ゼロから始めるテイスティングノートと、誰でもできるリバースブラインドテイスティングのやり方(後編)

How to Reverse Blind Tasting (RBT) ?


前回は入門、今回は初級編

前回の記事では、RBTの手法をもとにテイスティングの語彙を増やしたり、香味表現の幅を広げたりする方法を超簡単に紹介しました。

前回の記事は↓

ゼロから始めるテイスティングノートと、誰でもできるリバースブラインドテイスティングのやり方(1/3)https://drinkers-lounge.com/2019/10/09/rbt-1/

あまりにも簡単過ぎましたし、「グレンモーレンジとラフロイグなんてテイスティングノート書く書かない以前に香りだけで分かる」というツッコミどころは分かって書きました(笑)とりあえず、何も分からない人がどうすればいいのかについてふんわり分かってもらえたら嬉しいです。

今回RBTは少しお休みし、テイスティングノートの組み立てについて記事にしていきたいと思います。


身の回りにある味や香りには敏感になるといい

テイスティングノートで使われる言葉は、そのほとんどが比喩表現、つまり例えです。◯◯のような〜という直喩が特に多いです。果物はよく登場しますが、実際には入ってません。

身の回りにある様々なものの香りや味を覚えましょう。

特に食事や果物の味と香りに敏感になると、テイスティングノートに使うことのできる語彙が飛躍的に増えます。自分だけが分かるようなものでも構いません。様々な食べ物や飲み物の味と香り、そのほか身の回りにある全てのものから感じられる香りは、テイスティングノートに使うことができます。

増えた語彙は積極的かつ素直に使ったほうが良いです。素直さ大切。素直さ重要です。

素直なほうが絶対上達が早いです。

RBTで自分の語彙を洗練させていくにしても、自分の語彙がなければ、ただ他人の意見を拝借しているだけになってしまいます。


初級編。テイスティングノートを組み立てる

ある程度テイスティングに使える語彙表現が増えてきたら、テイスティングノートを組み立ててみましょう。

まずはテイスティングノートの構造を決めます。ただテイスティングノートを書くことに厳密な決まり事はなく、例えば僕は全体を「香り」「味わい」「余韻」の三段階に分け、更にそれぞれを二段階から三段階くらいに分けて書いていますが、これを真似する必要はないです。僕がこの書き方をしている理由は、僕にはこれが書きやすいからという単純なものです。

初めて書くという人にオススメだと思う書き方は、

「香り」「味わい」の二段階に分けて書く方式

この書き方は非常にメジャーで、書きやすいだけでなく言葉の比重を考えるときにもバランスが取りやすいのが特徴です。実際に有名なテイスターの多くも採用しています。

加えて、

「香り」を前半、後半、「味わい」も同様に前半、後半と二段組みに分けて書く

ということを意識すると良いと思います。

香りと味わいを前後に分ける理由は、ウイスキーの香味が時間経過で変化していくものだからです。ウイスキーのテイスティングノートは感じた順番に香味を書くというのが暗黙の了解になっていますが、香味の変化を追いかけるための枠を最初から頭の中に作っておくと、実は書きやすいのです。

余韻については「味わい」の後半に書くといいでしょう。


そんなわけで、最初は下のような感じでテイスティングノートを書いてみるといいのではないかと思います。

香り

  • 前半 … グラスに鼻を近づけて最初に感じられる香りや、その香りと一緒に上がってくる香り
  • 後半 … 前半の香りに少し鼻が慣れてきてから感じられてくる香り

味わい

  • 前半 … 口に含んだ直後の香りや味わいから、飲み込むまでに口の中で展開する様々な香味
  • 後半 … 余韻。飲み込んだ後に鼻から口に抜ける香味。

各項目にちょっとした説明が付けられていますが、どこからどこまでを前半、後半とするのかは本人の自由です(テイスティングノートに決まった書き方はない)。今回はとりあえず指標として上のように書いています。

