ロッホローモンド 12年 46% オフィシャルボトル

TWSC2019特別賞および金賞受賞。受け継がれた革新の精神。


評価:★★☆ Recommend!

CP:☆☆☆☆

価格:☆


LOCH LOMOND 12Y. 46% OB


ボトル紹介

エントリーボトル的な位置付けの12年

現在は(株)都光が正規輸入元となり、幅広いラインナップが国内に入ってくるようになったロッホローモンド蒸留所の製品ですが、今回紹介するのはエントリーボトル的な位置付けのロッホローモンド12年です。


東京ウイスキーコンペティション2019で堂々の金賞、特別賞受賞

ロッホローモンドはグレンスコシアとともに新オーナー以降、味わいが著しく改善された蒸留所だと認識されています。

そんなロッホローモンド12年は、先日行われた国内初のスピリッツコンペティション「東京ウイスキーコンペティション2019」でも堂々の金賞およびカテゴリーウィナー特別賞(スコッチシングルモルト/オフィシャル12年以下)を受賞しました。

今回は先日40年ものをテイスティングする幸運に恵まれたリトルミルとの繋がりを確かめる意味と上記の受賞のお祝いを兼ねてリカーマウンテン銀座777で購入しましたが、嬉しいことに「ロッホローモンド12年か18年を購入するとロゴ入りグラス1脚プレゼント」キャンペーンが開催されていたため、写真のグラスも手に入れました。ラッキーです。


テイスティングノート

香り:

穏やかな香り立ちだが、ややもっさりと絡みつくような重さを伴いながら徐々に強くなる。杏子、焼き林檎、オランジェット、キャラメルの甘さがゆっくりと上がってきて、そこに干し藁や枯れ草を思わせる穏やかなピート、少しのオイリーさを伴う。その後に麦芽の甘さ、僅かなハーバルさ。

味わい:

口当たりは度数より少し優しく感じられる。ややワクシーで粘性が強い。バニラ、少し強いが心地よいウッディネス、やや若いが溌剌とした麦芽の甘さ、燃やした干し藁を思わせるピート。ボディは中程度。

余韻:

バニラ、紙を喰んだような乾いた収斂、生姜を思わせる穏やかなドライさ。


個性的でありながらフルーティーに振れ、バランスも保たれている。

オーナー変更前の味わいを記憶している方であれば、たぶん驚くと思います。

特徴的でもっさりとしたワクシーさや、紙や根菜を思わせる個性はあり、これらは好みの分かれる部分です。また、麦芽感も熟成年数相当です。ただ、もっさりとした中からフルーティーな甘さがせり上がってくる香味構成は、リトルミル40年と同じくマスターブレンダーのマイケル・ヘンリー氏の手腕なのは間違いないだろうと思います。

エントリーボトル的な位置付けの12年ですが、古いリリースのロッホローモンドしか知らないのであれば、印象を改めるべき仕上がりだと思います。


蒸留所の概略、受け継がれた精神

生れながらの異端児

ハイランド地域とローランド地域の境界線付近に位置するロッホローモンドは、リトルミル(1772年創業のスコットランド最古の蒸留所。1994年閉鎖、2004年火災で焼失)の第二蒸留所として1965年から生産を開始しました。

第一、第二の関係にあるものの、両者の間をハイランド地域とローランド地域を分ける仮想境界線が通るため、リトルミルはローランド地域、ロッホローモンドは南ハイランド地域のシングルモルトに分類されています。

リトルミルと同じくオーナーの変遷に合わせて閉鎖と再開が繰り返されてきましたが、2014年からはキャンベルタウンのグレンスコシア蒸留所とともに「ロッホローモンド・グループ」の傘下となって現在に至り、以後は生産設備、オフィシャルボトルのラインナップともに大幅に拡充されています。

蒸留所の規模は大きく、ネック部分に整流器を備え付けた特別製のハイブリッドスチル(ローモンドスチル)の他、一般的なポットスチル、更には連続式蒸留機まで所有しており、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方を生産、様々なタイプの原酒の作り分けも可能となっている数少ない蒸留所の一つです。更に自社のクーパレッジ(樽工場)も所有しています。

こうした作りは山崎、宮城峡など日本の蒸留所に共通点を見出すことができますが、分業体制の進んでいるスコットランドでは非常に珍しいです。

現在はロッホローモンド、インチマリン、インチモーンという3種類の異なるシングルモルトの他、シングルグレーンも生産、販売しています。

オフィシャルサイトも充実していて、現在ロッホローモンドのノンエイジ商品は以前リリースされていた「クラシック」から「オリジナル」へと変更になったようです。

LOCH LOMOND WHISKIES : https://www.lochlomondwhiskies.com


ダンカン・トーマスの魂

先日リトルミル40のサンプルテイスティングをお願いされたことを受け、添付されていた商品チラシを元にリトルミル蒸留所とロッホローモンド蒸留所の関係を更に調べてみました。scotchwhisky.comとWikipediaは特に参考になったのでリンクを掲載します。

https://scotchwhisky.com/whiskypedia/2059/littlemill/(英語)

