是非とも加水しながら飲んでほしい!!!
LAPHROAIG 1999-2013, 14Y. 54.6%
distilled 23 June 1999
bottled 5 Nov 2013
1st fill bourbon barrel #116101
252 bottles.
評価:★ ★ ★
CP:☆ ☆
価格:★ ★
香り:
香り立ちは穏やかだが徐々にはっきりとしてくる。ヨードピート、レモンやライムの酸味、そこに麦芽の甘みと穏やかな樽由来のバニラ、蜂蜜が加わる。時間経過でグレープフルーツの甘酸っぱさ、海産物の塩気。
味わい:
度数相当に力強い口当たりでドライ。ピートに灰のニュアンスが加わり、塩気が増す。ややザラつきのある麦芽の甘み。奥から薄っすらとしたパイナップル、グレープフルーツの甘酸っぱさがゆっくりと上がってくる。
余韻:
ピートは持続し、胡椒や生姜のスパイス感。口腔内や舌先を刺激するドライさが残る。
信濃屋の禽獣図絵シリーズ第3弾
樽元はウイスキーエクスチェンジ、ボトリングは2013年ですが発売は2015年で、ちょうどラフロイグ蒸溜所の200周年記念の年にリリースされたボトルです。
表記では1stフィルバーボンバレルの14年熟成ですが、本数は252本とホグスヘッド並みです。
禽獣図絵シリーズはラベルの秀逸さから転売が非常に多く、一時期オークション市場を賑わせました。
このボトルもだいたい60000円近くで取引されていた時期がありますが、元値はだいたい18000円くらいです。
ボトラーズラフロイグに典型的なピート感、その奥に潜むフルーツ
熟成樽は1stフィルバーボンバレルとなっていますが、樽感はあまり強くなく、色味も薄いです。
252本という本数から考えても、実はバーボンホグスヘッド熟成なのではないかと思えるような樽感です。
度数が高く(ハイプルーフ)、熟成もそこまで長くないため、アイラモルト特有のピートの主張が強く、フルーツ香や麦芽香は全体的に控えめな印象です。
ピート感はヨード、灰、燻製、海産物の塩気という印象で、こうしたピート感はハイプルーフのボトラーズラフロイグでは割と典型的に見られるものではないかと思います。
ただし時間をかけるとグレープフルーツやパイナップルを思わせるフルーツ香が奥からゆっくりと上がってくるため、時間経過を含めた全体としては奥行きのある香味展開を感じることが出来ます。
少しずつ加水しながら飲んでほしい
このボトルの発売された2015年はラフロイグ蒸溜所の200周年に当たる記念すべき年であり、オフィシャルからも様々な限定ラフロイグがリリースされました。そのため、当時はそうしたボトルと比較されながら飲まれたボトルだったと思います。
中でもこのボトルと熟成年数の近いボトルに200周年記念のラフロイグ15年ありました(200周年記念のオフィシャルラフロイグ15年の当ブログ記事はこちら)。
200周年の15年は多樽ヴァッテッドと加水によって香味が整えられ、ピート感は比較的穏やかで、フルーティーさが開いたボトルです。
それと比べると、ストレートで飲むこのボトルはフルーティーさが弱いと感じられるかも知れません。
そうかも知れません。ですが、というか、であれば、このボトルは是非一度少しずつ加水しながら飲んでみてほしいです。
加水によって主張の強いピート感は徐々に抑えられ、それに伴って隠されていたフルーツ香と麦芽の甘さが開き、力強くも複雑なラフロイグへと変化していきます。
そのため、個人的にはこのボトルは飲み手各人が適切だと思えるところまで、少しずつ加水しながら飲むことを強くオススメしたいです。
個人的に上記の経緯はあったものの、発売当時にこのボトルとオフィシャル15年を比較した記事として、池袋のシングルモルトバーの名店「ジェイズバー」の店主である蓮村さんのブログほど、このボトルの味わいを的確かつ見事に言葉にしていた記事はないと感じたので、ここでご紹介させていただきます(http://blog.livedoor.jp/malt_samurai/archives/51598042.html)。
「スモーク、ピート、塩。それだけで納得していたら、このウイスキーの魅力を半分しか愉しんでいないだろう。」
という言葉はこのボトルの捉え方として個人的に非常に気付きが多かった一文でした。
私が加水を強くオススメするのは、この記事の捉え方に影響されている部分が大きいです。加水すると言葉の意味が分かりやすくなるのではないかと思っています。
というか、加水せずにこのボトルの奥にあるフルーティーさにあそこまで言及するのは、実は凄いことなんじゃないかと思います。
と、いうわけで、本日無事に飲みきりと相成りました。
メリークリスマス。
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