アラン 1996 – 2007, 10年 59.4% cask#1794 シェリーカスク

近年系サルファリーシェリーのお手本のような香味。他、リアルシェリー・シーズニングシェリー問題について。

Arran 1996 – 2007, 10Y. 59.4% cask#1754 sherry cask, 237 bottles.


評価:★ ★

CP:☆ ☆ ☆

価格:★


香り:

強烈な樽感で、こってりとしてアーシーなシェリー香。しっかりとしたサルファリー(硫黄香)、カカオ80%以上のチョコレート、奥から麦芽の甘さ、レーズン、皮ごと絞ってエグさも込みの葡萄果汁。

味わい:

強烈な樽由来のインパクト。強烈なタンニンの収斂、アーシー、腐葉土、奥から遅れて麦芽の甘さがじんわりと現れる。

余韻:

ドライでスパイシー。カカオのほろ苦い余韻。


アラン蒸溜所は、スコットランドのアラン島に1995年に設立された比較的新しい蒸溜所ですが、2018年の今では設立から20年以上が経過し、既に一定の評価を得るに至った、言ってみれば成功した蒸溜所の一つです。

そんなアラン蒸溜所のオフィシャルボトルとして、このボトルは比較的古いボトルになります。


味わいとしては、近年系シェリー、中でもサルファリーさが強い味わいとして、これ以上ないくらい適切なサンプルだと思います。

私は個人的に、シェリーカスクから感じられる味わいは、他の樽から感じられるものよりも本質的に幅広いと感じています。

タンニン、サルファリー、レーズン、黒糖、黒土、腐葉土、カカオ、チョコレート、フレッシュな葡萄、貴腐ワインのような発酵した葡萄、ドライレーズン、みずみずしさの残るレーズン、巨峰、葡萄の皮、葡萄の茎、ランシオ…、ポジティブな評価を受ける香味もあればネガティブな評価を受けがちな香味もあるにせよ、香味の種類としてはおそらく他にいくらでもあるでしょう。


上記に挙げたような多様な香味が味わいの中にどのようなバランスで結実しているかということは、私にとってはシェリーカスクのシングルモルトを飲むときの大きな楽しみの一つではありますが、ここ最近になって、シェリーカスクで熟成されたシングルモルトに関して、一つの議論が提起されるに至りました。

それを仮に「リアルシェリー・シーズニングシェリー問題」と名付けます。


最近、一部で話題の「リアルシェリー・シーズニングシェリー問題」

「オールドボトルのシェリーカスクのシングルモルトと、ここ最近のシェリーカスクのシングルモルトに味わいの違いがあるのは何故か?」という問いに端を発し、「シェリーカスクの出自」にまで至ったこの問題は、2018年初頭から日本のウイスキードリンカーの注目するところとなった非常にホットなトピックです。

日本を代表するウイスキーコレクターでありテイスターでもある山岡氏が、日本を代表するシェリー酒の大家である中瀬氏と邂逅したことで提起されるに至ったこの問題は、ざっくり言うと、80年代以降もしくは70年代後半以降からシェリーカスクにはシーズニングと呼ばれる手法で作られたシェリーカスクが出回り始め、それが出回る70年代前半以前のシェリーカスクの味わいとは全く違う味わいになっているというものです。


ウイスキー歴の長い飲み手の間で使われることがある「近年系シェリー」という言葉が示す通り、昔と今とでシェリーカスクで熟成されたシングルモルトの味わいに違いがあることは随分前から言われていました。(個人的には「マッカラン昔と今とは別物問題」も、言ってみればこれに帰結できるものだと思っています)

それをシェリーカスクの作りにあらためて焦点を当て、広くウイスキードリンカーに提示したことで、シングルモルトの飲み方を作りにまで遡って味わうことの意味を示したという点も含めて、この問題提起にはとても大きな意味があると思っています。

そうした意味でこの話は、(リフィル以降のシェリーカスクで熟成されたシングルモルトだと熟成年数的にどう換算、評価すれば良いのかなど、考察すべき点はまだあるとは思いますが)、シェリーカスクの味わいを考える上では今後間違いなく考慮に入れなくてはならない話題になりそうな気配があります。


昔のシェリーカスクの味わいは、失われたものになるのか。

山岡氏自身も、現行のシェリーカスクのシングルモルトにも美味しいボトルがあると承知していて、私を含めて多くの飲み手も同じように捉えていると思いますが、先の問題に従うと現行のシェリーカスクは殆どがシーズニングカスクということになり(実際そうです)、つまり今後、それ以前にあったシェリーカスクの味わいは失われたものになりかねないということになります。

それ故にこの問題は「新しくシングルモルトを飲み始める飲み手にとって、現在と今後に発売される様々なシェリーカスクのシングルモルトを飲んだとしても、シーズニングではないシェリーにあった香味を体験することは非常に難しくなるのではないか」という危惧に繋がるという意味で、時代に大きな線を引いてしまう可能性を提起するものでもあります。


ごめんなさい。めっちゃマニアックな話になってきた上に長くなるので、とりあえずこの辺りでアランの話に戻って終わりましょう。

何はともあれ、このアランですが、サルファリーさを全力で体感出来るアランですよ!

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