ミルトンダフ 2011 – 2019, 7年 60.6% アスタモリス for モルトヤマ

スペックからは想像できない、見どころのある短熟シェリー。こういうボトルがあることを知ってほしい。

MILTONDUFF 2011-2019, 7Y. 60.6%

Selected by ASTA MORRIS

for Maltoyama in Japan

cask REF. AM 077

Sherry butt

150 bottles.


評価:★★☆ Recommend!

CP:☆☆☆

価格:★


ボトル紹介

目次

ベルギーボトラーと富山の酒販店のコラボボトル

ベルギーに本拠を置くインディペンデントボトラー「アスタモリス」から富山の酒販店「モルトヤマ」向けにリリースされたプライベートボトルで、シェリーバット7年熟成のミルトンダフ。輸入元は静岡蒸溜所のオーナーでもあるガイアフローです。

シェリーバットは容量が500L以上あるため、一樽から600本近くボトリングされることが普通ですが、このボトルは150本。全量ボトリングではなく、原酒の一部を樽わけでボトリングしたのだと思われます。


テイスティング

こういうボトルがあることを知ってほしい。若いが芳醇で嫌味のない短熟ミディアムシェリー

正直言うと、最初はスペックだけを見てあまり期待せず飲んだのですが、良い意味で裏切られました。

短熟ミディアムシェリーモルトとして、見どころのあるボトルだと思います。

もともとの酒質が穏やかでクセがないせいなのか、黒糖やレーズンを思わせるシェリー感は心地良いだけでなく、奥行きがあります。そのため、ミディアムなシェリー感を香りと味わいの両方できちんと楽しめる仕上がりになっています。口当たりで度数を感じさせないところも好印象です。

おそらく使っているシェリーカスクが良いのでしょう。樽供給元のアスタモリスが全量ではなく一部分をボトリングに回したのも頷けます。今飲んでも見どころはありますが、ウイスキー好きであればこの奥行きは熟成で更に開き、更に馴染むだろうと考えると思いますし。

ただし原酒には若さが伴い、口に含んだ後から余韻にかけても度数相当に力強いドライさとスパイシーさが現れます。このあたりは熟成期間的に仕方のない部分だなと思います。

しかし熟成期間にばかり強調せず、是非とも魅力あるシェリー感にフォーカスほしいボトルです。このボトルの意味はまさにそこにあり、僕はこのボトルのように意味のあるボトルは個人的に推していきたいです。

なので、特に飲み慣れている方にこそ、ボトルのスペックで倦厭せずに一度飲んでほしい一本です。

モルトバーであればその部分をプッシュできるだろうと思いますので、バー商材としてもあって損のないボトルではないかと思います。


加水はオススメ

既に著名なウイスキーブログ「くりりんのウイスキー置き場」でも紹介されているのですが、強めに加水すると原酒の若さに由来する要素が抑えられ、このボトルの良さが更に分かりやすくなると思います。

香り立ちからシェリー香の良さが削がれず、強めだったドライさやスパイシーさは抑えられ、樽材由来の穏やかなウッディネス、カカオ、ミルクチョコレートといった香味も現れてきます。

刺激が取れることで口当たりから余韻にかけてもマイルドになり、香味のバランスも上手く取れてくる印象があります。

このボトルに対する前述のくりりん氏のブログは僕とは違った切り口であり、これまでの短熟ミディアムシェリーモルトを俯瞰する視点も込められていて、一読の価値ありです。


テイスティングノート

香り:

穏やかだが甘い香り立ち。黒糖、レーズン、微かに土っぽさを感じさせる穏やかなシェリー香。オーク由来のスパイス。奥のほうに僅かにサルファリーがあるが気にならない。加水するとスパイス感が抑えられ、かわりに麦芽の甘さが立ち上がってくる。

味わい:

口当たりは度数よりも優しい。口に含むと若い麦芽由来の甘さとシェリー由来の穏やかなシェリーカスク由来の甘さが絡み合い、度数相当のドライさも現れる。カカオ、チョコチップビスケット、ジンジャーブレッド。

余韻:

ドライでスパイシー。ジンジャーブレッド、生姜の印象を伴う余韻。


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