ラフロイグ 1998-2020、21年 58.3% ザ・ニンフ ハンピーイエロー

池袋ジェイズバー店主の蓮村氏がこれを選んだ理由が分かるし、だからこそ今飲んでみてほしいボトル

Laphroaig 1998-2020, 21Y. 58.3%

The Nymph “Humpy Yellow”

for J’s Bar Ikebukuro, Japan.


評価:★★★☆ Recommend!

CP:☆☆

価格:★★★★★


ボトル紹介

アードベッグの2週間後に発売されたニンフ第5弾は、人気バーとのコラボボトル

9月27日に行われた「おうちでノマーレ」内でリリースが告知されると同時に発売、瞬く間に完売したThe Nymphシリーズの第3弾グレンマレイ、第4弾アードベッグ。

その興奮も冷めやらぬ中、リリースが告知されたニンフシリーズ第5弾ボトルは1998年蒸留のラフロイグ21年でした。

…殺す気なのか?

ウイスキー沼の住人たちを駆逐してやる的なノリなのか?

他の奴らとは面構えが違う的なことを言われたいわけなのか?

98ラフとかよぅ…こんなん気になるに決まってんだろうがよ…。

そしてこのボトルを含むニンフシリーズのオンラインテイスティング会を、私ドリンカーズラウンジが何とかサービスとしてかたちにしたいと奮闘しているドリシェアの主催で行わせていただくことができました。こうしたかたちでお声がけいただけることは非常に光栄です。

また、こちらのボトルも事前にサンプルボトルをいただきました。本当にありがたいです。

そんなわけで謹んでテイスティング記事を書いていこうと思います。


テイスティング

ヴィンテージの個性を存分に発揮したフルーティーラフロイグ。

前回リリースのアードベッグの時も思いましたが、2020年現在によくこのスペックのラフロイグをボトリングしましたよね…。T&T Toyama、気合入ってますね…!!

このボトルの味わいをものすごくざっくり言うならば、初めて飲む人には新しく、昔から飲んでいる人には少しの懐かしさの中に感動がある、そういう味わいと言えるのではないかと思います。1998年蒸留のラフロイグとして見てもレベルの高い味わいで、まさに1990年代のラフロイグの魅力を凝縮したような、美味しいフルーティーラフロイグを地で行く味わいです。

直接ご本人に話を伺ったわけではありませんが、モルト侍の愛称で親しまれているジェイズバーの蓮村氏はきっと「新しい飲み手の人たちに基準となるべき美味しいラフロイグを知ってほしい」という気持ちを込めて、このボトルを自身のバーのコラボボトルとして選んだのではないか?と、僕は思っています。

シングルモルトを新しく愛好するようになった人がここ数年全国で増えていく中、このボトルで1998年蒸留ラフロイグを初めて飲むのであれば、時間をかけることでヨードピートの奥から果実味の強い複雑な甘さを発見するでしょうし、少し歴の長いウイスキー愛好家であれば絶対にあると分かっているヨードピートは無視して積極的にフルーツ香の厚みを探しに行くという飲み方をするのではないでしょうか。

フルーツ香は多彩です。オレンジやグレープフルーツに始まり、時間が経てばパッションフルーツ、グァバなど、いわゆるトロピカルと呼ばれる香味の片鱗までもがそこにあります。

近年、ラフロイグ蒸留所のオフィシャルボトルとしては、一年に一度バッチナンバーが付けられる10年カスクストレングス(国内未入荷なので海外の酒販店から輸入します)など、比較的リーズナブルでありながら蒸留所の個性を強く押し出したボトルがコンスタントに登場していますが、今回のニンフのラフロイグはそうしたオフィシャルの限定ボトルよりもフルーティーさの点で圧倒的に優っていて、1998年蒸留のラフロイグの面目躍如だと言える仕上がりになっていると思います。

シングルモルト愛好家同志の「少し前の過去と現在」の間にある溝を埋め、かつそれを繋ぐ、意味のあるリリースだと思います。少し前(だいたい5年以上くらい前)に美味しいと言われていて、今もそうであるラフロイグの味わいがこのボトルの中にあります。

ウイスキー、特にシングルモルトの味わいに興味を持ち、現行のボトルを中心にウイスキーを飲み始めた人(ほとんどの人にとって入り口はそうだと思う)には是非とも飲んでみてほしいボトルであり、以前からウイスキーを愛好してきた人にも、「これが1998年蒸留ラフロイグの今の姿だよ」ということを知ってほしく、やっぱり飲んでみてほしいボトルです。

ここ最近では久しく見ていなかった1990年代の王道のラフロイグでありながら、その味わいを新しい人たちに繋ぐ意味でこれからを見据えているという点で、まさにジェイズバーの蓮村氏らしいセレクトだと感じました。

価格は決して安くありません。分かります。数年以上前なら考えられないと、モルト歴の長い人であれば思って然るべきでしょう。ちなみに僕もコストパフォーマンスに関しては低めに付けています。

ただ、良ければ一度同一ヴィンテージで他のボトラーズからリリースされるラフロイグの価格を調べてみてください。もっと高いので。

それはともかく、非常に意味のあるリリースだと思います。


テイスティングノート

香り:

しっかりとした香り立ち。しっかりとしたスモークとヨードピート、そしてフルーツと麦芽の熟成感。ヨードと灰を思わせるアイラピートに、林檎、オレンジ、グレープフルーツ、パイナップル、さらに時間をかけるとパッションフルーツ、グァバといった印象の多彩なフルーツ香が折り重なる。ほんのりとミントのニュアンスも。

味わい:

口当たりには度数を感じさせない丸さがあるが、口に含むと一転して強烈なヨードピートの力強さと、灰を被ったグレープフルーツのような柑橘系の甘酸っぱさが一気に現れる。そこから灰とヨードを伴ってじわじわと麦芽の旨味が立ち上がり持続する。ややしっかりめな樽由来のウッディネス。ボディは厚い。

余韻:

味わいの印象を引き継ぎ、炭、灰、フルーツ。余韻は長い。