香味バランスの取れた薄味ハイランドモルト。デザインは凝っているがコスパは良くない。
THE DEVERON 12Y. 40% OB
評価:★★☆
CP:☆☆
価格:☆
ボトル紹介
「ラストグレードモルト」の一角、マクダフ蒸留所のオフィシャルスタンダード。
バカルディ社が所有する「アバフェルディ」「オルトモア」「クレイゲラキ」「マクダフ」「ロイヤルブラックラ」の5つの蒸溜所のシングルモルトは、2015年に「ラストグレートモルト」と銘打たれ、装いも新たに再リリースされました。
アバフェルディ以外は長らくオフィシャルボトルが発売されていなかった蒸留所であり、加えて年間限定品が多かったとはいえどれも熟成年数表記ありでリリースされたことは、シングルモルト愛好家の間では嬉しいニュースになりました。
そんなラストグレートモルトの一角であるマクダフ蒸留所の新しいオフィシャルスタンダードが、今回紹介する「ザ・デヴェロン12年」です。
マクダフはボトリングに際して異名の多い蒸留所で、以前までのオフィシャルボトルはグレンデヴェロンという名で発売されていました。ボトラーリリースではマクダフの名をそのまま使っていることが多いです。
テイスティング
バランスのとれた薄味モルトだが、帝王の牙城を崩すには至らないか。
香味バランスの取れた薄味なハイランドモルトだと言えます。
香味は全体的に非常に穏やかですが「麦芽の周辺にフルーツ」というハイランドモルトらしい香味構成です。やや若くドライな印象はあるものの、バランスは取れています。レモンピールのような爽やかなフルーツ香は同蒸留所のオールドボトルにも通ずる個性だと思います。こういう薄味モルトは、たまに飲みたくなります。
ただ、このボトルと似た香味のボトルを探すと、特にアンノック12年は細部はともかく全体的にとても良く似た味わいです。そしてあちらは価格がほぼ半分の「薄味モルト界の帝王」であり、このボトルでは価格面で太刀打ち出来ません(通り名は適当)。
年間限定生産ボトルなので希少性はそこそこ高く、他と比べてボトルデザインやコルクデザインにもこだわりが感じられたりするのですが、ここ最近の「5000円以下のボトル」は非常に層が厚いので、こういうところは推しポイントにならんのです。本当にすいません。
味わいだけ見れば個人的にはアリなんですけどね。それに推せないにせよ、ボトルデザインは色使い含め凄く好きなんですけども。
簡単に言うと、コスパが悪いです。
そして薄味がダメな人は僕より低めに評価しそうな気もします。
香り:
非常に穏やかな香り立ち。うっすらとしたレモンピールを思わせる爽やかな柑橘香が先行する。そこからうっすらと麦芽。更に僅かに林檎や青林檎、添えるくらい穏やかなオークと弱いスパイス。非常に弱いが、すえたような内陸ピート。
味わい:
度数相当の優しい口当たり。穏やかなドライさに続いてやや若さのある麦芽の甘さ、乾いたオーク。少しだけ切った林檎の印象。ほんのりと塩気がある。ボディは軽く、余韻への移行は早い。
余韻:
余韻の長さは中程度からやや短い。麦芽の甘さの後に穏やかなドライさと胡椒のスパイス感。
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