当初は少しサルファリーだった気がするが、徐々に抜けて色々馴染んだ気がする。
BOWMORE 1995-2013, 17Y. 53.6% Kingsury GOLD
Sherry Butt
545 bottles.
評価:★★★
CP:☆☆☆☆
価格:★
ボトル紹介
ボトル紹介
KB GOLDから。90年代ボウモアのリリースが相次いだ当時はあまり話題にならなかった。
ボトラーのキングスバリーから、カスクストレングスでボトリングされる「GOLD」シリーズの1995年蒸留ボウモアです。
シェリーバット熟成の17年もので、記載はないもののおそらくファーストフィルシェリーバットではないかと思います。
ボトリング本数が多かったため、リリース当時にバーなどで飲んだ方は多かったと思います。しかし、当時は特に話題になりませんでした。シングルモルトは毎年新しいボトルが数限りなくリリースされるため、話題のボトルもあれば話題にならないボトルもあるのは仕方のないことです。
ただ、1万円以下という当時の流通価格は、今考えればヴィンテージ的に破格だったと言えるかも知れません。
テイスティング
テイスティング
香味にまとまりが出てきた。フルーティーさと醤油やバルサミコ酢のようなシェリー感。
購入したのは発売直後、自宅で抜栓したのも発売直後なこのボトルですが、現時点であらためて飲んでみると、結構良さが見えてくるボトルかなと思います(変わったのがボトルなのか自分なのかは分からないにしても)。
抜栓当時はサルファリーな要素が強かった印象がありましたが、あらためて飲んでみると現時点でサルファリーな要素はだいぶ薄らぎ、フルーティーさの感じられる90年代ボウモアらしい味わいになってきていると思います。
特に静置しておくとシェリーカスク由来のレーズンやジャム感の後からグレープフルーツや少しですが桃の印象を感じました。しっかりと「桃!」っていう感じではないですが。スワリングするとまだシェリーカスクの印象が強くなります。
味わいのバランスも特に文句の出る感じではないかと思います。
少しずつ主張し始めたフルーティーさにシェリーカスク由来であろうレーズンやバルサミコ酢とが合わさり、一定以上に複雑で、かつ飲ませるボトルに「仕上がりつつある」という印象です。
テイスティングノート
テイスティングノート
香り:
しっかりとした香り立ち。第一印象はレーズンと燻製ベーコン。ミーティーで、ミディアムなアイラピート、レーズン。奥から糖蜜、グレープフルーツ、林檎。ウスターソースも。鼻が慣れてくる頃に少し桃。時間を置くとバルサミコ酢の甘酸っぱさ。サルファリーさは僅かで気にならない程度。一定以上に複雑。
味わい:
口当たりは度数相当。レーズンを引き継ぎ、そこから溌剌とした麦芽、少しのウスターソース。甘さと共に出汁醤油、そこからグレープフルーツと若干の桃。ただし香りより少しだけサルファリーさが分かりやすくなり、それがフルーツ香を少しだがマスクしている。ボディはしっかりと保たれている。
余韻:
樽由来の収斂の中に僅かなニガリ感があり、ややドライ。少しだけサルファリー。そこから桃やフルーツがゆっくりと息を吹き返す。
良くなったが、もう少し放置してもいい気もする。
開けたてはともかく現時点ではカスクストレングスの近年シェリーボウモアとして十分に出来が良いと言えるボトルに仕上がりつつある印象です。
少しずつ現れ始めたフルーツ香は現時点でも十分に評価出来るものだと個人的には思うのですが、仮に十分な数の飲み手がこのボトルを一斉に飲んだと仮定した場合、「別にいいけど…もうちょっと置いてもいいのかも知れないな…」と考える人は多いかもです。僕もそうですし。
というわけで、飲み頃を迎えつつあり、味わいに特に文句はないものの、個人的には期待を込めてもう少しだけ放置の予定です。
価格に比べてCPが最高評価でないのは経年変化を織り込んでいるからですが、もし現時点で当時と同額で入手出来ることがあれば即購入で良いと思います。
コメント
コメント一覧 (0件)
drinkerslounge様
いつも丁寧なテイスティングノートありがとうございます。
興味深く拝読しております。
シェリーカスク由来のサルファリーは近年のスプリングバンクなどにもたびたび感じるところではありますが、数年の経過(特に開栓後)でむしろフルーティーさに変化することを私も実感しておりました。変化というより硫黄にマスクされていたフルーツを感じることができるようになっただけかもしれませんが。
同様にオフィシャルの90年代ボウモアでサルファがきつく放置しているものがあるのですが、この記事から励ましを得て経過を見守りたいと思います。
お忙しいかと存じますが、無理せずこれからも記事を投稿して頂ければ幸いです。