Home 01:スペイサイド地域 ベンロマック 21年 43%:オフィシャルスタンダード最長熟。まさに上質な複雑さ。古酒感あるシェリー、熟したフルーツ、そこに溶け込む内陸ピート。10年や15年との飲み比べを強くオススメします。

ベンロマック 21年 43%:オフィシャルスタンダード最長熟。まさに上質な複雑さ。古酒感あるシェリー、熟したフルーツ、そこに溶け込む内陸ピート。10年や15年との飲み比べを強くオススメします。

0

BENROMACH 21Y. 43% OB

評価:★★★☆ Recommend!

CP:☆☆☆

価格:★★☆

ボトル紹介

2020年初登場、ベンロマックのオフィシャルスタンダード最長熟ボトル。

全宇宙100兆人のベンロマックファンの皆様、お待たせしました。

ニューリリースとなるベンロマックのオフィシャルボトル、21年熟成です。

超老舗ボトラーズのゴードン&マクファイル社がオーナーになってからは特に躍進目覚ましいベンロマック蒸留所のオフィシャルスタンダードボトル(限定品ではないボトル)の、現時点で最も熟成の長いボトルになります。

初リリースは2020年でしたが、国内には2021年2月に入ってきました。ただし初回輸入は180本とかなり少数だったため、量販店ではなくウイスキー専門店を中心に卸されているようです。

ベンロマック好きを公言して憚らない私、個人的にとても楽しみにしていたボトルだったので、もちろんお買い上げの上、自宅抜栓となりました!

もちろんバーでもテイスティングさせていただいています!

テイスティング

上質。熟成により更に深まった香味の渾然一体感、溶け込むピート。水平飲みが超オススメなので、10年と15年の香味も合わせて紹介します。

21年の香味を一言で言うなら「上質な複雑さ」です。

ベンロマックは基本的にバランス型で複雑なシングルモルトですが、熟成が伸びるに従って香味の複雑さと多層性が更に増していきます。

10年、15年、21年を飲み比べる(水平飲みと言います)と見えてくる部分がとても多いので、あらためてベンロマック10年と15年の香味についても触れたいと思います。

ベンロマック10年の特徴:比較的はっきりとした各香味要素、柑橘フルーツのキャッチーさ

10年は、バランス型のシングルモルトであるベンロマックの中でも一つ一つの香味要素が比較的はっきりとしているのが特徴です。ピート香は燻製ベーコンのようにしっかりとした印象で、同時に現れる柑橘系のフルーティーさは要素としてキャッチーです。麦芽香は多少荒削りではあるものの熟成年数相当に溌剌としています。シェリーカスクの影響は寄り添う程度にとどまります。

ベンロマック10年 43% 新ボトル(2020年〜)

ベンロマック15年の特徴:厚みを増したフルーツ香、穏やかなピート香、原料由来の香味と熟成感、良いとこ取り

15年は、シェリーカスクの影響で10年よりもフルーツ香の厚みが増していること、加えて熟成によって香味全体がより複雑かつ多層的となっているのが特徴です。各要素の特徴を残しつつ一部が溶け合うように再調整された香味バランスで、フルーツ香には柑橘だけでなくレーズンやプルーンも感じられます。麦芽香は溌剌さを残しつつ熟成感もまとっていて、簡単に言うと「原料由来の香味と熟成感の良いとこ取り」とも言えるかも知れません。ピート香は10年と比べて弱くなっています。

ベンロマック 15年 43% OB 新ラベル

ベンロマック21年の特徴:超バランス型、香味要素が溶け合った重厚な複雑さと多層性、上質なシェリー感、通奏低音のような内陸ピート

そして21年はというと、更に伸びた熟成により、それぞれの香味要素はますます磨き上げられ、分かち難く溶け合い、香味バランスの複雑さと多層性は更に深まっています。そしてピートは芯の部分を残すのみです。

まさに「超バランス型の香味構成」と言えるでしょう。香味のどれか一つがキャッチーであるというボトルではありません。特に10年と飲み比べてみるとこの傾向は顕著だと思います。

シェリーカスク由来の香味は存在感を増していて、15年ではうっすらとしか感じられなかった往年のGM社のボトルにあるような古酒感が、21年では明確に感じられます。

麦芽感は長い熟成期間によってフルーツ香の中に渾然一体として溶けていて、それによりフルーツ香の主体は柑橘ではなく、アプリコット、洋梨のコンポート、アップルパイというような複合的でより熟した印象をまとっています。

ピート香も、10年、15年と比べて大きく変化しています。香りの段階ではほとんど主張せず(10年と比べてみてください)、口に含んでから余韻にかけても、いわゆる燻製のような香味はほとんど感じられません。残るのは煙のような、もしくは樽の内側を焦がしたような印象(スモーキー)で、それが香味全体を下支えするようになっています。10年、15年との飲み比べをすることで「内陸ピートは熟成を経ると、このように変わっていく」ということが体験できるのではないかと思います。

15年もなかなかだと思いましたが、この21年はまさにGM社が目指した「オールドスタイルのスペイサイドモルト」を体現しているような香味バランスで、ゆっくりと時間をかけて飲む価値のあるシングルモルトだと思います。飲めば飲むほどに味わい深さが分かる仕上がりです。

何も考えずともストレスなく美味しく飲めてしまうボトルでありながら、香味を紐解こうとするとかなり深くまで紐解くことができてしまう。

こうした絶妙な香味バランスは、数あるオフィシャルスタンダードの現行ボトルの中にあっても非常に秀逸だと思います。文句なくRecommendできます。現行ボトルでこの香味バランスは純粋に素晴らしいです。

CPの評価を高くできなかったのは、どうしても価格が高めなことの他、一体感が香味の主体なので香味分解がそこそこできる飲み手でないと特徴が掴めずに「よく分からんが、ただ美味しい」で終わってしまうかも知れないことが理由です。つまりキャッチーな印象に欠けるぶん、10年や15年と比べると少しだけ難しいお酒なのです。

しかしこの「よく分からんが、ただ美味しい」と思えるお酒であるということは凄いことで、それだけで十分なんだということは声を大にしてお伝えしたいです。

願わくば、こういうボトルが国内の飲み手に広く受け入れられるような日本のウイスキーシーンであれ!みたいなことを、割と強く、かつ切実に思ったりしてます。

テイスティングノート

香り:

穏やかに始まるが、甘く複雑な香り立ち。カラメルのような甘さの後から、麦芽の熟成感、レーズン、ほんのりとプラムやプルーン、オレンジジャム、アプリコット、林檎や洋梨のコンポート、微かにカカオ、ミルクチョコレートなどが渾然一体として現れてくる。非常に上質。

味わい:

滑らかな口当たりで引っ掛かりがない。心地良いオーキーさ、ミルクチョコレート、古酒感を伴うシェリー、渾然一体とした甘い麦芽感、奥から樽の内側を焦がしたような仄かに煙のニュアンスを感じるピート香が立ち現れ、味わい全体を下支えするように引き締める。香味要素が多彩で、加水にも関わらずボディは厚い。

余韻:

味わいの要素全体を引き継ぎつつ、樽由来の収斂が心地良く現れる。麦芽の熟成感、オレンジマーマレード、ほんのりココアパウダー、アマレットも。長い余韻。

Exit mobile version