ジュラ 21年 44% オフィシャルボトル

流行る味わいじゃないかも知れないけど、こいつは美味しい。

JURA 21Y. 44% OB


評価:★★★ Recommend!

CP:☆☆☆☆

価格:★☆


香り:

穏やかな香り立ち。穏やかなオーク、ザラメ、麦芽の甘さ、そこから黒糖やレーズンといったシェリーカスク由来の甘さが続く。そこに仄かにスモーキーな内陸系ピート(黒土や腐葉土や枯れ草を燻したようなスモーキーさのある香り)、熟した林檎、オレンジピール、シナモン。時間経過でフルーツの甘さは徐々に開いてくる。深みと熟成感もあり、多彩。

味わい:

さらりとした優しい口当たりだが、暖かく、ボディはある程度まで保たれている。穏やかな内陸系ピートに下支えされ、ザラメやローストした麦芽の甘み。穏やかな塩気。

余韻:

余韻の長さは中程度からやや短い。じんわりと滲むような弱いドライさと胡椒のスパイス感。内陸ピートの主張は味わいよりも少し強くなり、スモーキーさの中にやや干し藁や泥を思わせる印象が現れてくる(時間経過で消える)。


国内正規輸入のないアイランズモルト、ジュラ

アイラ島に程近く、住民よりも鹿のほうが多い島。ジュラ島唯一の蒸溜所であるジュラは、ダルモア12年の記事でも精力的にご紹介したウイスキー業界の守護神リチャード・パターソン氏が、ダルモア蒸溜所とともに現在マスターディスティラーを務める蒸溜所です。

今回のボトルはオフィシャルボトルの上級品に当たるジュラ21年です。

本当につい先日購入したばかりのこのボトルですが、昨年2018年5月に刷新されたばかりのジュラ蒸溜所の新ラインナップの中には、このボトルの姿はありません。(オフィシャルサイト:https://jurawhisky.com/en/whisky/

そうです。こいつは終売ボトルです

ジュラ蒸溜所のオフィシャルボトルは「やまや」、「河内屋」、「カクヤス」などの国内大手酒販チェーンで普通に見つけることが出来るものの、国内正規輸入元は存在せず、全てが並行輸入品です。

そのため大々的な販売プロモーションはほとんど行われていませんが、蒸溜所の歴史は創業1810年と古く、2010年には200周年記念ボトル(21年)も発売されています。

ジュラ21年自体はラベルデザインを変えながら過去何種類か発売されていますが、このデザインのボトルは200周年記念の21年が発売された後に定番化されたものでした。ジュラ21年として現時点では最新ボトルであり、同時に最後のボトルでもあります。


アイラとは異なる内陸ピートについて

ジュラは原酒の作り分けも積極的に推し進めていましたが、基本のハウススタイルはピートを焚きこまないものです。ただこの21年は仄かにピーティーです。ヴァッティングに使用した原酒の一部がピーティーなのでしょう(例えばラインナップ刷新前のジュラ・プロフェシーのような。プロフェシーも終売です)

ちなみに、このボトルのピート香はアイラモルトにあるような磯っぽさやヨードっぽさが強いものとは異なり、黒土や腐葉土を燻したような、または樽の内側を焦がしたような印象のピート香で、一部のハイランドモルトやスペイサイドモルト見られるものと似ています。

どちらもピート香ですが、このブログではアイラモルトやそれに似たタイプのピート香を「アイラピート」、一部のハイランドやスペイサイドモルトに見られるタイプのピート香を「内陸ピート/内陸系ピート」と、出来るだけ呼ぶようにしています。

出来ていない場合もありますけども…

「内陸ピート」という言葉は僕が勝手に言っているわけではなく、ある程度ウイスキー歴のある飲み手や、シングルモルトに力を入れているバーでならだいたい通じるんじゃないかと思います。更に言うと、分からなければ教えてもらえるかも知れません。

内陸ピートは主張が穏やかな場合がほとんどなので、入手可能な現行ボトルでその部分がピンポイントで分かりやすいものをオススメするのは結構難しいです。

個人的にはですが、違いが最も分かりやすいのと思っているのはジャパニーズウイスキーの余市と秩父(ピーテッド)の飲み比べです。

余市は内陸寄り、秩父ピーテッドはアイラ寄りのピートです。

本当はみんな大好きベンロマック10年!がオススメ!ってできれば良かったんですが、ベンロマック10年のピート感は何ていうか折衷的なんですよね。これなら例のベンロマック299のほうが内陸ピート寄りですし、あれはそもそもこういうことを知るために飲むようなボトルじゃないですし…。


内陸ピートがエステル香と樽香に深みを与え、時間による香味変化も楽しめる

前置きが長くなってしまいましたが、このボトルは美味しいです。

樽や使われている原酒の詳細は分かりませんが、麦芽の甘さには熟成感があり、シェリーカスク由来の甘さもあれば、バーボンカスク由来のエステル香も感じられます。

そしてそれらが内陸寄りでスモーキーなピートと、海に近い蒸溜所特有の仄かな潮気によって、良い感じで引き立てられています。

ここです。ここ。

繰り返します。

ここです。ここ。

単純に甘!旨!で止まらず、ちょっとしたピートと潮気がそれらをうまく引き立てているところです。

更に言うと、熟成年数が長いだけあって加水ですが麦芽の甘さには熟成感を伴い、未熟な要素から来るような雑味は綺麗に消えています。香味も多層的で、これはおそらく原酒をヴァッティングしていることによるものだと思っています。


ジュラは地味だし、愛好家には刺さらない…そう思っていた時期が、僕にもありました

歴史があるとはいえ、ジュラ蒸溜所のシングルモルトは愛好家の間では割と不遇な扱いを受けてきたと思います。

悪くはないけど、何か地味だよね、みたいな。

本場スコットランドでも何となくそう思われていたようなのは、200周年を迎えた翌年にジュラ蒸溜所について書かれたWhisky Magazineの記事の書き出しからも伺い知れます。

ええ、僕もそう思っていた時期がありました。

ですがこのボトルを飲んだ第一声は「何これ美味しい」だったので、ここは素直にRecommend!を付けることにしました。

オフィシャルボトルの上級品のため価格は1万円を超えてしまいますが、それに見合うだけの味わいは備えていると思います。同一レーティングの中でも完成度の高いボトルだと思っています。

加水ですが香味が多層的なので、時間をかけて楽しんでほしいです。

それに終売品なので、今後じわじわと価格が上昇してくるかも知れません。

もし次にジュラ21年がオフィシャルから発売されたとしたら、たぶん今の価格では買えなくなることはほぼ間違い無いでしょう。

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