分かりやすい美人。
GLENMORANGIE 10Y. 40% OB
評価:★ ★ ☆ Recommend!
CP:☆ ☆ ☆ ☆ ☆
価格:☆
香り:
香り立ちは穏やかだが、最初に蜂蜜と切りたてのオレンジを思わせる華やかな香りがパッと広がる。その後にやや濡れた印象のあるウッディネス。奥から溌剌とした麦芽香。
味わい:
口当たりは優しく、度数相当。口に含むと暖かく濡れた印象のある樽由来の収斂。バニラ、オレンジ、麦芽の甘みは香りに比べるとやや強くなるが、収斂に併せてニガリのようなざらつきが現れ、麦芽感にはやや若さも現れる。樽感に助けられているとはいえ、ボディはさほど厚くない。
余韻:
樽由来の収斂を穏やかに引き継ぎ、優しいバニラとオレンジ。穏やかなドライさで終わる。
グレンモーレンジのオフィシャルスタンダード
誰もが知る高級ブランドのルイ・ヴィトンと、高級シャンパーニュやコニャックを取り扱うモエ・ヘネシーが合併し、1987年に誕生したのがLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)です。同社はウイスキー業界最大手のディアジオとも組んでMHD(モエ・ヘネシー・ディアジオ)を設立し、盤石の体制で酒類販売を行なっています。
グレンモーレンジ社(前身はマクドナルド・ミュアー社)は長らく独立資本としてシングルモルトの生産を手掛けていましたが、2004年にLVMH傘下となりました(グレンモーレンジ社は1997年にアードベッグ蒸溜所を買収していたため、こうした経緯でアードベッグ蒸溜所もLVMH傘下となります)。
その後は総責任者ビル・ラムズデン博士の指揮のもとオフィシャルボトルの刷新が図られ、ラベルとボトルのデザインも大きく様変わりして現在に至ります。
ボトラーへの樽売りを原則行わない代わりにオフィシャルボトルのラインナップは非常に豊富です。「10年」「ラサンタ12年」「キンタ・ルバン12年」「ネクター・ドール12年」「18年」「シグネット」といった6種類の通常品に加えて、毎年一回限定ボトルをリリースしている他、「ボンドハウスNo.1コレクション」のようなラグジュアリーかつコレクティブなレンジまで、そのリリースは多岐に渡ります。
設立は1843年、というわけで実は2018年にめでたく175周年を迎えました。それに合わせて同年7月から蒸溜所の拡張工事が勧められていて、現在のものと同じ形状のポットスチル2基(初留釜と再留釜)と、糖化槽と発酵槽も増設されるそうです(2019年竣工予定)。
今回のボトルである「グレンモーレンジ・オリジナル」(10年熟成)はグレンモーレンジの中では最も一般的で低価格なボトルです。そしてこれもまた「洗練された普及品」だと思います。
2018年5月にこっそりラベルチェンジしましたが、これは変更前のボトルです。といっても、もともと流通本数が非常に多く、また現在はラベルチェンジ直後の移行期に当たるため、気付かずに購入してしまうくらい普通に売られています。
同価格帯では随一の華やかさ
先日記事にしたグレンフィデック12年が「すっぴん美人」だとするなら、グレンモーレンジ・オリジナル10年は「分かりやすい美人」と言えばいいでしょうか。
グラスに鼻を近づけるだけで分かる香りの華やかさは、同価格帯のボトル随一だと思います。
この華やかさは主にバーボン樽由来のもので、蜂蜜やオレンジといった非常にキャッチーな香りは誰にとっても好ましく感じられるのではないかと思います。
口に含んだ後は樽感と麦芽感が香りよりやや強くなるものの、基本的に加水で均された穏やかなものです。ボディは厚くなく熟成感も年数並みですが、香味のバランスは取れています。
オールドボトルとの比較について
グレンモーレンジは独立資本だった2004年までは国分株式会社が国内正規輸入代理店でしたが、買収後はMHDが取り仕切っています。
同じグレンモーレンジ10年を現行ボトルとオールドボトル(丸瓶)とで垂直飲みすると分かりやすいかも知れませんが、現行ボトルの香りの華やかさはオールドボトルと比べても鮮烈です。
ただしこの華やかさは長続きせず、最初にパッと華やいだ後は飲み進めるにつれて薄らいでいく印象があります。
また、それまで43%だった度数は40%へと下げられ、ボディからはどうしても厚みが失われました。この辺りは国分輸入時代のボトルとの比較で必ず取り沙汰される部分です。
非常に大まかな傾向ではありますが、現行ボトルは華やかですがボディと飲み口が軽く、オールドボトルは状態さえ良ければ厚みのあるボディと濃密な香りを楽しむことができます。
ハイボールにしたことがない?それは勿体無い!
やや濃いめのハイボールがとても美味しいです。オレンジの甘さが引き立ってきます。
試したことがないのであれば是非ともお試しください。女子受けも良しです(体験談)
これを足掛かりに18年も是非
グレンモーレンジ・オリジナルには、ストレートでも十分楽しめ、ハイボールや水割りもこなすオールマイティーさがあります。
そのため、自宅で一本抱えても苦労することなく消費しきれるボトルではないかと思います。非常に今更ではありますが、勿論Recommend!です。
また、これを飲んで現行のグレンモーレンジが気に入ったのであれば、是非ともグレンモーレンジ18年は飲んでほしいです。価格はどうしても上がってしまいますが、18年は更に完成度が高く、現行のオフィシャルボトルの中では頭一つ抜けた印象のある仕上がりだと思います。
コメント
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[…] ① まず、ウイスキーのボトルを用意します。今回は⑴「グレンモーレンジ10年」と⑵「ラフロイグ10年」の2本とします。 […]