タリスカー 2009 – 2018, 8年 59.4% ディアジオスペシャルリリース2018

味わい良し、マニア受け良し。個性を伸ばし、飲みごたえもある限定タリスカー。

TALISKER 8Y. 59.4% Diageo Special Releases 2018


評価:★ ★ ★ Recommend!

CP:☆ ☆ ☆ ☆

価格:★


香り:

しっかりとした香り立ち。ベーコンの燻製を思わせるピートが先行し、奥からは甘い麦芽香。樽感は思いの外強くなく、麦芽香には雑味や未熟感を感じない。

味わい:

しっかりとした口当たりで度数相当。樽感は変わらず控えめで、麦芽の甘さに添える程度。胡椒のスパイス感とベーコンを思わせるピートは強くなる。麦芽の味わいも太く溌剌とした印象を強める。シンプルな構成だが、ボディは厚め。

余韻:

味わいを引き継ぎ、タリスカーらしいドライな胡椒と唐辛子のスパイス感が長く持続する。


目次

ディアジオ社の恒例シリーズから、初のタリスカー8年

ディアジオリミテッドリリースとは

ディアジオ・リミテッド・リリースは、酒販業界の大手企業ディアジオ社が自社所有の蒸留所の限定ボトルを年一回リリースするシリーズです。

豊富な在庫と資本力を背景に、ボトラーでは出せないクオリティとレアリティを誇るボトルを毎年リリースしていて、どのボトルも本数限定、カスクストレングスなのが特徴です。

2018年は10本がラインナップされましたが、昨年まで継続的にリリースされていたブローラとポートエレンが遂に姿を消しました。80年代に閉鎖されて以降原酒の生産がない両蒸溜所のボトルをいつまでも出せるわけはなく、今後ますます両蒸溜所の原酒の希少価値は高まっていくでしょう。

2018年の全ラインナップはこちらにまとまっています(英語)https://www.thespiritsbusiness.com/2018/09/full-details-of-diageos-2018-special-release-revealed/


オールドボトルの銘品が現代に復活!?遊び心と期待感でマニアの間では注目に

そんな中でちょっとした話題となったのが今回のタリスカー8年です。

なぜこのボトルが話題になったのかというと、タリスカー8年といえばオールドボトルの銘品中の銘品として、ウイスキーマニアの間で名を馳せているからです。

限定生産品を除いて現在オフィシャルで発売されているタリスカーの熟成年数は10年と18年ですが、1960年代や1970年代には8年、12年というリリースがありました。ラベルの変遷とともに味わいも変遷し、過去にリリースされたタリスカーの味わいは既に失われた味わいと言われています。

そんな中で往年のボトルと同じ熟成年数のタリスカーが限定リリースされるということで、同じものが出来ないことは十分に承知の上でディアジオがどんな味わいで出してくるのか?と、コアな飲み手(つまりマニア)は地味に注目していたのです。

毎年このシリーズの日本での発売は半年遅れの翌年2月頃なのですが、そういう流れもあり、価格も手頃だったため、海外から先行で入手した飲み手が多くいました。

それに伴い都内の一部のバーではリアルタイムで開く機会にも恵まれています。


味わいの完成度は高く、飲みごたえも十分。ツボを押さえた作り。

味わいの完成度は高く、よくまとめられた印象があります。

先行するピート香は燻製ベーコンやBBQのニュアンスで、どちらかというとアイラモルトを彷彿とさせます。そこに麦芽の溌剌とした甘さと胡椒や唐辛子のスパイス感が合わさる構成です。雑味や未熟さを感じさせないところは流石だと思います。

高い度数は飲みごたえも十分で、口に含んでから余韻にかけて、胡椒や唐辛子を思わせるスパイス感がしっかりと感じられます。現行タリスカーの個性が素直に伸ばされているという印象です。

このボトルはシングルヴィンテージで、ファーストフィルのバーボンホグスヘッド熟成であることがアナウンスされていますが、樽感は強くなく、これは度数の高さと、ファーストフィルとはいえバレルより大きいサイズのホグスヘッドを使っていることに由来するのではないかと思っています。人によってはオフィシャル10年よりもプレーンな印象を受けるかも知れません。

総括すると、奇をてらわず、まとまりを保ちつつ、現行オフィシャルよりも飲みごたえがあり、個性が素直に伸ばされ、価格も納得できるレベルと、タリスカー好きは勿論、海千山千のコアな飲み手も満足させる出来栄えだと思います。


現行のオフィシャル10年と飲み比べると、このボトルの個性は更に分かりやすくなるでしょう。タリスカーは現行のオフィシャル10年も非常に良い出来です。

また現行10年との飲み比べは、シングルヴィンテージとマルチヴィンテージの味わいの違いを理解するのにも適切な組み合わせだと思います。

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