オフィシャル12年をブラッシュアップした印象。
評価:悪くない。
香り:やや若く、モルティーな香り。嫌味な感じはない。うっすらとレーズン、洋梨、オレンジ、奥からなめした皮の香り(レザー感)。ピートは薄い。
味わい:しっかりとしている。やや若い麦芽の甘さに加えてバニラの甘さ。やや重く、オイリー。
余韻:麦芽は引き継ぎつつ、酸味があり、胡椒やマスタードのスパイシーさが残る。かなり弱いが、ほんのりとレーズンの甘さが現れる。
ボトラーのアデルフィから不定期に発売されているファスカデール・シリーズの、第5弾ボトル。中身は加水のハイランドパーク12年で、シェリー樽とバーボン樽とのヴァッテッドだそうです。ボトリング本数が1483本だと考えると、シェリーバット1樽にバーボンバレル3〜4樽、もしくはシェリーホグスヘッド1〜2樽にバーボンバレルかバーボンホグスヘッド2〜3樽といった感じでしょうか。ざっくりですし適当ですが。
やや若いですが嫌味な感じのない麦芽感を基調にして、レーズンやバニラといったシェリーとバーボンそれぞれの樽に由来する香味が周りを支える構成で、ヘザーピートはやや弱いものの、しっかりと基本を押さえた作りをしていると感じました。
加水ですが46%と高めの度数で飲み応えもあり、オフィシャルのハイランドパーク12年(40%)の香味を全体的にリッチにしてブラッシュアップさせたような印象のボトルです。ただ、オフィシャル12年よりも1000〜1500円ほど高く、どっちが好みかと言われるとこっちなのですが、コストパフォーマンスではオフィシャルに軍配が上がってしまうかも知れません。
このボトルは当時試飲して気に入って買ったものですが、麦芽感(モルティさ)にやや若い感じを残すところが今の自分の好みからはズレています。個人的な体験として、色々飲むと好みも変わるということの良いサンプルになったボトルです。
当時の僕がそうであったように、オフィシャルスタンダードからのステップアップとしては非常によく出来たボトルだと思います。ただ、今の僕が思うに、もし今オフィシャルスタンダードから次のステージにステップアップするのであれば、もっと大きく跳躍するだろうなと思います。
そういう意味では少し不遇なボトルかも知れません。ボトルのポジションと役割はきちんと果たしてはいるのですが。