美味しい。何も考えずに飲んでもいいし、丁寧に香味を拾いながら飲んでもいい。こういうボトルは意外とありそうで、実のところ少ないんじゃないかと思う。
The Singleton of AUCHROISK “Particular” 1978-1993 43%
評価:しみじみ美味い…( ★ ★ ★ ★ )Recommend!
CP:NR
価格:NR
香り:穏やかで甘い香り立ち。最初にべっこう飴、焦がし砂糖、麦芽の甘さとトーストのような香ばしさ。続いてほんのりと腐葉土、ココア、チョコレート、レーズン、糖度の高いワイン(貴腐ワイン)。ほんのりとミントの清涼感、奥から微かに木材の焦げたようなピート香。繊細だが複雑。
味わい:
優しい口当たり。優しく、丸みを帯びたシェリーと、甘く香ばしい麦芽の味わい。ボディは決して軽くない。
余韻:
味わいからそのまま移行し、香りの要素を引き継ぐ。度数から想像するより長い。穏やかなウッディネスと微かなスモーキーさが繊細に持続する。
シングルトン表記のオスロスク、オフィシャルボトル。1978年蒸溜、1993年ボトリング。ボトリングから24年の歳月を経て抜栓されました。蛇腹の外箱も豪華で、付属の冊子も充実しており、当時の受賞歴などが記されています。裏ラベルによると同蒸溜所からシェリーカスクを中心に59樽がヴァッテッドされた限定ボトルのようです。熟成年数よりも長い時間眠っていたためか抜栓時にコルクが破損してしまいましたが、保存状態は完璧でした。初めて飲みましたが繊細かつ複雑な香りと優しい口当たりにつられて幾らでも飲めてしまいそうでした。
個人的な印象ですが、このボトルにあるような、香りが繊細かつ複雑で、麦芽香に未熟さを感じさせず、優しい口当たりと決して軽くないボディを持つ、言うなれば高いレベルでバランスの取れているシングルモルトというのは中々ないんじゃないかと思います。ネックの小冊子にはウイスキー評論家マイケル・ジャクソンの言葉として『スムースで技巧的』という表現があり、まさに的確だと感じました。
このボトルと同じように優れたバランスを持つボトルとして思いつくものは、オールドボトルのロイヤルロッホナガー・セレクテッドリザーヴ(シェリー香が非常に秀逸)、オールドボトルのホワイトホース・グレンエルギン(このボトルよりもエステル香が主張する)、現行のシングルモルトではノッカンドゥ21年(このボトルよりも麦芽香が主張する)でしょうか。全部マイナー蒸溜所ですね(笑)ブレンデッドにまで幅を広げると、味わいの印象は異なりますがバランスという意味では響17年や21年、竹鶴17年や21年が該当すると思います。
こういった、穏やかさと複雑さを兼ね備え、バランスに優れたボトルが、私は基本的に好きなんだと思います。
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