Rosebank 12Y. 43% Flora & Fauna

花のような華やかな香りと僅かな草の香り。ライトボディで穏やかだが寛げるモルト。

 

 

評価:普通( ★ ★ )

CP:普通( ☆ ☆ ☆ )

価格:普通( ¥ )

 


 

香り:穏やかだが華やか。オレンジ、林檎、洋梨。花のような香りと共に、芝生を刈ったときのような青い草の香りが僅かに感じられる。樽感は弱く、ピートは感じられない。

 

味わい:軽い口当たりで、まず麦芽の甘さを感じる。その後に青林檎の風味が広がる。

 

余韻:味わいを引き継ぎ、ドライで清涼感のある余韻。割と長い。

 


近年高騰著しいローズバンク。それでも「花と動物シリーズ」のこの1本だけは1993年の蒸溜所閉鎖以後も比較的長い期間に渡ってリーズナブルな価格で売られていましたが、さすがにもうなかなかお目にかかれなくなった気がします。

ローズバンク入門編と呼ぶに相応しい仕上がりで、花やフルーツといった華やかな香りとともに僅かな草の香りが立ち上ってくるのが特徴です。ただ、どちらかと言えば可もなく不可もなくと言ったところで、レアリティとネームバリューだけで手を出すのはやや躊躇してしまうボトルです。どうしてもほしい方以外は、その金額を近年蒸溜の他のモルトに回すのも全然悪くない手だと思います。

 

ローズバンクは多くのモルトファンにとっては特別な蒸溜所かも知れません。名前が美しいだけでなく、ローランド地方キャメロン地区で1840年に建設され1993年に閉鎖されるまでの間、ローランド屈指の品質を誇ったモルトとして、今も多くのファンの心を掴んでいます。ローランドの蒸溜方式である3回蒸溜でつくられたライトボディで軽い口当たりが特徴で、華やかな香味はローランドモルト屈指です。蒸溜所の跡地は現在レストランとして再建されており、蒸溜再開はまず無理でしょう。

高い品質を誇っていたにも関わらず何故閉鎖されたのか?閉鎖を惜しむ多くのモルトファンが口を揃えますが、ブレンデッドモルトが全体の90%以上を占めるスコッチの世界にあって、シングルモルトの品質だけで生き残っていくのはそれなりに難しいことだったのかも知れません。もしくは、90年代当時では2000年代に入って急激に盛り上がった今のウイスキーブームを予見するには材料が少なかったのかも知れません。いずれにせよ巨大資本であるディアジオの市場戦略の中で消えていった蒸溜所ということになりますが、僕も多くのモルトファンと同じように、もし今のようなウイスキーブームの時代にローズバンク蒸溜所が存在していたら、当時とはまた違った扱いになっていたのではないかとよく考えます。
ローランドの地理と歴史、その全盛期とそこにあった蒸溜所について知りたいと思った場合、2007年と少し古いですが、下記の稲富氏の記事が役に立ちます。

ローランド・ウイスキーその1. 産業考古学
ローランド・ウイスキーその2. 現存するモルト蒸溜所

最近のローランドモルトの動向については、下記のWhisky Magazineの2つの記事が役にたつでしょう。近年のウイスキーブームを追い風に、ローランドにも幾つもの新しい蒸溜所が建設されている状況を知ることが出来ます。

ローランドを往く(前半)
ローランドを往く(後半)

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