ブルイックラディ 1986 – 1998, 11年 46% キングスバリー(加水ライン)

芯のある麦芽の甘さが信条。選択の幅を広げたい飲み手に向けて。こういうボトルを見つけてみると面白いと思います。

BRUICHLADDICH 1986-1998, 11Y. 46% cask#672, ex-bourbon bdrrel. Kingsbury’s


評価:★ ★ ★

CP:☆ ☆ ☆ ☆

価格:★(参考価格)


香り:

穏やかな香り立ち。経年でこなれた印象。甘く、クリーミーな麦芽香が先行する。続いて穏やかなバニラとオレンジピール。そこから林檎や洋梨が穏やかに立ち昇る。ピートは非常に弱く、アイラモルトの印象はない。

味わい:

口当たりは度数相当に優しいが、アタックでの麦芽の溌剌とした主張の中に僅かに刺すような要素を感じる。しかし未熟な要素はなく、こなれた印象は変わらない。樽感も麦芽の香味に寄り添い、相変わらず穏やかなレベルを保っている。麦芽の香味がしっかりとしているため、加水にも関わらずボディに物足りなさを感じない。ややオイリーな舌触りが現れる。

余韻:

味わいを引き継ぎ、麦芽の甘さが持続する。ミントの清涼感と穏やかなドライさが現れ、余韻の最後のほうに僅かに樽由来の収斂。味わいの後半から現れる弱いオイリーさは余韻にも引き継がれる。余韻の長さは中程度。


ボトルの来歴

キングスバリー社の現行「SILVER」に相当するオールドボトル

大手ボトラーのキングスバリーから発売された1986年ヴィンテージの短熟ブルイックラディ。バーボンバレルで11年熟成です。

特別な場合を除くと、キングスバリー社のラインナップは伝統的にカスクストレングスと46%加水ボトルの二種類を基本としています。この流れは現在まで受け継がれていて、現行ボトルではカスクストレングスタイプは「GOLD」46%に加水調整されたボトルは「SILVER」と銘打たれてリリースされています。

このボトルは90年代後期に発売された同社の旧ラインナップですが、現行の「SILVER」に相当するボトルです。


味わいのポイント

  • 麦芽香の甘さの魅力、それを引き立てる樽感とのバランスに秀でている。
  • シングルモルトの魅力がフルーツエステル香だけではないことを示してくれる。
  • このボトルの最大の魅力は何といっても芯のある甘い麦芽香で、二番目の魅力は樽由来の香味が麦芽香を引き立てる程度に控えめさを保っているところです。

    ウイスキーの味わいの魅力はおそらく非常に多岐に渡ると思いますが、原料となる麦芽由来の香味は、ウイスキーの味わいの魅力的な部分を端的に示すという意味で、フルーツエステル香(分かりやすいところだといわゆるトロピカル香)や優れた樽香(分かりやすいところだとサルファリー感のないオールドシェリー香)と三つ巴を組む要素だと思っています。これは飲み手各人の嗜好に触れる部分でもあり、どれが良いか決められるものではありません。

    そうした中でこのボトルは麦芽の旨味がしっかりと感じられ、シングルモルトらしさに溢れたボトルだと言えます。「麦芽の旨味をきちんと感じられる」というところがこのボトルの最大の魅力です。

    香りの段階から主体となるのは麦芽香です。それも11年という熟成年数から予想されるように、複雑な熟成感を楽しむタイプではなく、原料である大麦麦芽そのものの味わいを素直に楽しむことの出来る、溌剌としたタイプの味わいです。

    こうした、原料由来の香味を味わいの主軸に置き、かつ熟成年数の長くないボトルにあっては、味わいの骨太さと雑味や未熟な要素がトレードオフの関係にあることが多いのですが、このボトルは加水であることによって、その部分の衝突を上手く回避しています。

    更にそこにバニラやオレンジピールといった典型的なバーボンバレルの香味が穏やかに重なり、麦芽の香味をうまく引き立てるように収まっています。

    そのため、シンプルですが香味のバランスが上手く取れています。口に含んだ時にもしっかりとした麦芽の主張があるため、加水でありながらボディがしっかりと保たれているところも非常に好印象です。

    アイラモルトの中でもピートを炊かないことで知られるブルイックラディらしく、銘柄を知らずに飲むとハイランド地方のモルトかと思ってしまうくらいピート香は弱いです。


    フルーツ香主体のモルトの次のステップとして、または選択の幅を広げる意味で

    シングルモルトを味わうに当たり、フルーツ香以外の香味が楽しめるようになると、選ぶボトルの幅が広がり、まだ見ぬ美味しいボトルに出会うことのできる可能性が高くなってくると思います。

    そうした、現行から始めて次のステップに移りたいと思っている飲み手には、こうしたこのボトルは非常にオススメです。

    最初はこのボトルのように加水ボトルから探してみるといいのではと思います。おそらくバーで聞きながら見つけるのが最も効率的でしょう。

    銘柄としては今回のブルイックラディの他、パッと思いつくものではオード、グレンエルギン、グレンスペイといったシングルモルトが挙げられます。


    このボトルはスペック的に見てもおそらく当時から小粒なリリースとしての扱いで、あまり目立ったボトルではなかっただろうと推測されます。しかし、今飲むとシングルモルトそのものの魅力に溢れたしみじみ美味しいボトルだと思います。

    こうした埋もれたオールドボトルを探して試してみるのも、シングルモルトの楽しみ方の一つとして提案できるかなと思います。

    また、このボトル自体はややオールドボトルの領域に入っているボトルなので狙って探すのは少し難しいかも知れませんが、麦芽の香味を楽しみたいなら飲むべきボトルがこのボトルである必要は全くありません。現在進行形でリリースされている多種多様なボトルの中からも同じように麦芽の香味を楽しめるボトルは十分見つけることができると思います。

    これもシングルモルトの楽しみ方の一つでしょう。

    是非、色々なボトルを試してみて下さい。

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