樽の効いたラフロイグだなと思ったら、そういう造りでした。ハイボールが吉。
評価:★ ★ – ★ ★ ☆
CP:☆ ☆ ☆ ☆(容量が1000mlだから)
価格:★
LAPHROAIG QA Cask 40% (Travel Retail)
ボトル紹介
空港などの免税店向けに発売された(トラベルリテールと言います)ラフロイグのオフィシャルボトル、QAカスク。免税向けではありますが、並行輸入品として国内にも一部出回っています。熟成年数表記はありません。
QAはquercus alba(クエルクス・アルバ)の頭文字で、これはアメリカンホワイトオークの学名です。
アメリカンホワイトオークはウイスキーの熟成樽の材料として最も多く使われている木材です。
ウイスキーの熟成に最も多く使われているのがバーボンの空樽で、それらが原則的に100%アメリカンホワイトオークで作られているため、必然的にそうなるんですけどね。
裏ラベルを読むと、ファーストフィルのバーボンバレル(ex-bourbon barrels)で熟成した後に、アメリカンホワイトオークで作ったバレルサイズの新樽に移して追加熟成した(フィニッシュしたということです)との旨が書かれています。
前述の通りバーボンバレルは原則的に100%アメリカンホワイトオークで作られているため、上記の説明を言い換えると、「一度バーボンの熟成に使われたアメリカンホワイトオークの空樽で原酒を熟成させた後に、アメリカンホワイトオークで新たに作った新樽に移し替え、あらためて追加熟成を行なった」ということになります。
簡単に言うと、バーボンバレル熟成のバーボンバレル新樽フィニッシュということになるわけですね。ややこしいですが。
テイスティングノート
香り:
穏やかな香り立ちで始まる。薬品を思わせる特有のピート香と共に、バニラを思わせる樽材由来の甘い香り。香味全体としてもこの二つが主体だが、徐々に甘い樽感が優勢になってくる。強めのウッディネス。奥から穏やかに砂糖漬けのオレンジピール、ほんのりとグレープフルーツのワタを思わせる甘苦さ。
味わい:
度数相当の優しい口当たりで、香味全体が加水で均されている印象。サラリとした舌触りでボディは厚くなく、余韻への移行は早い。ピートと加水で上手くマスクされているが、やや尖った未熟な原酒のニュアンスは僅かに残る。複雑さはない。
余韻:
ピーティーでウッディ。
凡庸です。
味わいとしては、申し訳ありませんが「バーボンバレルの樽感を強めたラフロイグの加水NASボトル」と言ってしまえば伝わる人には全てが伝わる香味構成をしていて、楽しむことは出来るものの、そのまま飲んでもそんなにありがたみのあるボトルではないな、と言うのが、個人的ですが率直な感想です。
加水によっておそらく強過ぎた樽感を抑えたのでしょうが、他の香味までも一様に均されてしまっています。
結果として味わいに厚みや複雑さもないため、熟成年数表記を隠すまでもなく熟成のあまり長くない原酒を使っているだろうこともある程度分かってしまいます。
これならラフロイグ10年で十分です。
ハイボールかな…
度数に比べてしっかりめなこのボトルの樽感は、強めの炭酸でハイボールにすると生きてきます。
炭酸の刺激が樽由来の甘さや原酒のピートと上手くマッチするとともに、元の度数が40%と低いため、割とゴクゴクと飲めてしまう夏向けのデイリーハイボールへと見事に生まれ変わります。
これしかないんじゃないかという程に、ハイボールでどんどん消費してしまうのが正解かなと思っています。
素晴らしいことにタリスカーハイボールが開拓した粗挽き胡椒との合わせもイケますし、昨年ひっそりと流行した粗挽き山椒との合わせでも非常に美味しく楽しめます。
胡椒も山椒も、あまり多く振りすぎると原酒の香味が負けてしまうため、ほどほどで留めておくのがポイントです。
トラベルリテールのボトルらしく1000mlとお得な容量になっているので、今年の夏はこれをハイボールにして楽しみつつ、さっさと飲み切ってしまいたいと思っています。
余談ですが、カートンが200周年記念になっているのは2015年に発売されたボトル限定です。中身は全く変わりませんが、ちょっと嬉しいですね。
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