グレンファークラス 2004 – 2019、14年 59.4% cask#965 キャンベルタウンロッホ20周年記念

今の飲み手に向けられた、名店からの温かなメッセージ

My GLENFARCLAS…Please! 2004-2019, 14Y. 59.4% Family Cask

To Commemorate the 20th Anniversary of Campbelltoun Loch

cask: refill sherry hogshead (ex.vintage 1994)

cask #965


評価:★★★ Recommend!

CP:☆☆☆

価格:★★


目次

ボトル紹介:有楽町の名店、20周年記念ボトルのひとつ

2004年蒸留、2019年ボトリング、リフィルシェリーホグスヘッド熟成のグレンファークラス14年ものです。シングルカスク、カスクストレングスで、ファミリーカスクでのリリースです。

ラベルが特徴的なこのグレンファークラス は、シングルモルトバーとして世界的に(本当に世界的に)知られている有楽町の「キャンベルタウンロッホ」さんの20周年記念ボトルとしてリリースされたもののひとつです。

店内に入ったことのある方はご存知かも知れませんが、このラベルと同じ絵がバーの奥の壁に額装されて飾られています。

グレンファークラスの2004年ヴィンテージはドイツ向けや信濃屋さんが秩父ウイスキー祭に合わせてリリースした祭ボトルなどがあるものの、ヴィンテージとしては正直あまりメジャーではない印象です。しかし何故この樽を20周年記念で選んだかには理由があり、それはこの2004カスクの前身にグレートヴィンテージとして知られる1994年蒸留の原酒が詰められていたからとのことです。

ヴィンテージと樽の良し悪しだけで選ぶ以上に自在感のあるとしか言いようのない樽選びには、一人のモルトファンとして完全に心揺さぶられてしまいます。

テイスティング:葡萄畑と葡萄ジュース、ベリージャム、香ばしい麦芽感。それらの自然な一体感。

非常に美味しいグレンファークラスです。

特に葡萄ジュースをそのままノージングしているのではないかと思えるほどの甘い葡萄感、そこからゆっくりと開いてくるベリー、イチジクといった複雑な果実香は、1994から2004に受け継がれた樽ということを踏まえずともしっかりと感じられる上に、踏まえて飲むことでより一層印象的に感じられるでしょう。

樽自体は確実に近年のシーズニングシェリーカスクのはずですが、しっかりとしたシェリー感に加えて香ばしい麦芽感もゆっくりと上がってきて、それらがあくまでも自然に絡み合い、ヴィンテージからは想像出来ない複雑な印象と深みを構成しています。口に含んでからのウッディネスとスパイス感も非常に心地良く、不思議なことにちょっとした古酒感まで感じられます。

樽由来の甘味と心地良い渋味、スパイス感、複雑なフルーツ香、香ばしい麦芽感。時間をかけて飲めば分かる要素の豊富さとバランスは2000年代のグレンファークラスとして記憶に残る味わいで、私はこれを「今の飲み手に向けられた、名店からのメッセージ」だと受け取りました。

当然Recommendで、私の直感的な評価は★★★ですが、飲む人によってはもっと高く評価されるでしょう。

近年ボトルの味わい、ただしそれだけではなく、シングルモルトの奥の深さを感じさせてもらえるボトルだと思います。

キャンベルタウンロッホさん、20周年おめでとうございます。きっとこれからも様々な学びと楽しみを、新時代の飲み手達に提供してくださるのでしょう。


テイスティングノート

香り:

しっかりとした香り立ちで、甘い。搾りたての葡萄ジュース、イチジク、ブラックベリー、少し苺、年代物の赤ワイン、葡萄畑の土を思わせる香り、生っぽいレーズン。そこから樽材由来の穏やかなスパイス感として胡椒、弱い生姜。心地良いウッディネス、穏やかに花の蜜のような甘さも。後半にかなりゆっくりと葡萄畑の土を思わせる香りの中に微かな内陸ピート、それにちょっとした古酒感まで感じるが、これは気のせいかも知れない。いや、そんなことはないはず。

味わい:

しっかりとした口当たりで度数相当。濃密なシェリー感からはベリージャム、葡萄、奥から香ばしい麦芽感も少し顔を出す。生姜の清涼感、胡椒のスパイス感がやや強くなる。ボディは厚め。そのまま余韻へと移行する。

余韻:

搾りたての葡萄ジュースの甘さが返ってて、心地良いウッディネスと生姜のスパイス感がじんわりと長く伸びる。

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