ハイプルーフな長熟カリラ。ドライだが香りには熟成期間に相応しい奥行きがある。オススメはシンプルに加水。
Caol Ila 1983-2012 29Y. 61.4% Whisk-E ” World Wonders” selected and bottled by Morrison & Mackay Whisky Merchants.
評価:★ ★ ★
CP:☆ ☆ ☆ ☆
価格:¥
香り:しっかりとした香り立ち。塩素や金属を思わせるピートの香りが先行し、熟成感のある麦芽の旨味と甘さがそれを支える。僅かに遅れてメントールのようなすっとした感覚が鼻腔を抜ける。それに伴って穏やかな林檎、洋梨、うっすらと蜂蜜。
味わい:度数相当の強烈な口当たり。ドライさと甘さが口の中で弾ける。バニラ、穏やかなウッディネスが現れる。ボディは思いの外軽く、すぐに余韻へと移行する。
余韻:ドライで強烈にスパイシー。胡椒、山椒。その後に金属と塩素のようなピートと麦芽の甘さがじんわりと残り、メントールのような清涼感が残る。香りの構成とよく似る。
2012年に発売されたウィスクイーのオリジナルシリーズ『ワールドワンダース』第二弾ボトル。七種類発売されたこのシリーズの樽元は全てモリソン&マッカイ社です。
今ではウイスキー人気、特にアイラ人気の影響で価格もかなり高騰していて、ボトラーからのリリースも減少しているカリラ原酒ですが、このボトルの当時価格はだいたい15000円程度でした。当時はそれでも高いと思っていたのですが、ここ数年の価格の上昇は本当に凄まじいと言わざるを得ないです。
購入後は割とすぐに開けたボトルでしたが、そのときはあまりピンと来なかったボトルでした。しかし今あらためて飲んでみると見所のあるカリラだと思います。グラスに注いでから時間をかけて探っていくと、カリラに見られる塩素と金属を思わせる特徴的なピート香がしっかりとしているだけでなく、その奥からは甘い麦芽香以外にも複雑なエステル香が控えていて、熟成年数に相応しい奥行きをきちんと携えています。度数がどうしても高く、ストレートではドライさが目立ちますが、加水でドライさが抑えられつつ他の要素が綺麗に開き、かつバランスが崩れないのも好印象でした。
冷えたハイボールにもおそらくピッタリかも知れないと思い試してみたところ、結構美味しいものが出来ました。しかしドライさは消えるものの他の香味よりも塩素と金属を思わせるピートが単純な加水よりも立ってきてしまったため、オススメの飲み方はシンプルに加水です。
ラベルは古典古代の世界七不思議の一つ、ロドス島の巨像です。太陽神ヘリオスを象ったもので、全長34m、台座を含めると50mあったとされ、ニューヨークの自由の女神像に匹敵する大きさであったということです。
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