よう山崎、久し振り。数年見なかっただけで随分と変わったな、お前。
YAMAZAKI 18Y. 43% No.810383 (2017 Release)
評価:★ ★ ★
CP:☆ ☆
価格:★ ★ ☆
香り:
甘く、穏やかな香り立ち。まずベリーを思わせるシェリー香が優しく香る。続いて切りたての林檎を強く思わせるエステリーなフルーツ香。林檎、柘榴。奥から穏やかに麦芽香。うっすらと香木や伽羅香。樽を焦がしたようなひとすじのピート。更に飲み進めると林檎を思わせるエステル香が主体的になり、他の香味は分かりづらくなる。それと共に若干の青臭さが現れる。
味わい:
度数相当の滑らかな口当たり。麦芽の甘さに穏やかなタンニンの収斂、バーボンカスクを思わせるウッディネス。ミディアム〜ライトボディ。
余韻:
ウッディネスとモルティーさが持続する。ふんわりと伽羅香が残り、僅かな唐辛子のスパイス。
よう山崎、久し振りだな。
お前、ちょっと見ない間に随分変わったな。
好きでやってるのかどうか知らんけど、俺は昔のお前のほうが好きだぜ。
オフィシャルボトルの山崎18年。2017年、今年のリリースです。
年間限定生産で、国内市場にすらあまり出回らず、出回ってもすぐに完売、時にはプレミアム価格で売られているようなボトルですが、縁があって定価で入手することが出来たので早速抜栓しました。
山崎18年は私にとって、最も思い出深いウイスキーです。ウイスキーの美味しさを初めて体験させてくれたボトルは山崎18年でした。これは別に大昔の話ではなく、ここ5年以内の話です。
非常に多層的なウイスキーであるという印象を持っていて、山崎蒸留所で作り分けされた様々な個性を持つ原酒が匠の技でブレンドされた、世界でも山崎にしか作り得ない唯一無二のボトルだと思っています。
ただ、今回のボトルはどちらかというと一般的にバーボンカスクを思わせるような樽香とエステル香が強く、何というか、原酒比率、相当変えたんじゃない?と思えるくらい、味わいのバランスがエステリーな方向に大きくシフトしています。
味わいは一定以上のレベルで、エステリーさも山崎蒸留所の原酒の持つ個性の一つだと思いますが、久しぶりに飲んでみて、多層的で精緻な構築美とでもいうべき印象はだいぶ薄れました。
たかだか数年の間に、ラベル変更もなくここまで大きく味わいが変わっていたことには、少なからず驚きがあります。
上手く言えませんが、色あせた古い写真に写る、仲の良かった子供の頃の、今は会えない親友を見た時のような感傷が、胸の内にあります。