近年レダイグとは趣きの異なる濃密な熟成感とフルーティーさ。
LEDAIG 1974-2004, 29Y. 51.3% cask#5451, Shieldaig Collection
評価:★ ★ ★ ★
CP:NR
価格:NR
香り:
穏やかだが非常に濃密で渾然一体としている。盛大なフルーツエステルとライトピートの共演。素晴らしいバランス。蜜の詰まった林檎とみずみずしい葡萄の果汁感。それらを中心に置いたフルーツバスケット。そこに熟成感のある甘い麦芽香が重なる。下支えするように穏やかで土っぽいライトピート。
味わい:
度数よりも滑らかな口当たり。経年による僅かな枯れ感があり、やや度数が落ちているように感じられる。麦芽の旨味と複雑な熟成感がしっかりと現れ、そこから再びフルーツバスケットとライトピート。ボディはしっかりと保たれている。
余韻:
僅かなドライさ。レーズン感が長く伸びる。
トバモリー蒸溜所のピーテッドモルト、レダイグ。
トバモリー蒸溜所はスコットランドのマル島にある唯一の蒸溜所です。作っているシングルモルトの名前も勿論トバモリーですが、それとは別にレダイグというピーテッドタイプの原酒も生産しています。つまり、レダイグはトバモリー蒸溜所で作られるピーテッドタイプのシングルモルトです。
今回のボトルは2000年代初頭にボトリングされた1974年蒸留のレダイグです。
ウィリアム・マックスウェル社は今はあまり聞かない名前のボトラーですが、その昔に一斉を風靡したボトラーのようです。シールダイグ・コレクションはその中では格付けの高いラインナップに当たる模様です。
ちなみにこのボトルは郡山のバーBar de MOBOさんでいただきました。
エステル香が華やかでライトピート。近年のレダイグとは趣きを異にする。
レダイグといえばアイラモルト同様にピートの強いシングルモルトで、私はそれをレダイグの個性だと認識していました。しかし今回のレダイグは私の知らなかったタイプのレダイグです。
ピートが先行することなく、むしろフルーツエステル香と熟成感と甘さのある麦芽香が渾然一体として香り、それを下支えするように土っぽさのあるライトピートが穏やかに香ります。香味バランスが非常に優れています。
もっとピートの効いたイメージで口にしたため、非常に新鮮でした。
近年のボトルで似たニュアンスのレダイグはあるか?
このボトルを飲みながら、近年の瓶詰めで今回のような味わいのレダイグがあるかを考えて真っ先に思いついたのは、キャンベルタウンロッホさんとバーアイランズさんのボトリングした1994年蒸留のレダイグです。
両店の選んだ1994レダイグもエステリーに振れた香味が特徴的で、このボトルと同じく近年のピートの強いレダイグとは趣きの異なる味わいです。こうした違いが熟成期間の長短で現れるものなのか他の要素の違いで生じるのかは私には分かりませんが、件の1994レダイグがレダイグの中にある往年のエステリーさにフォーカスして選ばれたのだとしたら、オールドボトルと近年リリースの香味を繋ぐという新しい意味を提示してもらえたような気がして、非常に興奮しました。そんなことを考えながらこのボトルを飲んだことを覚えています。
キャンベルさんとアイランズさんのレダイグについて検索したところ、既に他の飲み手によって更に詳しく述べられていましたので、リンクを貼らせていただきます。
モルト道
https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/zgmf-x10a19730730/entry-12374297463.html
ストイックなドリンカーの日々
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