価格ベースで考えても非常に美味しい。独特の個性。

BEN NEVIS 10Y. 43% OB
評価:★★☆ Recommend!
CP:☆☆☆☆☆
価格:☆
ボトル紹介
アサヒビール株式会社正規輸入。ニッカ所有のスコッチシングルモルト
シングルモルトウイスキーの本場スコットランド最高峰であるネヴィス山(ゲール語でBENは「山」という意味)。その麓にあり、その名を取った蒸留所がベンネヴィスです。
1989年に日本のニッカ所有の蒸留所となったのは有名で、このボトルはニッカの親会社であるアサヒビールが日本国内に正規輸入したボトルです。オフィシャルボトルとしてはもっともスタンダードなラインナップになります。というか、国内に正規で輸入されているベンネヴィスはこれが唯一のボトルです。
また、国内では特にアナウンスされていませんが、英国で発売されている「Malt Whisky Year Book」という書籍にはベンネヴィスの原酒はブレンド用として日本国内に輸出されているという明確な記述があります。それに対してニッカおよびアサヒビールはイエスともノーとも言っていませんが、裏を返すと、とりあえず国内で発売されているニッカのブレンデッドウイスキーにはベンネヴィスの原酒が使用されていると考えて差し支えないだろうと私は思っています(というか販売量を考えてもそれ以外の可能性が考えられないです)。
その意味で、実は日本のウイスキー飲みにとっては馴染みが薄いかも知れないものの、味わいとしてはかなり馴染み深い蒸留所であり、シングルモルトなのが、今回紹介するベンネヴィスというシングルモルトです、と、紹介しておこうと思います。
テイスティング
個性的、かつ、家飲み候補としても最右翼の一つ。
ベンネヴィス10年は、同価格帯のボトルであるグレンフィデック12年、グレンモーレンジ10年、アラン10年などと比べても遜色のない出来栄えの、家飲み候補の一角になり得る、高コスパの良ボトルだと思います。
「ケミカルな」と表現されることの多い独特のフルーティーさが特徴で、これは少なくともハイランド地方の他のシングルモルトにはあまり見られない個性です。加えて、ややワクシーなのも個性の一つだと言えるでしょう。発酵に現在一般的なディスティラリー酵母ではなく、エールビール酵母を使用していることと関係があるのでしょうか。
そして個性的なだけでなく、一般的にネガティブだと捉えられがちな要素の少ない優等生的な一面も持ち合わせています。
熟成感は年数相当とはいえ、麦芽感には未熟な印象がなく、ワクシーな個性のおかげか味わいでも比較的ボディが保たれています。またドライさが強過ぎることもなければニガリのようなネガティブな香味もなく、加水で均された飲み口も滑らかです。
価格ベースで考えて十分に美味しいだけでなく、「ケミカルなフルーティーさ」は現在のウイスキードリンカーには十分に認知され、かつ受け入れられている香味だと思われるので、このボトルの個性に相当する部分に苦手意識がなければ、家で抱えても困ることのない優良ボトルだろうと思います。
こういうボトルは積極的にRecommend!していきたいです。
個人的には是非ともアラン10年、グレンモーレンジ10年、グレンフィデック12年と飲み比べてみて、どこに自身の好みがあるのか探ってみてほしいシングルモルトです。
今回の記事を書くにあたって、同ボトルを紹介している「くりりんのウイスキー置き場」の記事は非常に参考になりました。私の記事から遡ること2年前にベンネヴィス10年の美味しさに言及している記事です。
…多分この時の持ち寄り会には私も参加していた気がします(笑)
個人的に、同記事でボディを表わす言葉として使われた「蓄積してくる」という表現は、非常に適切な表現だと感じました。
皆さんはどう感じるでしょうか。
テイスティングノート
香り:
穏やかな香り立ちで、独特の甘さがある。やや合成甘味料のようなケミカルな印象のあるフルーツ香。りんご飴、パイン飴、駄菓子屋のゼリー。少しのワクシーさ、熟成年数以上に溌剌とした麦芽香、乳酸。時間を置くとややワクシーさが立ってきて、麦芽香に徐々にもっさりとした重い印象が加わる。
味わい:
口当たりは軽く、度数相当もしくはもう少し低い印象。ワクシーさのある麦芽の甘みと乳酸を思わせる甘酸っぱさが少し強くなるが、香りの要素を素直に伸ばした印象。駄菓子屋のゼリー、酸化した林檎。熟成感は年数相当。ボディは中程度。
余韻:
味わいを引き継ぎ、その後に穏やかなドライさが現れる。余韻はあまり長くない。ややワクシーな口残り。
[…] これがもし定価の5000円で買えたとしてですよ?今僕が5000円持ってたらグレンモーレンジ10年とかベンネヴィス10年とかタリスカー10年とかを買って、お釣りで玉ねぎと挽肉とカレールーを買って、次の日にカレーを作ります。アラン10年とかアンノック12年を買っても同じことをします。ジャパニーズに限定するなら竹鶴ピュアモルトを買って、お釣りでニンニクと唐辛子とパスタを買って、次の日にペペロンチーノを作りますね。ちなみにですが、もし万が一30000円持ってたら一人で高い鮨を食べて、この年末を乗り切るための活力にします。 […]