タリスカー 18年 45.8% オフィシャルボトル

十分以上に価格に見合う味わい。正統派オフィシャルボトル

TALISKER 18Y. 45.8% OB


評価:★★★ Recommend!

CP:☆☆☆☆

価格:★


ボトル紹介

目次

ちょっと贅沢な現行タリスカー

私は以前このブログの記事の中でタリスカー10をして「3000円で買える名品」と呼んだわけですが(今もそう呼んでいます)、そんなタリスカーのオフィシャルスタンダードの上級品に当たるのが、今回紹介するタリスカー18年です。

今は10年同様にどこでも売られているので入手自体は割と簡単ですが、以前は一年に一回だけリリースされる年間限定ボトルだった時期がありました。今はどうやらそうではないらしい、というか、オフィシャルサイトからそういう記述がなくなったので、もしかしたらスタンダードラインナップの一つになったのかも知れません。良いことだと思います。

価格はだいたい10000円前後。タリスカー10年が3000円前後なので約3倍はするわけですが、もちろん更にプレミアムな25年や30年よりは高くありません(当たり前)。ちなみに25年や30年は、今も昔も年に一回しかリリースされない年間限定ボトルです。

そんな、昔からあったような気さえするタリスカー18年ですが、初リリースは2006年。意外にも2000年以降に発売された比較的新しいオフィシャルボトルです。

リリース当時から滑り出しは非常に好調で、発売翌年のWorld Whisky Award(WWA)2007ではその年最高のウイスキーに選ばれています。

原酒構成も10年とは違い、18年は構成原酒の3割程度にリフィルのヨーロピアンオーク樽熟成原酒を使用しています。この樽はもともとシェリーの熟成(とりあえずウイスキー用に作られたシーズニングシェリー樽という認識でOK)に用いられていたものだそうです。

こうした上記の諸々は、オフィシャルホームページに簡潔にまとめられています。もう少し詳しく知りたい方はとりあえず一度見てみたほうが早いと思うのでリンクを掲載しときます。

タリスカー18年オフィシャルホームページ:https://talisker-online.jp/lineup/y18.php


テイスティング

あからさまなくらい金額と味わいが正比例。しかし素晴らしい香味構成

価格では10年の3倍ですが、そこはウイスキー業界最大手のディアジオ、価格分の味わいをきっちりと保証してくれているところは流石だと思います。

まず、抜栓直後から非常に仕上がった印象で、これは優れた長所だと思います(これよりプレミアムな25年や30年についてですが、以前までは加水されないカスクストレングスでボトリングされていたため抜栓直後はややドライさが先行し、香味が開くまで少し時間がかかりました。ただ、現在は25年も30年も45.8%の加水ボトルになっているので、この部分がどうなっているかは分かりません)。開けてから間を置くことなく楽しむことができるのは、私のようにせっかちな飲み手にとっては嬉しいことです。

また、10年と比較するまでもなく、香りにも味わいにもら明らかな熟成感とそれに由来する甘さがあります。香味全体の複雑さと奥行きは10年とは比べものになりません。

更に10年にはないレーズンやプラムといったシェリーカスクを思わせる香味があり、これらも香味や奥行きを作り出すのに一役買っています。つまりヨーロピアンオークシェリーカスク原酒が非常に効果的に使われていることになるわけです。

タリスカー特有のチリペッパーのようなスパイシーさは、熟成感があるためかどうしても穏やかですが、味わいの後半から余韻にかけてじわじわと主張してきます。そしてそれが後半の香味のアクセントとなって、余韻の長さを演出しています。


全ての要素に意味がある。文句ない完成度でオススメ

このボトルに対して私が素晴らしいと感じるところは、上記で説明したような味わいの構成要素一つ一つにきちんと意味があるところと、それらが協調して単独では出し得ないであろう香味バランスを実現しているところです。

「スタンダードではない、より上級の、洗練されたオフィシャルボトルの味わいとは」という飲み手のイメージや要求に、申し分なく応えてくれる、まさにお手本のようなオフィシャルボトルです。

トータルバランスや完成度という点では、以前記事にしたグレンモーレンジ18と同様に「同価格帯での味わいやCPの基準になり得るボトル」だと思います。これはもう素直にRecommendせざるを得ません。

こういうボトルをコンスタントにリリースできるディアジオの底力には、凄みを感じざるを得ませんね。


香り:

やや穏やかな香り立ちだが熟成感があり複雑。麦芽の熟成感と甘さ、燻製香を思わせる穏やかなピートスモーク。ローストナッツの塩気、控えめなウッディネス、バタースコッチ、ミルクキャラメル、プディング、奥から洋梨、ワックスを塗ったオレンジ、微かにレーズン、プラム、アプリコット。

味わい:

染み込むような口当たりは加水を思わせるが、飲み応えはきちんと保たれている。麦芽の熟成感と甘さを主体として、仄かなレーズンとプラム、穏やかなバニラ、穏やかに岩塩と胡椒、香り同様に弱い樽感とウッディネス。ボディは中程度で、ゆっくりと余韻へと移行する。

余韻:

味わいを引き継ぎ、心地良いドライさ。岩塩、穏やかに胡椒、その後に少し唐辛子。余韻の長さは中程度か、やや長め。


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