シェリー感はほどほど。麦芽感は太く、おそらく経年で角が取れた味わいは好印象。飲み頃なのかも。
GLENFARCLAS 10Y. 40% OB (2000’s)
評価:★★☆
CP:NR
価格:NR
テイスティングノート
香り:
穏やかな香り立ち。甘さが先行する。ザラメ、糖蜜、蜂蜜、奥から麦芽の甘さ、林檎、ややみずみずしい葡萄、少しレーズン。
味わい:
度数相当の優しい口当たり。コクがあり、麦芽の甘みがしっかりと感じられる。カラメル、黒糖、サトウキビ、ローストした麦芽、レーズン、やや凝縮感のあるフルーツ、やや乾いた印象のあるウッディネス。熟成感はないが、酒質からはある程度まで荒さが取れている。ボディは中程度以上で、度数よりもどっしりとして厚い印象がある。
余韻:
ややドライで引っかかる印象はあるものの、口当たりの甘さを引き継ぎ、あまり長引かずにすっと消える。
ボトル紹介
2000年代初頭に発売されていたオフィシャルボトル
もはやオールドボトルなのは間違いないですが、これより古いボトルを知っている人にはあまり刺さらず、これより新しいボトルしか知らない人に省みられるほど市場に残っていないという、ウイスキーブームの昨今にあってもオールドボトルとしての中途半端さを拭い切れないオフィシャルのグレンファークラス10年です。2000年代の初め頃に流通していたもののようです。
何年か前に都内の酒屋さんで発見し、とりあえず確保したボトルです。
程よいシェリー感と太い麦芽感。経年で荒さが削がれたか。
濃厚なシェリー感を期待するには割とナチュラルめな色味の時点で多分違うだろうというのは予想通りです。ヴァッデッドされた原酒にはセカンドフィル、サードフィルも多く含まれているのでしょう。これは別に悪いことではないと思います。
だとしても、穏やかながらも香味の主体はあくまでシェリーカスクのそれであり、ザラメや糖蜜、レーズンを思わせる香味をきちんと見つけることができます。また、口当たりにはローストしたような印象のある太い麦芽の香味が備わっていて、度数以上に厚みを感じさせる骨太なボディは好印象です。
若さを感じないわけではなく、そのため熟成感もありませんが、味わい全体として角が少ないのはおそらく経年変化によるものだと考えられます。それによりおそらく発売当時よりも味わいが馴染み、飲み頃の一つを迎えつつあるボトルだと言えるのではないかと思っています。
現行との飲み比べや、気軽なデイリーユースとして
ボトリング後20年近く経年しているため当時の姿は推測する以外にないですが、もしかしたらこの辺りから「グレンファークラスファークラスも何だか薄くなったな…」と言われていたのではないかと個人的に思っています。経年による仕上がりの違いを無視すれば、味わいの方向性はもしかしたら現行ボトルと然程変わらないのかも知れません。
いずれにせよ突き抜けた印象はありませんが、既に述べたように角が取れて一つの飲み頃を迎えつつあるといった印象で、手元にあるなどすれば現行ボトルとの気軽な飲み比べの他、デイリーユースに向くタイプに仕上がっていると思います。
評価は★★☆としていますが、★★★にするかちょっと悩んだボトルで、現在の評価基準における同一評価の中では美味しい部類に入るボトルです。
あまり珍しいわけではないはずなのにオールドボトルとしての立ち位置が中途半端なことが災いしてか、最近ではバーでもあまり見かけません。Recommendを付けなかったのはそうした理由からです。
頑張って探すほどではないかなとは思いますが、寄った先でもし見かけたら一度飲んでみるといいのではと思います。