樽に負けない麦芽の味わい。王道を往く。
TOMATIN 18Y. 43% (distributed early 2000’s)
評価:★ ★ ★
CP:☆ ☆ ☆ ☆
価格:★ ☆
香り:
穏やかな香り立ち。穏やかな香ばしさと程良い熟成感のある麦芽の甘さ、べっこう飴、クレームブリュレ。奥から焼き林檎、洋梨のコンポート。僅かな腐葉土とコーヒー、焦げ感。香りにまとまりがある。
味わい:
口当たりは度数相当だが、すぐに舌にビリリと来るアルコールとスパイスの主張。続いて穏やかなウッディネスと焦げ感、シェリーのニュアンス、穏やかなバニラ、麦芽の甘味。香味は馴染んでおり、ボディは比較的厚い。
余韻:
穏やかなウッディネスと少しのバニラが持続する。乾いた木材(オーク)、麦芽の甘味がじんわりと残る。
2000年代初頭に流通していたトマーティンのオフィシャルボトル18年。現行ボトルより二世代前のボトルなので、そろそろ見ることも少なくなってきたかも知れません。つい先日、出張で伺った長野県の酒屋で見つけて入手しました。
この時期とこのデザインのオフィシャルトマーティンで有名なのは、おそらく赤いラベルの25年のほうだと思います。ちょうど1976年蒸留のトマーティンの香味が持て囃された時期に、逆算するとその頃の原酒が使われているのではないかということに当時の飲み手が気が付き、市場に売れ残っていた25年は瞬く間に姿を消したそうです。
当時といってもだいたい10年と少しくらい昔のことで、歴の長い飲み手にとっては割と最近のことだという認識なのではないでしょうか。今ほどモルトの価格も高騰していなかった時代の話で、私の知らない時代になります。
作りとしては16年間バーボン樽で熟成させた後、2年間オロロソシェリー樽で追加熟成させた、いわゆるカスクフィニッシュです。
カスクフィニッシュですがシェリーの味付けは非常に穏やかで、むしろ麦芽の甘みを引き立てる方向に作用していると思います。麦芽の味わいをしっかりと楽しめるのはハイランドのシングルモルトだからでしょうか。結果として香味には奥行きが生まれ、樽負けしない麦芽の香味は、シングルモルトは麦を原料として作られていることを力強く主張するかのようです。シングルモルトの王道を往く味わいだと思います。
雑味らしい雑味もなく、10000円ちょっとで入手したことを考えると非常に良い買い物だったと思います。当時はもっと安く売られていたこともあったみたいですね。
個人的には非常にウイスキーらしいウイスキーという印象で、シングルモルトらしいシングルモルトだと思っています。
一人、物思いに耽るにも最適な一杯だと思います。
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