時間はかかる。しかし応えてくれる。香味さえ開けば納得の仕上がり。
BEN NEVIS 1996-2018, 21Y. 54.4% Kingsbury Exclusively bottled for Musashiya.
評価:★ ★ → ★ ★ ★ Recommend!
CP:☆ ☆→ ☆ ☆ ☆
価格:★ ★
追加TASTING NOTE(残量約1/3)
香り:
穏やかに始まり、徐々にしっかりとしてくる。薄めたシロップと白桃。オレンジ、オレンジオイル。僅かにオイリーで溶けたバターのニュアンスのある甘い麦芽香。ドライアプリコット。非常にキャッチー。
味わい:
口当たりは度数相当で飲み応えがあり、ややドライ。柑橘系の甘さで、蜜柑、オレンジ、オレンジの皮。人工甘味料を思わせるややケミカルな甘さを感じることもできる。そこなら麦芽の甘みが開き、オイリーでやや精油を思わせるテクスチャーが僅かに現れる。程よいウッディネスで、ミディアムボディ。
余韻:
ドライさよりも甘さを引き継ぐ。麦芽の甘みとオレンジ、アプリコットが持続する。僅かに胡椒、唐辛子のスパイス感が残る。
※参考:抜栓直後のTASTING NOTE
香り:
しっかりとした香り立ち。アルコール揮発香。レモングラスや発酵した藁、乳酸を思わせる酸味の後に、クリームやバターを思わせる、甘いがオイリーで重い麦芽香。そこからうっすらとオレンジ、オレンジマーマレード。しばらく待つとザラメや糖蜜、やや生木を思わせるウッディネス。甘い果実香も出てこないわけではないが、他にマスクされていて、立ち上がりは遅い。
味わい:
口当たりは度数相当に強く、ドライさが先行する。その後のテクスチャーはクリーミーで、オイリーさのある麦芽やオレンジのクリームのニュアンスが口腔内をコーティングする。ミディアムボディで、ドライさを伴いながら程なく余韻へと移行する。
余韻:
ドライさを引き継ぎ、胡椒や唐辛子を思わせるスパイス感の後にアプリコット、黄桃、蜂蜜と続く。オイリーさが残る。
ボトル紹介
大手酒販店、武蔵屋さんのプライベートボトル
1996年蒸留のベンネヴィス21年熟成。樽供給元であるキングスバリー社のマークが大きくあしらわれた青いオリジナルラベルが特徴的です。
他の投稿でも書きましたが、1996年は近年ベンネヴィスの中では優良ヴィンテージだと思います。
このボトルは大手酒販店の武蔵屋さんが取り寄せた15種類ものサンプルからダントツの人気で決まったという話だったので、かなり期待して購入しました。15種類という量のサンプルを取り寄せるのは、きちんとした実績と自力がないとなかやか出来ないことだと思ったからです。
しかし正直に申し上げますと、開けたてはかなりガチャガチャしていてコメントに窮する感じの味わいでした。
その後色々なことをして(ボトルを振ってエアレーションする、コルクをしない状態で一晩置くなど…)今日でだいたい二週間。
非常に良くなってきたので、あらためて御紹介したいと思います。
テイスティング
開けたては、香味コンテンツ豊富だが雑味も多い印象
開けたては、よく言えばボリューミーで、香味のコンテンツ豊富なボトルだと思います。ただ、その豊富なコンテンツの中にはしっかりと雑味も含まれているという印象で、他にも味わいから一貫するドライさと、重くオイリーなテクスチャーとがぶつかることで騒がしく、一体感やバランスに少し欠ける印象がありました。
良い部分はあるのかも知れないけれど辿り着くまでに超えなくてはならない壁が多い、そんな、一言で言えば「時間のかかるボトル」という印象でした。
再テイスティング
時間経過で雑味は取れ、良い部分が鮮明に!現時点では強めのスワリングは非推奨
時間を経過させることで、壁となっていた雑味が取れ、96ベンネヴィスに感じられるフルーティーなオレンジや蜜柑、オレンジの皮に加え、このボトルではアプリコットや白桃も感じられます。また、麦芽の甘さも開き、それに伴っていたオイリーなニュアンスは適度に抑えられました。
更に、発酵して酸っぱくなった干し草や藁のような香味が消えました。この部分は大きいと思います。ただし、スワリングするとまだ若干出てきてしまうため、基本的に現段階ではスワリングはせずに静置して楽しむことを推奨したいです。
今後はこの辺りも変わってくるのでしょう。
強めの加水は相変わらずオススメ
やや強めの加水は、相変わらず非常にオススメです。フルーツエステル香が非常に伸び、林檎、白桃、パイナップルを思わせる香りが現れてきます。その他、バニラや蜂蜜を思わせる樽由来の甘い香味も現れると共に、雑味も上手く抑えられます。
おそらくこのボトルは、年単位できっちりと保管することで最高のポテンシャルを発揮するのではないかと思われます。
トロピカルかどうかは各自の心が決める
トロピカル難民の皆さんは、トロピカル速報の結果がどうなのか?ということが気になって仕方ないだろうとは思いますが、このボトルにある香味をトロピカルと呼んでいいのかは、個人的にはやはり何とも言えません。
香味が開いてフルーティーに振れたとはいえ、この辺りの認識は大して変わらず、追記前と同じ写真で申し訳ない上に伝わるかどうかは分かりませんが、
こんなトロピカルで皆さんが満足しないことを、僕は知っていますからね?
みたいなやつだろ?おめーらがほしいのはよ。
残念ながら、そういう感じじゃねえよ?ということはお伝えしたいです。
まあ最終的には各自の心が決めるってことで。だってみんなのトロピカル、幅広いんだもん。
抜栓したてで全てを判断してはいけないという戒めとなったボトル
そんなわけで個人的にはこのボトルにトロピカル香があるという見解にはやっぱり否定的なんですが、最初はともかく、適切な時間さえかければ、このボトルは美味しいボトルだった!ということをあらためてお伝えいたします。
武蔵屋さん、最初に変な書き方をしてしまって本当にごめんなさい。美味しかったです。
最初の注文時に二本買っているので許してください。
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