2022年新年のご挨拶と2021年の総括

目次

2022年、明けましておめでとうございます2021年も大変お世話になりました。

2021年は大変お世話になりました。あらためまして2022年あけましておめでとうございます。

昨年は公私ともに様々なことに手を出したせいもあり、ブログの更新頻度が例年にないくらい落ちてしまいました。今年は少しでも持ち直そうと思います。

オミクロン株によるcovid-19再流行も懸念されていますが、持ち寄り会も少しずつ再開しつつ、頓挫しているドリシェアプロジェクトも少しずつ進めていく予定です。

ウイスキーも500種類以上は飲みたいところです。


2021年の主な出来事

まずは昨年全体の振り返りから。

ウイスキー全体の好調な売れ行きに加えてcovid-19が流通網に与えていた影響が徐々に回復してきたのか、ウイスキーのニューリリースは例年以上に多かった気がします。

価格が全体的に上昇傾向なのは変わらずでした。ボトラーリリースに限らずオフィシャルボトルのスタンダードラインナップも幾分価格が上昇し、価格据え置きの場合は度数を下げたり、価格上昇に合わせて年間限定品になったり、価格は上昇したけどダブルマチュアードや度数上昇で付加価値を付けたりと、各社様々な印象でした。

また、ペルノリカール傘下のグレンリベットがイリシットスチルやカリビアンリザーブというオフィシャルスタンダード限定品をリリースしました。この分野ではLVMH傘下のアードベッグやグレンモーレンジ、グラント&サンズ社のグレンフィディックが数年先行していますが、大手各社の商品開発が旺盛になったことを示す分かりやすい事例だと思います。

50000円以上の高価格帯のボトルにあっては、引き続きニューリリース(新規ボトル)とオールドボトルの価格差がかなり縮小しています。

ニューリリースの価格上昇傾向は穏やかながら今も続いていることから、この傾向は今後もしばらく続くのではないかと思っています。


そうは言っても、2021年は国内ウイスキー産業の今後を占う大きな出来事が重なった年だった。

次に、2021年に起こった主な出来事をダイジェストで紹介していきます。

どれも日本国内ウイスキー業界の今後に大きな影響を与えるような出来事であり、そうした意味で2021年は、国内ウイスキー産業にとって特別な年だったのではないかと思います。

①日本洋酒酒造組合がジャパニーズウイスキーの定義を制定

一部抜粋

日本洋酒酒造組合HP:http://www.yoshu.or.jp/statistics_legal/legal/pdf/independence_06.pdf

食品産業新聞社WEBニュース:https://www.ssnp.co.jp/news/liquor/2021/02/2021-0217-1355-16.html

くりりんのウイスキー置き場の考察記事:https://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1078585591.html

2021年、日本洋酒酒造組合によってジャパニーズウイスキーの定義が発表されました。ジャパニーズウイスキーの国際的な評価が高まる中で、ブランド価値の毀損を防ぐことが大きな目的です。このニュースは海外でも多いに注目されました。

施行日は2021年4月1日、経過措置として2024年3月31日までの期間が設けられています。

これに対してサントリー、ニッカ、キリンなどの大手ウイスキー企業に留まらず、イチローズモルトやマルスウイスキーを始め、国内の多くのウイスキー蒸留所が自社の販売ボトルの表記を改めることになりました。

細かい内容や考察は掲載したリンクを参照していただくのが早いでしょう。

今後の改訂は現時点では分かりませんが、ジャパニーズウイスキーの国外流通に対しては勿論、国内でのウイスキー生産に対しても長期的に大きな影響力を持つことになると思います。

②T&T TOYAMAによるジャパニーズウイスキーボトラーズプロジェクト始動。

https://camp-fire.jp/projects/view/403368

2021年のウイスキー関連ニュースの中で、今後の日本のウイスキーシーンにも大きな影響力を持つニュースだと思います。

すごく簡単に説明すると、海外でいうところのGordon & Macpail社のような他のボトラーにも自社保有の樽を供給するプライマリーボトラーが、国内でも誕生するかも知れないよ、というニュースです。

ジャパニーズウイスキーの定義制定から間を置かずにプロジェクトを実行に移すことができた意味も大きかったのではないでしょうか。今後の展開にも注目したいです。

③嘉之助蒸留所とディアジオが長期的な業務提携

https://kanosuke.com/special/newsrelease/

https://note.com/tk_whisky_kitan/n/n8e1c7fef0eaa

鹿児島県の嘉之助蒸留所が、国際的な種類販売大手企業のディアジオ社と長期的なパートナーシップを結びました。

国内のウイスキー蒸留所、特に嘉之助蒸留所と同じくここ5年以内に誕生したばかりの国内ウイスキー蒸留所にとってかなり注目度の高いニュースだったのではないでしょうか。

独立資本が主流であった日本のウイスキー産業に海外の大手資本が参入した初の事例でもあり、前述のジャパニーズウイスキーボトラープロジェクトとも合わせて、今後の国内ウイスキー産業の趨勢を占う出来事だと思います。


2021年、記憶に残ったボトル

黄金時代再来を予感させる、短熟ボトル飛躍の年だった

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2021年のニューリリースはどれを飲んでもだいたい美味しく、ハズレが少なかった印象でした。

2000年代以降に蒸留された原酒も熟成が20年前後となり、過去の評価を刷新するような魅力や見どころを備えたボトルが出始めています。2002年蒸留のボウモア(TWC向けやアデルフィ20周年向け)などは典型だと思っています。

