雑味なしでバランス良し。キルホーマン、これから来る予感。
KILCHOMAN 2009-2017 46% Official Release.
評価:★ ★ ★ Recommend!
CP:☆ ☆ ☆
価格:★
香り:
やや穏やかな香り立ち。ナッティで燻製を思わせるアイラピート。シトラス、レモンピールのような爽やかな柑橘香、穏やかな魚介のBBQ。そのまま静置し、少し置くと、奥からフレッシュな林檎、洋梨、麦芽の甘み。
味わい:
口当たりは優しい。熟成の若さをピートが消すのではなく、溌剌とした若い麦芽感とナッティなピートが上手く混ざり合っている印象。そこまで複雑な印象はないが、雑味がなく、ナッティさ、ピート、麦芽の旨みとのバランスが良い。
余韻:
余韻はさほど長くなく、香り、味わいの印象を引き継ぐ。やや荒いスパイス。
2017年、今年にリリースされたキルホーマンの最新ヴィンテージ。加水の46%で、ワールドリリースの日本正規輸入品です。
本場スコットランドのアイラ島で2005年に創業したキルホーマン蒸溜所は、日本で言うところの秩父蒸溜所と同じようなポジションの蒸溜所で、かつその先駆けだと言えます。
つまり当時の新興蒸溜所であり、今ではクラフトディスティラリーの牽引役だということです。
小回りが効いて樽種や麦芽品種など様々な趣向を凝らせるスモールバッチ生産や、シングルカスクの積極的なリリースなど、販売戦略やブランディングにおいても現在のクラフトディスティラリーに先鞭をつけた蒸溜所であり、秩父蒸溜所の肥土伊知郎氏も大いに参考にされたというお話を伺ったことがあります。
販売戦略上どうしても限定品が多く、熱狂的なコレクターがいるところもよく似てますね。
そんなキルホーマン蒸溜所が満を辞して世界市場に向けてリリースしたボトルが、今回のボトルです。
ピートは50ppm、ファーストフィルとリフィルのバーボンカスクをメインに、オロロソシェリーカスクを3樽バッテッドしているそうです。
端的に言って、とても良い出来だと思います。ヴィンテージ付きの限定生産なのは変わらないとはいえ、国や地域を限定せずに発売したオフィシャルボトルとしてこのボトルをリリース出来たということが、キルホーマンを新興蒸溜所として評価する時代が終わりつつあることを示しているのではないかと感じました。それだけの実力を備えた、バランスの良いボトルだと思います。蒸溜所の自信の表れだと取ってもいいでしょう。
ピーティーさと麦芽の旨みのバランスが上手く取れていて、落ち着いて香味を取ればフレッシュなフルーツ香をきちんと感じ取ることも出来ます。
たしかに、香味が複雑かと問われると熟成年数相当だと答えざるを得ません。それでも、熟成の若さを整えるだけに止まらない香味バランスは高く評価すべきポイントであり、これからのキルホーマンの礎になるのに必要十分な要素を兼ね備えた美味しいボトルだと思います。
最初 ★ ★ ☆ としましたが、後日評価を ★ ★ ★ に繰り上げました。甘い採点かも知れませんが、いずれにせよきちんと評価すべきウイスキーだと思っています。おススメです。
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