マルスモルテージ3+25, 28年 46%

マルスが放った会心の一撃。長熟ジャパニーズだけが纏うことのできる独特で深みのある樽香、そして味わい。

MARS MALTAGE 3 plus 25, Pure Malt Whisky 28Y. 46%


評価:★★★★

CP:NR(もしくは☆☆☆☆☆)

価格:NR(当時価格★★★)


ボトル紹介

目次

マルスウイスキーの名を世界に知らしめた記念碑的作品

マルスモルテージ3+25は2012年に発売され、マルスウイスキーの名を一躍世界に知らしめた記念碑的な名品です。

熟成年数28年を3+25とわざわざ書いているのには理由があり、これは以前マルスウイスキーが鹿児島と山梨の二箇所で蒸溜していた3年熟成の原酒を、現在の長野県にある駒ケ岳蒸溜所に移して25年熟成したものだからです(裏ラベル参照)。そのため単一蒸溜所で熟成された原酒同士を混ぜたものではなく、ブレンデッドモルトということになります。

このマルスモルテージ3+25には3種類のボトルが存在しています。1stボトルはネック部分に何もシールが貼られていないもの、2ndボトルはIWSC2012シルバーメダル受賞のシールが貼られているもの、3rdボトルはWWA2012ゴールドメダル受賞のシールが貼られているものです。ただし1stボトルと2ndボトルは同一ロットの可能性があるようです。

マルスウイスキーが国際的なコンペティションを受賞した初のボトルであり、それによりマルスは一躍有名になりました。現在は駒ヶ岳蒸留所のポットスチル新しくなり、鹿児島の旧蒸溜所跡地には津貫蒸溜所が建てられ、新しいジャパニーズウイスキーが作られています。

このボトルを抜栓した日は2018年7月3日です。何で覚えているかというと、昨年のサッカーワールドカップ決勝トーナメント、日本vsベルギー戦で日本の勝利を願って自宅で抜栓したボトルだったからです。

抜栓したらすぐに3点入れられたんですけど、それは僕のせいじゃないと今でも強く信じてますので!でも今思い出しても本当に感動的な試合でしたよね!


テイスティング

ため息が出るほど美しい。マルスの放った会心の一本

正直に話しますが、抜栓直後も美味しいといえば美味しいウイスキーだったのですが樽香が強すぎる印象で、セメダインのような有機溶剤香が残るボトルでした。なのでしばらく放置していました。

そして抜栓後一年以上が経過した今、こうしてあらためて飲んでいるわけですが、もう、なんて言いますか、ため息が出るほど美しいジャパニーズウイスキーです。

加水ボトル(それでも46%はあるんですが)でありながら、非常に香味が厚いです。特に樽由来であろうフルーツ香とバニラのような甘さが盛大で、フルーツ香には完熟メロンの他、様々な香味を取ることができるのではと思います。

樽由来の香味が力強いため麦芽の熟成感は控えめですが、それも最初だけ。飲み進めるにつれてどんどんと広がりを見せ、味わいから余韻にかけて明確になっていきます。それによって樽香、フルーツ香、麦芽香が複雑に絡み合い、渾然一体となった余韻は非常に秀逸だと思います。

このボトルに見られるような力強い樽香に熟成感が合わさった独特の樽香は長熟ジャパニーズウイスキーに特徴的なもので、本場スコットランドの長熟ウイスキーでは出せない味わいなのではないかと思います。

マルスウイスキーが放った会心の一撃であり、今のところ唯一無二の味わいを持つボトルなのかも知れません。


テイスティングノート

香り:

しっかりとした香り立ち。ドライフルーツやフルーツの盛り合わせを思わせる甘く濃密な香りが先行し、複雑で、時間経過で徐々に渾然一体としてくる。完熟メロン、オレンジ、バニラアイスクリーム。その他にもフルーツ要素は多彩。樽由来の溶剤や生木の香りがまだ僅かに感じられるが熟成感が勝り、ウッディネスに独特の深みを与える(ジャパニーズウイスキーの長期熟成原酒に見られる独特の樽感)。ウッディネスの背後から麦芽の熟成感がゆっくりと立ち上がり、徐々にしっかりとしてくる。

味わい:

口当たりは度数相当。味わいは香り以上に濃密。メロンを思わせる甘さが凝縮し、バニラ、オランジェット、ミルクチョコレートも。甘いウッディネス、収斂は穏やか。麦芽の熟成感が少しずつ前に出てくる。ボディは厚い。

余韻:

変化に富み、香味要素が継ぎ目なく入れ替わる。暖かく長い。フルーツ香に凝縮感が現れ、これまで優勢だった樽由来の甘さと徐々に入れ替わる。それに伴って熟成感のある麦芽の甘く複雑な香味が前に出てくる。最後は僅かなドライさと乾いた木材を思わせる穏やかな収斂。非常に心地良い。

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