ダルモア 12年 40% オフィシャルボトル

絶妙なバランス、構築的な味わい。他は主にリチャード・パターソン氏について

DALMORE 12Y. 40% OB


評価:★ ★ ★

CP:☆ ☆ ☆ ☆ ☆

価格:☆


香り:

甘く、穏やかな香り立ち。オレンジ、オレンジピール、少しのシトラス、カラメル。やや焦げ感のある麦芽香と、穏やかなウッディネス。そこからゆっくりとレーズンを思わせる甘いシェリー香が加わる。樽の内側を焦がしたようなハイランドピート。

味わい:

度数よりもしっかりとした口当たりで、少しドライさはあるが、口に含んだ後は滑らか。ローストした香ばしい麦芽の甘みが強くなり、その後に僅かに強さを増すウッディネス、バニラ、オレンジ、湿った木材を思わせる穏やかな収斂。ボディは中程度、もしくは少しだけ軽い。

余韻:

余韻の長さは中程度で、穏やかなスパイシーさとドライさ。麦芽の甘みの奥からゆっくりとダークチョコレートが現れる。


ダルモアとホワイト&マッカイ

雄鹿のレリーフがトレードマーク、ダルモア蒸溜所のオフィシャルボトル12年の現行ボトルです。

ハイランド地方を代表するシングルモルトであり、人気、格式共に高く、ブレンデッドウイスキーホワイト&マッカイの構成原酒としても知られています。

記事が長くなり過ぎることを避けるため、ホワイト&マッカイの詳細を記すことはしませんが、以前はダブルマリッジ製法と呼ばれ、現在はトリプルマチュレーションプロセスと呼ばれている独特で手間のかかる生産方式は有名で、ホワイト&マッカイの味わいの決め手となる特徴でもあります。詳細は公式ホームページwhyteandmackay.comへ。


リチャード・パターソン氏について

ダルモア、ホワイト&マッカイとくれば、伝説の人物リチャード・パターソン氏のことを記さないわけにはいきません。

ホワイト&マッカイのマスターブレンダーとして余りにも有名であり、ダルモア蒸溜所(とジュラ蒸溜所)のマスターディスティラーでもある、ウイスキー業界の守護神です(Twitter: https://twitter.com/the_nose
)。

17歳でウイスキー業界に身を投じ、1970年にホワイト&マッカイ社に移ったパターソン氏は、1975年に26歳の若さで同社のマスターブレンダーに就任し、今日までその仕事に携わり続けています。御歳70歳です。

つまり現在の一般市場やオールドボトル市場に出回っているホワイト&マッカイのほとんど全てが、パターソン氏の作品ということになります。

そしてまた、知っている人なら誰もが知っている

彼の独創的かつウイスキー愛に溢れ過ぎたテイスティング風景

をこのタイミングで掲載しないのも、

全てを掻っ攫うその強烈なインパクトによって以降の記事を誰も読まなくなることを避けるため

ですよ勿論。

パターソン氏とホワイト&マッカイ、ダルモアの情報は検索すればいくらでも出てきますが、ここでは分量と編集に優れたWhisky Magazineの記事を掲載したいと思います。少し古いですが読みやすく、とても良い記事です。

Whisky Magazine: パターソンの嗅覚(前編)

Whisky Magazine: パターソンの嗅覚(後編)


構築的で、導かれるように香味を辿ることができる。

ダルモア12年の味わいは、ある種の美学に基づいているというか、テイスティングで辿る筋道が明確に示されているような印象があります。

言い換えれば構築的です。バランスに細心の注意が払われ、注意深く雑味が取り除かれていて、洗練されています。

カートン箱の裏の記載によると、使用されている原酒は最初の9年をバーボンカスクで熟成後、半分はそのままに、残り半分を30年もののマツサレムオロロソシェリーカスクに移されて追加熟成されるそうです。

穏やかな香り立ちは甘く、先ずはバーボンカスク由来のオレンジやバニラ、シトラス、そこに甘く深みのあるシェリー香が優しく乗ります。

口当たりはスムースで雑味や引っかかりがなく(おそらくチルフィルもされているでしょう)、香りから引き継がれた甘さの中から香ばしさを伴う麦芽の甘さが引き立っています。

一つ一つの香味要素が明確でありながら、それらが計算されたように積み重ねられ、緻密なバランスを構成している香味をこの価格で実現していることは、見事と言う他ないと思います


美学の魔法を紐解く

このボトルの構築的で洗練された味わいは卓越したブレンダーの技術によってもたらされていることは疑いないですが、後熟に用いられているシェリーカスクの品質が同様に魔法の一部なのも、おそらく確実だと思っています。

ダルモア12年に使われているシェリーの出所は公式サイトでもアナウンスされているようにゴンザレス・ビアス社です。

ゴンザレス・ビアス社のマツサレムオロロソシェリー30年と言えば、同社の最高峰とも言えるオロロソシェリーで、現在でも「NOE(ノエ)」という品名でリリースがあります。

上の写真は「NOE(ノエ)」の現行ボトルで、国内ではキリンが輸入しています。とても美味しいデザートシェリーなので、こちらも一度飲んでみてほしいです。…バニラアイスとの合わせは犯罪ギリギリの美味しさですよ?

味わいの来歴を知る意味でも面白いと思ったので、今回あらためてご紹介しました。


お待たせしました。リチャード・パターソン氏による必見動画の御紹介です。

初めて見た時の衝撃は今も忘れられません。

ウイスキーはスマートに、そして楽しく飲むものだということを、守護神自らが体現するとこうなるわけなんですよ。

忙しい人向けとして、Gigazineのまとめ記事および日本語訳も紹介しておきます。(https://www.google.co.jp/amp/s/gigazine.net/amp/20171208-drink-whiskey-like-sir

どれもちょっと古い動画なのですが、まずは上の記事でも紹介されているこれ。

他にはこんなのも。

まだまだあります。


美味しんぼにも出演

リチャード・パターソン氏に関するもう一つ有名な話として、漫画「美味しんぼ」の70巻(スコッチウイスキーの真価)に御本人が登場しています。


ここ数年来日がないのですが、是非とも御健在なうちに再来日を果たしてほしいです。

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