バルヴェニー 1972 – 2006、47.3% オフィシャルボトル

長熟スペイサイドモルトの白眉。「全体は要素の総和より大きい」

BALVENIE 1972-2006, 33Y. OB

cask#14813

distilled at 27 Nov 1972

bottled in 10 May 2006

162 bottles


評価:★★★★☆ Recommend!

CP:NR

価格:NR


ボトル紹介

目次

バルヴェニーのオフィシャルシングルカスク

スペイサイド地域にあるバルヴェニー蒸留所のオフィシャルシングルカスク。1972年蒸留、2006年ボトリングです。

今年20周年を迎えた有楽町のモルトバー 「キャンベルタウンロッホ」さんの周年記念で抜栓されたものの一つで、幸運にも飲む機会に恵まれました。


テイスティング

長熟スペイサイドモルトの美味しさの全てがここに

味わいを形容しようにも、素晴らしいという言葉以外出てきません。長期熟成のスペイサイドモルトが持ち得る香味の素晴らしさ、その全てを閉じ込めたのではないかと思えるほどに美味しいボトルです。

30年以上に及ぶ熟成期間によりもたらされた華やかなフルーツエステル香と麦芽の旨味が織りなす、非常に複雑な渾然一体感。それを紐解き、要素を一つ一つ取り出して列挙することは出来るかも知れませんが、それをいくら繰り返してもこのモルトの持つ味わい全体の完全な記述へは辿り着けないでしょう。

シングルモルトは熟成期間が長くなるにつれて香りの複雑さと渾然一体感が概ね増していきますが、それと引き換えに味わいでは香味が抜け、口に含んだ後のボディが軽くなりがちな傾向があります。中でも、もともと香りが華やかでボディの穏やかなスペイサイド地域のシングルモルトにはその傾向が顕著だというのが個人的な印象です。しかし、このボトルは麦芽の旨味が非常にしっかりとしているというか、口に含んだ後も渾然一体とした甘みと旨みが広がり、ボディに欠落がありません。

そして、香りにあった渾然一体とした複雑さは、味わい、余韻へと進む中で展開していきながら、最初から最後まで全く損なわれることがないのです。

「全体は要素の総和より大きい。何故ならそこに関係性が含まれるからだ」

この言葉を初めて聞いたのは昔NHKの番組として放送された何らかの公演の中の言葉でした。そのとき発言したのが誰なのか、そのときが初出なのかそもそも引用なのかは分かりません。ただ、この言葉はその後も私の中に印象深く刻まれていて、このシングルモルトを飲んだ時にまず頭に浮かんだ言葉もこれでした。

味わいの品質において特筆に値するボトルであり、今年飲んだシングルモルトの中では、とりあえず現時点で一番美味しいボトルです。


テイスティングノート

香り:

始めから香りは非常に渾然一体としていて、華やか。麦芽の旨味と非常に複雑な熟成感。フルーツ香は取る人次第でいくらでも拾える。林檎、洋梨、アプリコット、熟した桃、メロン…何でも見つけられる。

味わい:

口当たりは優しく、渾然一体とした甘みと旨味は更に広がる。黄色いフルーツ、赤いフルーツ、複雑な旨味、ボディは中程度からやや厚め。

余韻:

渾然一体とした複雑な甘みと旨味が長く持続し、樽由来の程よい収斂と穏やかなドライさが加わる。


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