年末の目玉ボトルとして各社からリリースされた長熟ボトルも、どれも素晴らしい完成度でした。70年代や80年代蒸留の原酒は少なくなり、ほとんどが90年代原酒に移行しましたが、見方を変えれば90年代蒸留原酒にも長期熟成による風格が備わり始めたということだと思っています。

しかし個人的に特筆すべきは、熟成年数10年未満のボトラーリリースの中に見どころのあるボトルが散見されたことです。

ボトラーから10年未満の短熟ボトルが豊富にリリースされる様子は、1960年代やその付近に蒸留された原酒が多数リリースされた「ウイスキー黄金時代」を彷彿とさせます。

今後の数十年、時の試練を経ることで、現行の短熟ボトルの中から過去の短熟オールドボトルの名品たちと肩を並べるようなボトルが現れるかも知れません。

仮に同じような味わいにならなかったとしても、将来まだ誰も知らないようなかたちで珠玉の銘品となるボトルが現れる可能性もあります。

いずれにせよ非常に興味深く、未来に対してこうした期待を抱かせる短熟ボトルが徐々にリリースされ始めたことが、2021年最大の収穫だったのではないかと思っています。この傾向は今後もある程度まで続くかも知れません。

こうして振り返ると、2021年は「ウイスキーは時間を飲むものである」という言葉の意味を感じずにはいられなかった1年でした。

さて、前置きが長くなりましたが、2021年に記憶に残ったボトルを紹介します。ありがたいことに素晴らしいオールドボトルを飲む機会にも恵まれましたが、今年は例外的にニューリリースに絞って紹介します。

①クレイゲラキ2006-2010, 13Y. 57.4% BBR for TWC

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お求めやすい価格と素晴らしい味わいを持ちながら数ヶ月以上売れ残っていたことは、今考えても不思議でしかありません。

我慢できずにブログで紹介したところ完売となり、飲み手の皆さんからは大いに怒られ、販売元のウィスクイーさんからは大いに感謝されました。

②ティーリング1989-2017, 28Y. 48.5% 信濃屋向け

ボトリングは2017年ですがリリースは2021年。

往年のアイリッシュトロピカルが、新しい飲み手には感動を、少し歴の長い飲み手には懐かしさを与えてくれたボトルだと思います。

ありがとうさようなら。そして、ありがとう。

③グレンタレット 1990-2021, 30Y. 46.1% ハンターレイン “OLD&RARE” モルトヤマ8周年記念

自称富山の弱小酒屋、モルトヤマ下野氏の選定眼の確かさを物語るボトル。2020年のグレントファースも素晴らしいボトルでしたが、内容でそれを超えたと思います。

三郎丸蒸留所を擁する若鶴酒造とタッグを組んだT&T TOYAMAでは前述のジャパニーズボトラーズプロジェクトのクラウドファンディングも大成功させたほか、今回は取り上げていませんがT&T TOYAMAのボトラーリリース「Wonder of Sprits」や「Don’t trapped by Dogma」シリーズからも見どころのあるボトルが多数リリースされました。

2021年、愛と情熱と勢いをもって最もチャレンジした国内ボトラーだったと思います。2022年も注目したいです。

④株式会社ラダーの各種ボトル

https://twitter.com/drinkerslounge/status/1470416705952559104?s=21

こういう選び方は若干ズルいかも知れませんが、ラダーさんのボトルははっきり言ってどれも美味しかったです。

代表の北梶氏の樽選びは、現在に至るまでブレることなく自身の求めるフルーティーさの追求という信仰に近い美学に貫かれながらも、常に新しい価値を提供しようとするものだと感じています。氏が折に触れて語る「伝統と革新」という言葉にも、それが表れているのだと思います。

シリーズが完結した「EIDORON」、高いクオリティを維持し続ける「ART SESSION」、短熟ながら新しい魅力を発信する新シリーズ「Trick Star」など、今後のリリースにも期待が高まります。

なぜ俺は全部買っていないんだ…(泣)

⑤キルホーマン 100% Islay Feis Ile 2021Release

シェリー樽熟成原酒の比率が高まったことは今後もしばらく賛否を呼ぶ気はしますが、キルホーマンクラブ向けリリースと共にキルホーマン蒸留所が取り扱うシェリー樽原酒の質の向上を確実に感じさせてくれるボトルでした。

今後のキルホーマンはバーボン樽熟成以外も要チェックではないかと思っています。

⑥スプリングバンク 2010-2020, 10Y. 55.6% 新ローカルバーレイ

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様々な飲み手に話を聞く中で、2021年リリースの中でベストに挙げる人がもっとも多かったボトルです。リリース直後から二次流通市場での価格が跳ね上がりましたが、今はその頃が懐かしくなるくらいの超高値に。

先行で発売された海外からは入手できず、結局オークション経由でフランスの個人から無理を言って購入。期待していた国内流通は「バーに優先的に案内したいので…」とアナウンスがあったため涙を飲んで購入自粛したにも関わらず、しばらくしたらこっそり店頭などに並んでいて愕然としたことを、書きながら思い出しました(笑)


そんなわけで、2021年のまとめと、2022年のあけおめ記事でした!

あらためまして2022年もよろしくお願いします!

番外編:あずみ、ではなく、あさか

個人的には2021年これを超える出来事は起きませんでしたよね。
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