タリバーディン 1990 – 2014, 23年 52.2% SMWS 28.24 “Curiouser and curiouser”

ますます奇妙な…というタイトルは正しい


評価:★★☆

CP:☆☆

価格:★☆


目次

テイスティングノート

香り:

しっかりとした香り立ち。第一印象はハーバルでグラッシーだが、甘さもある。刈り取った芝生、積み上げられて陽に当たった干し藁、少し仁丹、ニガヨモギ、アロエ、根菜、微かな土っぽさ(アーシー、earthy)。バニラの甘さ、クローヴのスパイス感、白葡萄。香味の組み合わせが非常に独特。

味わい:

度数相当にしっかりとした口当たり。クローヴ、バニラ、生木を思わせる樽由来の収斂、アーシー、ややオイリー、アロエ。麦芽の熟成感はある。ボディは中程度。

余韻:

ややドライで、アーシーさとハーブ。ハーブリキュールのような甘さがあり、余韻は比較的長い。


ボトル紹介

2014年3月リリース。ソサエティからはリリースの少ないタリバーディン。

会員制ボトラーの先駆けであるスコッチモルトウイスキーソサエティ(SMWS)から、2014年3月にリリースされた蒸留所コード28であるタリバーディン。ボトルナンバー24(SMWSとして24本目にリリースしたタリバーディンという意味)です。タイトルは「Curiouser and curiouser(ますます奇妙な)」となっています。

30年を超えるSMWSの歴史でもまだ20数本程度しかリリースされていないことからも分かるように、タリバーディンはSMWSからのリリースが少ない蒸留所だと言えます。

また、2ndフィルのソーテルヌホグスヘッドという、これまた珍しい樽種で熟成されていることも特徴です。

ワインの産地としてのソーテルヌはボルドー地方の南東に位置し、世界最高とされる甘口ワインである「貴腐ワイン」の産地として知られています。代表的なシャトーは勿論「シャトー・ディケム」です。


シングルモルトとしてはかなり独特な香味。

このボトルで使われた樽がシャトー・ディケムのものだとは全く思いませんが、おそらく貴腐ワインの熟成に使用した樽だと考えて差し支えないのでしょう。そうじゃないと、わざわざソーテルヌを名乗る意味もない気がしますし。少なくとも白ワイン樽なのはほぼ間違いないと思います。とりあえずそういう前提で話を進めていきたいと思いますが、実際のところ、そんなことはこのボトルの味わいにとっては些細な問題です。

第一印象からして非常にハーバル(ハーブの風味)で、かつ独特な土っぽさと根菜感があります。しかし割と複雑な甘さもあり、麦芽の熟成感も存在します。それらが折り重なった結果、「ますます奇妙な」というタイトルに相応しい、甘さとハーバルさと根菜感の混じった、非常に独特な香味構成をしています。貴腐ワイン感を探すなら、うっすらと乗っている白葡萄の甘さにそれを求められるかも知れません。

美味しいかどうかは人それぞれですが、独特ですが楽しめる味わいなのも確かです。


珍味系、もしくは変態系シングルモルト

ソーテルヌカスクの「2ndフィル」というところもマニアックですね。仮にファーストフィルならおそらくもう少し樽感は強く出ていて、樽の個性も分かりやすかったでしょう。

しかし、そのほうが良かったかは全く分かりませんし、個人的には樽の個性が分かりやすいことが正義だとも思っていなければ重要な要素だとも思っていないです。

ただ、このボトルの味わいは非常に独特であり、溢れる個性に惹かれた当時の私は2本購入しました。

そして、購入から数年して増えたボトルの在庫整理をしなくてはならなくなった際に、残った1本をオークションで売りました。今考えれば、売らなくても良かったなと思っています。

そういうわけで手元に残っているのは残り数センチとなったこのボトルのみですが、

「シングルモルトの味わいって、本当に幅広いんだな

ということを素直に感じさせる、一風変わった面白いボトルだと思います。

あらためて飲むと、意外とクセになる味わいで、後を引くように飲めてしまいます。

私は変態なので、そういう捉え方をしているのかも知れません。なので、あまり参考になさらないで下さい。

とにかく、「すごく美味しい」っていうタイプのボトルではありません。それだけは確実に言えます。個人的に「何故かクセになる、後引く味わい」というだけです。

ご自身が変態であるという自負のある方にオススメしたいボトルです。

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