グレンアラヒー 1978 – 2018 39年 55.9% 蒸溜所50周年記念ボトル

濃密なシェリー香。古酒感とフレッシュ感。時間をかければかけるほど奥深い。後はサルファリーさをどう取るか。

Glenallachie 1978-2018 39Y. 55.9% 500ml, 50th Anniversary Bottling


評価:★ ★ ★ ☆

CP:☆

価格:VE(700ml換算)


香り:

しっかりとした香り立ち。甘く、リッチで濃厚、そして複雑なシェリー香。ただサルファリーを取る人は多いと思う。凝縮感のあるレーズン、ベリー。奥からバルサミコソースのような古酒感、コーヒー、醤油、みたらし、腐葉土、カカオ、オレンジマーマレード。搾りたての葡萄の果汁感もある。そこから麦芽の熟成感のある甘みがゆっくりと現れて、直ぐにまた複雑なシェリー香に取って代わられる。徐々に渾然一体としてくる。

味わい:

しっかりとしているが、染み込むような口当たり。シェリー樽の樽感はしっかりとしていて、樽由来の適度なウッディネスと収斂、ベリー、レーズン、プルーン、鉄分。奥から熟成感のある麦芽の甘さが穏やかに現れる。ボディは厚め。

余韻:

味わいからそのまま以降し、ドライでスパイシー。カカオ、僅かにミント。じんわりと長く伸びる。アーシーな印象も。


グレンアラヒー蒸溜所の50周年を記念したアニバーサリーボトルとして6種類発売されたうちの1本です。

ベンリアックグループ(グレングラッサ蒸溜所、ベンリアック蒸溜所、グレンドロナック蒸溜所)のマスターブレンダーであったビリー・ウォーカー氏が同社をハイラムウォーカー社に売却した後、その資金を元にグレンアラヒー蒸溜所をペルノ・リカール社から買収したというニュースが流れてきたのは2017年でした。

これを含めた一連のボトルは、ビリー・ウォーカー氏がグレンアラヒーで行った初仕事ということになります。

基本的にブレンデッドウイスキー用の原酒生産のために稼働していて、今までオフィシャルボトルの発売がほとんどなかった(すごく昔に一瞬だけあったとか)非常にマイナーなグレンアラヒー蒸溜所ですが、2018年からはオフィシャル12年の発売が決定しています。ボトルも既にバーショーなどのイベントでお披露目されていて、日本への輸入元はウィスク・イーです。

このボトルは自分への誕生日プレゼントとして入手しました。購入の手続きが色々と難航しまして、誕生日当日までの到着とはなりませんでしたが。

開ける気満々だったので、こういうボトルは着・即・開でございます。


味わいの主体はリッチで濃密で複雑なシェリー香、それに尽きます。

抜栓直後の香味は少し閉じていたのかも知れません。数日して本来の実力を遺憾なく発揮してきた印象があります。非常に素晴らしい香りです。

シェリー香が主体ですが、香味には十分に渾然一体感があります。オールドシェリーとフレッシュシェリーのニュアンスが混ざり合うような、少し不思議な印象もある、奥深いシェリー香だと思います。甘いベリー感が開き、ややサルファリーさはあるものの引っかかりはないため、ストレスなく体に染み込んで行く印象でした。

抜栓直後には分かりづらかった麦芽の熟成感も日を追うごとに開いてきて、徐々に妖艶な印象が片鱗として現れてきました。今後の香味の開きには期待したいです。

ただ、味わいの評価はサルファリーさをどう取るかによって分かれるかも知れないと感じました。私はシェリー香の複雑さと時間経過で現れてくる奥深さを高く評価しています。価格に見合うかはともかくとして、味わいとしては十分に素晴らしいと感じています。

ただまあ、ちょっと高すぎますけどね。


おまけ。

シェリー感の比較をしてみたくて飲み比べ。メインモルトとキャンベルタウンロッホのグレンファークラスはグレンアラヒーよりも更にシェリー感がリッチ。しかしグレンアラヒーのほうが香味の熟成感と渾然一体感は強い。アラヒーにRecommendが付いていないのは容量と価格の問題。
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