら46%という高めの度数と18年という熟成年数は、この蒸留所の原酒の持つハイランドモルトらしい麦芽の旨味を十分に引き立たせていて、香味構成の中核となっています。
そこにバーボン樽由来のバニラやオレンジを思わせるウイスキー好きにはお馴染みの香味、更にはうっすらとプラムやレーズンを思わせるシェリー樽由来の甘さ、ミントのニュアンスなども折り重なり、きっちりと複雑です。ピートは基本的に感じられません。
フルーツ香よりは麦芽の旨味を楽しむ香味構成となっている点も、シングルモルトを飲み慣れた愛好家の琴線に触れているのでしょう。
更に付け加えるなら、暑くなるこれからの時期に向けてハイボールで飲んでも最高なボトルです、やや贅沢な使い方かも知れませんが。飲み方を選ばないところも素晴らしいです。
こういうボトルを安く買えたらラッキーですね。問題なくRecommendです。
飲み比べで面白いボトルとしては、同じ度数と同じ熟成年数ながら味わいの系統が全く異なる「アラン18年」はどうでしょうか。
「10000円以下で良質なシェリー感が楽しめる自宅向きのシングルモルト」部門で覇権を握ったアラン18年ですが、今回のアンノック18年も、並行輸入品で安いボトルを見つけた場合という条件付きにはなりますが「1万円以下で良質な麦芽感を楽しめる自宅向きのシングルモルト」部門での覇権候補の一本だと思います。
また、以前投稿した「アンノック12年」の記事にはノックデュー蒸留所の簡単な沿革や、なぜ蒸留所名をボトルの名前にしなかったか、などについて書いています。
12年と18年は味わいの雰囲気には共通項もあれば違いもありますので、良かったら参考にテイスティングノートを見比べてみてください。(今見返してみると12年のテイスティングノートは若干香味を取りすぎているきらいがあります)
テイスティングノート
香り:
穏やかに始まり、ゆっくりと強くなる。熟成感を伴う麦芽の旨味とバーボンバレルの樽感が主体で、そこにシェリー樽由来と思われる甘さや微かなミントの印象も加わり、一定以上に複雑。ザラメ砂糖、べっこう飴、バニラ、蜂蜜、オレンジ。続いて弱いプラム、レーズン。ウッディネスは比較的しっかりしているが嫌味ではない。弱いミントのニュアンスとグラッシーさも。
味わい:
口当たりは度数相当で、ある程度の飲み応えを保っている。樽材由来のウッディネスはやや強くなり、スパイス感も。ローストした麦芽の熟成感、蜂蜜、弱いレーズン、弱いバニラ、ほんのり樹液の印象、ボディは中程度からやや厚め。
余韻:
味わいから継ぎ目なく移行し、白胡椒を思わせるスパイス感、オレンジマーマレードの苦味と甘さ、程良いウッディネス、麦芽の甘味と、多彩な要素を引き継ぐ。余韻の長さは比較的長い。