マッカラン 25年 43%

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良家令嬢の悲劇は、本人がただ美しいだけでは周囲が納得しなかったということにある。

ボトルチェンジ後のマッカラン25年。サントリーの正規輸入品です。このボトルデザインになってから、25年はこのボトルの他にファインオークというバーボンとシェリーのバッテッドがラインナップに加わるのですが、こちらは往年の慣習に従いオールシェリーカスクマチュアードのボトルです。

マッカランがシングルモルトのロールスロイスと呼ばれる所以を知りたければ60年代蒸留のボトルを飲むべきだと、多くの飲み手が口を揃えます。

その意見には僕も賛成はします。

現在はまだ全国各地のバーを探せば60年代のマッカランを見つけること自体は難しくないため、ロールスロイスの真のラグジュアリーを体験したいとか、噂の意味を触りだけでも感じてみたいとか言うのであれば、残念ながらこのボトルの出番はないかも知れません。

これより古い形の18年、出来れば25年を、是非とも試してみるべきでしょう。年代物の試乗にはそれなりにお金が掛かるものですが、充分にその価値はあると思います。


ただ、このマッカラン25年は美味しいウイスキーです。

濃密なシェリー香、ゆっくりと重く立ち上がってくる麦、クローブやナツメグ、胡椒のようなスパイス感など、そこにある香味は収まるところにきちんと収まっていて、主張もはっきりしています。

ロールスロイスがモデルチェンジを余儀無くされた時代にあって、過去へのオマージュとその時代の理想を追い求めて作られた、れっきとしたマッカランだと、僕は思っています。

それに、もしかしたらこのマッカランの味わいも60年代のそれと同じように懐かしく思う日が来るのかも知れません。特にマッカラン蒸留所は時代と共にますます新しくなり、味わいもどんどん変化していきます。

これから場所を変えて新しく建設される蒸留所で作られるマッカランがどのような味わいになるのか、今の段階で正確なところは何一つ分かりませんが、60年代のボトルとも違い、このボトルとも違うものになるのではないかという気がするのは、僕だけでしょうか。

香り:甘い。山盛りのレーズン。その後にココア、プラム、ブラックベリー。濃密なシェリー香が支配的。

口当たり:レーズン、ココア、キャラメルの奥から、ゆっくりと重く麦の甘さが立ち上がってくる。熟成感があるにも関わらず、麦感がしっかり残っているところが印象的。

余韻:長い。麦を引き継いだ後に胡椒、クローブ、ナツメグなどの多様なスパイスが続く。レーズンは後ろに下がるが絶えずそこにいる。

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