ここにまた一つ、新しい伝説が誕生しました。
GLENFARCLAS 1989-2018, 29Y. 55.4%
a.k.a. Black George Label
1st fill sherry butt, #11194
selected by Kazunori Shizuya
Bar Livet, Japan.
評価:★★★★☆ Recommend!
CP:☆☆☆
価格:★★★★★
ボトル紹介
東京ウイスキーコンペティション2019、堂々の最高金賞
2019年における話題のボトルの一つなのは間違いない、1989年蒸留のグレンファークラス、通称「ブラックジョージラベル」です。
新宿のモルトバー「Bar Livet」のオーナーバーテンダーでありマスターオブウイスキー保持者でもある静谷和典氏が、現地で厳選に厳選を重ね、奇跡的にボトリングに至った一本です。ご本人は「あの時の自分は駄々っ子だった」と当時を振り返っていました(笑)
オフィシャルボトルですが、ラベルはグレンファークラス蒸留所の親会社J&G GRANTの6代目当主であるジョージ・グラント氏のイラストが白黒で描かれた特別製です。表ラベルにはBar Livetの、裏ラベルには静谷氏の名前も刻まれています。
実はリリース自体は一年近く前から告知されていて、昨年のウイスキーフェスなどいくつかの会場では先行予約も受け付けていました。最近のリリースの中では相当のんびり購入できたボトルだと思います。
一躍有名になったのは先日行われた「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2019」において最高金賞を受賞したことがきっかけでしょう。受賞後の問い合わせは凄まじかったそうです。ボトリングが決まった当時は全量を捌けるかどうか不安もあったそうですが、蓋を開けてみれば光の速さで完売しましたね。
…事前に予約をしておいて本当に良かったと思っています。
静谷氏は2019年の4月にBai Livetの2号店となる「新宿ウヰスキーサロン」を開店しました。注目度としても、国内のウイスキー関連の話題において、現時点で最も勢いのある人物だと言えるでしょう。
テイスティング
高貴なシェリー香と熟成感。素晴らしいの一言
同じ1989年蒸留のグレンファークラスには「大傑作」であるグレンファークラス1989-2016メインモルト向けがあります。多くの飲み手に熱狂的に支持され、あれを超えるニューリリースはしばらく出ないだろうと考える人もいるくらい、本当に素晴らしいボトルです。
それを踏まえた上で個人的な見解を述べさせていただけるのであれば、このブラックジョージは「ニューリリースとしてメインモルト向け1989に並び立ち、もしくは凌駕した、現時点で唯一のグレンファークラス」だと思っています。
まごうことなき「大傑作」です。おそらく語り継がれるボトルになるだろうと思っています。
飲み比べました。
メインモルト向けの素晴らしいところは古酒感を伴う熟成香とジャムを思わせる強烈なベリー感です。それに伴い、オーク由来のウッディさやスパイシーさは比較的強いと言えます(当時は分かりませんでしたが、飲み比べるとハッキリします)。
対してブラックジョージは、樽由来のオーキーさとスパイシーさがメインモルト向けよりも抑えめで、代わりに熟成感と古酒感、シェリーカスクの複雑さが、「これでもか!」とばかりに全力で感じられます。
「高貴なシェリー香」という言葉が相応しい、甘く、複雑で、渾然一体とした香りは、他と比べても頭一つ抜けた印象があります。
ジャムを思わせるベリー感こそメインモルト向けに軍配が上がりますが、それ以外の全ての要素において、僕個人としてはブラックジョージが好みです。
本当に素晴らしいボトルなので是非飲んでみて下さい。あらゆる人にオススメです。
静谷さん、現地で駄々をこねていただき本当にありがとうございます。
そして購入できた方々、おめでとうございます。
テイスティングノート
香り:
しっかりとして芳醇な香り立ち。熟成感があり、奥深く、甘く、渾然一体としている。シェリーカスク由来の香味の複雑さは素晴らしいの一言。カカオ、ミルクチョコレート、穏やかなウッディネス、黒糖蜜、ベリー、黒すぐり、ランシオ、高貴なシェリー、使い込まれた家具、丁寧に保管された高級シガー、全体を貫くような古酒感。
味わい:
しっかりとしているが度数を思わせるようなアルコールのアタックはない。非常にリッチ。レーズン、黒糖、黒土、焦がした木材を思わせる微かな炭感、ダークチョコレートが効いたオランジェット、プルーン。ボディは厚く、非常に立体感がある。
余韻:
甘さと熟成感と樽由来の香味の複雑さを引き継ぎつつ、心地よいドライさとスパイシーさ。厚みがあり、長い余韻。
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