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Littlemill_distillery(英語)

ロッホローモンドが稼働したのは1965年ですが、歴史を遡るならロッホローモンドの創業者の一人であるDuncan Thomas(ダンカン・トーマス)氏がリトルミルのオーナーとなった1931年からロッホローモンドについて語り始めてもいいかも知れません。

氏は、謂わば当時のウイスキー業界におけるイノベーターでした。それまでリトルミルで行われていた三回蒸留を一般的な二回蒸留に切り替えた他、新しいタイプのサラディン式モルティング装置と、ネックに整流器を取り付けた特別製のハイブリッドスチル(オリジナルにはアルミニウムコーティングまで施されていたそうです)を導入することで、当時どこの蒸留所でも行われていなかった単一のスチルによる原酒の作り分けを開始しました。

ややマニアックな知識ですが、リトルミルでは1960年代後半の短期間のみ試験的にヘビーピートのDumbuck(ダンバック)、ライトピートのDunglass(ダングラス)というシングルモルトを生産していた時期があります。

そのトーマス氏がリトルミルのオーナー在任中に、後にオーナーを引き継ぐことになるバートン・ブランズ(Barton Brands)氏の出資を受けて設立したのが、今回のボトルを作っているロッホローモンド蒸留所です。(こちらも当初からインチマリン、ロスデュー、ロッホローモンドを生産)

ロッホローモンド蒸留所はトーマス氏がリトルミルに吹き込んだのと同じ魂を設立当初から与えられた、いわば「生まれながらの革新者」として誕生した蒸留所だと言えると思いますし、オフィシャルでもそうした謳い文句を掲げています。

画像を見ただけで蒸留所が特定できるほど、特徴的なローモンド・スチル(ロッホローモンド)

その後もオーナーは変遷し、1980年代には操業を完全に停止した時期もありましたが、1987年には生産を再開、1994年にグレーンウイスキー工場、1999年には新規のポットスチルが導入されるなど、蒸留所の規模は随時拡大していきます。

その間、創業者達から受け継がれた魂は、目覚めの時を待ちながら眠りについていたことになるんですね。


火の鳥の復活

マスターブレンダーのマイケル・ヘンリー氏

目覚めは2014年に訪れました。

2004年の火災で焼失したリトルミルの、その灰の中から火の鳥を蘇らせたのは、2014年から新オーナーのロッホローモンド・グループです。

立役者となったのは、2007年からロッホローモンド蒸留所で働き始め、2014年の新オーナー体制でマスターブレンダーに就任した、マイケル・ヘンリー氏でしょう。

…これは言っておく必要がある気がするので言ってしまいますが、新オーナー体制以前、シングルモルトとしてのロッホローモンドは、その実験精神にも関わらず(というかそれが災いしてなのか)、ウイスキー愛好家には長い間ほとんど受け入れられてきませんでした。

断言します。

受け入れられてきませんでした!!

その味わいは控えめに表現しても「万人受けしないにも程があり、玄人受けするかどうかも別の話」と言って差し支えないものだったと思います。

A:「一番好きなシングルモルト何?」

B:「ロッホローモンド!」

A:「何、だと…」

ざわ…ざわ…

という会話が、ここ最近まで成立していたと思います、というか、確信しています。

設備も十分、規模も十分、技術も気合も十分だった蒸留所に、それまで足りなかったものは一体何だったのか?

それがおそらく

「多様な原酒の個性を理解し、それを引き立てて活かすことのできるブレンダー」

だったのではないかというのが、新しいロッホローモンドやインチマリンを飲んでみた私の個人的な感想です。先日のリトルミル40年のテイスティングでも同じことを考えました。

言い過ぎだろ?

と思うかも知れませんし、もしかしたらそうなのかも知れませんが、

実際ロッホローモンド・グループの数々の受賞歴は、全てマイケル氏がマスターブレンダーに就任して以降に獲得したもの

であるという事実は動かしがたいものです。

オフィシャルサイトにマスターブレンダーの紹介ページが独立して存在するのも、新体制下におけるマイケル氏への信頼の厚さを物語るものではないかと思います。少なくともロッホローモンド躍進における非常に重要な役割の一端を担ったことは間違いないでしょう。

創業者と同じくマイケル・ヘンリー氏も、ロッホローモンドの歴史にその名を刻むのではないかと思っています。


ほら、NATURALLY DISTINCTIVEって言ってるだろ?

調べていくうち、現在まで続く魂のバトンの連鎖を見るような感覚を覚えて面白くなってしまい、かなり長い記事になってしまいました。ここまで読んでいただいてありがとうございます

新生ロッホローモンド、これからも期待したいと思います。

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