GM、栄光の軌跡。
GM Macphail’s 30Y. 40% Crystal Decanter
評価:★★★☆, Happy Birthday.
CP:☆☆
価格:★★★
香り:
穏やかだが濃密な香り立ち。レーズン、プルーン、アプリコット、べっこう飴、ザラメ、醤油やみたらし団子。奥からは濃厚で甘く、熟成感のある麦芽香。麦芽香は徐々に強くなっていく。わずかに腐葉土。他、ココアパウダー、ティラミス。取ろうとするなら僅かにメロン。香りは変化に富み、上品で過不足なく、バランスが良い。
味わい:
口当たりは度数相当。優しく、さらりとしている。しかしボディは思いの外しっかりとしている(厚いと言えるほどではない)。レーズンに凝縮感が現れ、穏やかなウッディネスと収斂。
余韻:
味わいから程なく移行し、穏やかなウッディネスと、加水で程よく均された熟成感のある麦芽の旨味が持続する。
ゴードン&マクファイル(GM)が数年前にリリースしたマクファイル30年。クリスタルデキャンタに入った豪華版です。蒸溜所は不明となっていますが、中身はマッカランだと言われています。このような長熟のオリジナルボトルをボトラーとして長期に渡りリリース出来るのは、まさに歴史と伝統のGMならではと言えるでしょう。
その後、40年もの、50年ものと、GMマクファイルの栄光の軌跡にはまだ続きがあるのですが、高額商品であり、さすがに入手は出来ませんでした。
そんなボトルですが、5月14日が誕生日だったので、せっかくなのでリッチな気分を味わうべく抜栓となりました。
見てくださいよ、このリッチなボトルシェイプ。お金の匂いがプンプンしますね。
実際透明度の高いクリスタルガラスでできたデキャンタはずっしりと重く、非常に豪華な作りです。飲み終わった暁には他のウイスキーやブランデーを入れての再利用待ったなし!というところですね。
実を言うと、飲むのは今回が初めてではありません。数年前に日本橋のバーで一度飲んだことがあります。
ざっくり言ってしまうと、熟成香を纏ったシェリーカスクのGM加水味です。この印象は以前飲んだ時から変わりません。経年変化で香味の開きがあることを少し期待していましたが、そういうタイプのボトルではなかったのかも知れません。
ざっくりと言ってしまいましたが、内容はさすがに高レベルでまとまっていると思います。GM独自の集中熟成庫でのカスクコントロール、「Magic」とも称される洗練された加水技術の為せる技なのか、非常に嫌味のない、上品でバランスのとれたウイスキーに仕上がっています。40%と強めの加水で飲み口は度数相当に軽やかなのにも関わらず、ボディは度数以上にしっかりとした印象があります。非常に優等生です。
ただ、あまりにも綺麗で品のいい仕上がりなので、そこに物足りなさを感じる人はいるかも知れません。
ウイスキーとテイスティンググラスについての話。
今回は誕生日ということもあって、グラスが普段のグレンケアンとは違います。自宅にある一番良いグラスで飲んでみました。
リーデルのブルゴーニュ(バーガンディー)・グラン・クリュというグラスで、もともとはワイン用、それもブルゴーニュ地方の赤ワイン古酒をテイスティングするために開発されたグラスです。
割と良いウイスキーボトルが一本買えてしまうほどのお値段です(が、リーデルはたまにセールを開催している時があり、そこが狙い目です)。絶対に割りたくないので、たまにしか出さない上に飲み終わった後はケースにしまうまでは途中で寝たりしないことを徹底しています(笑)
大きなボウルの中に香りを長く留めることができるので、渾然一体としてフルーツ香の強い長熟のシングルモルトには非常に向いていると思います。また、今回のように長熟でも香味が穏やかになりがちな加水タイプのウイスキーにも、香味の強さをブーストする作用があるため結構向いていると感じました。ただし、熟成年数が短く香味の荒さが残るモルトに対しては欠点を強調する結果になりかねないのではと考えています。
どのグラスにも言えることかも知れませんが、このグラスも万能なグラスというわけではなく、上手く使うことでウイスキー本来のポテンシャルを十分に引き出すことが出来るということだと思っています。
こうしたモルト用グラスの再発見は先輩モルトドリンカーの方々が開拓してきた分野ですが、まだまだ知見が広がっているとは言えない分野でもあります。
グラスによる味わいの違いというのは確かにあるため、機会があれば様々なモルトドリンカーに声を掛けて、色々と探ってみたい分野です。
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