同価格帯では揺るぎない完成度の高さ。
評価:★ ★ ☆ Recommend!
CP:☆ ☆ ☆ ☆ ☆
価格:Standard
香り:
穏やかな香り立ち。林檎を思わせる香りが主体の華やかなエステル香。他には杏子、洋梨、オレンジといったフルーツ香も。続いて甘い麦芽香、淡いカスタードクリームとバニラ、淡い蜂蜜の甘さ。
味わい:
優しい口当たり。穏やかなウッディネスに続いて、ダージリンティーのような香味と林檎が合わさり、アップルティーのような印象。その後に溌剌とした麦芽の甘み。フルーツ香に少しだけ凝縮感が現れ、杏子の印象が少し強くなる。加水ボトルだが比較的しっかりとしたボディ。余韻へはなだらかに移行する。
余韻:
麦芽の甘みを引き継ぎ、アップルティーの印象が少し残る。最後は樽材由来の収斂が穏やかに現れる。
現行グレンリベットのスタンダード
皆さんご存知、何の変哲も無いグレンリベット12年のテイスティングです。
今更これのテイスティングなのか…?みたいな話はよく分かりますけども、まあちょっと聞いてくださいよ僕の話を。
最近のオフィシャルボトルは完成度が高い
実は私、最近思ってることがあって、なんていうか、『現行のオフィシャルボトルって、実はかなり美味しいんじゃね?』ということなんですけども。
最近久しぶりに開けたラガヴーリン16年は美味しいし、良く飲んでいるベンロマック10年も美味しいし、先日のMHDグランドテイスティング2017で飲んだMHDの各ボトルも軒並み美味しかったりで、このところオフィシャルボトルに関しては当たりしか引いてない印象があるんですよ。
僕はオフィシャルボトルからウイスキーの世界に入って、多くの先達の力添えもあって様々なボトラーや伝説級のボトルまで飲ませていただいてきたという流れで今まで飲んできているのですが、今こうして再びオフィシャルボトルに立ち返ってみて、当時は分からなかったオフィシャルスタンダードの魅力に今更ながら気付かされたというような感覚が、ここ最近強いのです。
飲み始めた当時とは自分の感じ方も違えばボトルそのものも違うので単純な比較は難しいところはあるにせよ、感覚的な部分では現行のオフィシャルボトルの完成度が高まっているように感じられること、また、もしそうでなくとも今の自分としてあらためてオフィシャルボトルに向き合ってみたいという欲求に駆られて、今回はオフィシャルボトル・オブ・ザ・オフィシャルボトルとでも言えるような、この「グレンリベット12年」を抜栓してみたのでした。
洗練された普及品
端的に言ってしまうと、全てのシングルモルトを見渡しても、このボトルのコストパフォーマンスを超えるものはそう簡単には見つけられないだろう、と思えてしまうほどの完成度の高さです。
フルーツ香(エステル香)、樽香、麦芽香と、全てのシングルモルトが持つ基本的な3つの香味に過不足がなく、それらが高いバランスでまとまっています。フルーツ香はスペイサイド地域のシングルモルト特有の華やかさを十分に発揮していて、誰からも一定以上の評価を受けて然るべき香味構成だと思います。
ウイスキーの価格高騰が騒がれる昨今にあって、これだけの完成度を誇るボトルが3000円前後で入手できるという事実は特筆に値します。
まさに「洗練された普及品」、「3000円で買える名品」と呼ぶべきシングルモルトだと思います。
垂直飲みが非常に楽しい
さて、グレンリベット12年は長く発売されているだけあって、年代毎のラベル変更の多いボトルです。
自分が所有しているだけでもラベル違いで5種類のグレンリベット12年があります。ウイスキー歴の長い方であればこの他に「赤玉」と呼ばれる更に古い時代のボトルを持っているかも知れません。
現行品には現行品の魅力があるように、オールドボトルにはオールドボトルの魅力があります。
特に度数が43%であった時代のボトルは、ハズレさえ引かなければ、口に含んだ際に現行品よりも濃密で凝縮感のあるフルーツ香を楽しめます。
香りだけを見ると現行ボトルには単純な華やかがあり、オールドボトルは香味の華やかさに加えて複雑さを持つ印象です。
特にUnblended表記のグレンリベット(画像に向かって一番右)は、それ以降のボトルとは一線を画す印象があります。
こうした飲み比べ(垂直飲み)は時代毎の味わいの違いや、ボトルの経年変化を知る上で有意義であり、また楽しいものです。
一般的にオールドボトルになるほどボトルの状態差が味わいに影響してきます。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 既に記事にしているグレンリベット12年は、上の写真に写っている2本とも別のボトルでしたが、間違いなく2010年代のリリースでした。 […]