まずは語彙を増やしつつ、それを使って時間経過による香味の変化を捉えるといいと思います。


実際に書いてみる。

では、実際に書いていきます。時間での香味の変化を意識して書きます。

今回用意するウイスキーは「アラン10」にします。比較的入手しやすく、価格も安いのにそこそこ美味しい、家飲みに最適なボトルの一つです。

初めのほうにも書きましたが、テイスティングノートを書くときは、自分が感じたままの言葉を素直に使うようにすると良いです。そしておそらくそのほうが上達が早いです。

まずは変に言葉を捻り出して無理矢理例えてみたりせず、素直に書きます。素直さ大切。素直さ重要です。当然ですが感じられない香味は書きません。

ということで、下のようになったとします。

ちなみに公式テイスティングノートは下のようになってます。一段組みの簡素なノートですが、公式だけあって要素の方向性はちゃんとしてると思います。ただ公式は美味しく見せるために言葉を盛る傾向があるというような発言には消去線を引くに限りますね。


まず主題をはっきりさせる

ウイスキーの香味は複雑ですが、ほとんどのウイスキーで中心となる香味があります。香味全体の骨格になる香味です。

そうした香味はいわばそのウイスキーの主題なので、はっきりと書いたほうが分かりやすいです。

普通、香りでも味わいでも最初に感じられたものがそのウイスキーの香味の骨格になることが多いため、主題となる香味は各構造の最初に置かれます。

今回のノートでは香りの主題は「甘い」、味わいの主題は「穀物の甘み」、公式の場合ではそれぞれ「リッチなバニラ」「シナモン」となります。

一段組のテイスティングノートはシンプルですが、香味の主題は明確に表現しやすいです。


あいまいな表現や再起的な表現を避ける

2つのテイスティングノートを見比べてみると、表現の方向は似ていますが、言葉使いの明確さには差があります。公式はシンプルですが、非常に明確な書き方をしています。

テイスティングノートは自由に書いて良いとはいえ、あいまいな表現を使う場合は注意が必要です。また、再起的な表現については使わないほうがいいです。

「甘い」という言葉は僕もよく使いますが、実のところ表現としてはあいまいです。今回のように香味の主題として使う場合は特に注意が必要で、どう甘いのかをきちんと説明しないと内容の肝心な部分が伝わりません。例えば「◯◯のように甘い」とかでいいので、文中のどこかで説明をつけるようにしたほうがいいです。「美味しい」とか「これ好き」とか「素晴らしい」もあいまいな表現です。こうした言葉はストレートに感情を表現していて力強いので、何故そう感じたのかを説明できればテイスティングノートに強力な説得力を持たせることが出来ますが、説明出来ないのであれば使わないほうが無難です。あいまいな言葉に頼ると後で見返したときに分からなくなります。公式テイスティングノートをあらためて見てみて下さい。

また、あまり見ませんが「ウイスキーによく感じられる甘さ」というのは再起的な表現です。ウイスキーを飲みながらウイスキーっぽいと感じるのは当たり前で、これは何一つ説明していないことになります。ウイスキーっぽい甘さ、ウイスキーを飲んでいて、あ、これウイスキーだと思わせる甘さは、原料の穀物(シングルモルトの場合は大麦麦芽)と樽に使われる木材から抽出された成分の合わさった複雑なものですが、こういう香味は多くの場合「麦芽香」「麦芽の甘み」などと表現されます。

自分の言葉で書きながら、こうした典型的な表現を覚えていくことも、テイスティングノートをうまく書く方法の一つだと思います。


今回のまとめ

  1. 自分にとって書きやすいテイスティングノートの構造を決める。オススメは二段組み。
  1. テイスティングノートは感じた香味を順番に書く。
  1. 格好つけずに素直に書く。
  1. あいまいな表現を使うときは注意する。
  1. 再起的な表現は出来るだけ使わない。
  1. 香味の主題をはっきりさせる。

続く…のですが

今回で初級編まで終わりました。簡単なテイスティングノートなら前回と今回の内容で書き始めることが出来るはずです。

次回で最後の予定だったのにまだ初級編…なので次回は中級編と上級編といきたいところですが、このシリーズ、特に書き溜めていないため次回はもう少し先になる予定です。すいません。

今後はRBTについてももう少し書きたいと思っています。

希望、御質問があればTwitterやブログのコメントでお願いします。

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