76トマーティンの桃感に、柑橘の果汁感。
TOMATIN 1976-2016 aged 39 years 43.8% W.Cadenhead single cask GOLD
評価:★ ★ ★ ★ ☆ Recommend!
CP:☆ ☆ ☆ ☆
価格:★ ★ ★ ★ ★
香り:
穏やかな香り立ち。熟したフルーツの甘い香り。缶詰に入った桃とシロップ、熟成感のある麦芽香、ほんのりとバターブレッド。
味わい:
しっかりとした口当たり。乾いた木材を思わせるウッディネスとドライさ。そこから厚めの熟成感のある麦芽の甘さとフルーツの甘さが渾然一体と絡み合い、続いて透明感のある雑味ない果汁感が弾けるように広がる。桃、ピンクグレープフルーツ、オレンジ、微かにライム。味わいでは過熟傾向がやや感じられるものの、果汁感のあるフルーツフレーバーと合わさって味わいに深みを与えている。
余韻:
味わいのウッディネスとドライさを引き継ぎ、果汁感の強い柑橘、心地よい収斂。
2016年に本当にひっそりと発売された、ケイデンヘッド・ゴールドの1976年蒸留のトマーティン。バーボンホグスヘッドの39年熟成、シングルカスクでボトリング本数は162本です。
「前回の72クライヌリッシュの記事」にも書いた通り、ウイスキーにもワインと同じくどの蒸溜所にも当たり年、グレートヴィンテージがあります。
トマーティン蒸留所のグレートヴィンテージといえば、1976年を外すことはできないでしょう。
味わいの特徴は桃感、小児用ドライシロップのような、ケミカルとも言われるトロピカルフレーバー。本当に流行りました。世界的に大注目のヴィンテージだったと思います。2000年代前半から2010年くらいまでにかけて数多くのボトルがリリースされました。ウイスキーでも限られたボトルにしか見られない「トロピカルフレーバー」を、60年代のボウモアよりも先に、76トマーティン(もしくは76ベンリアック)で体験した世代の飲み手は私だけではないはずです。
トロピカルフレーバーは、少しずつ形を変えながら、その後も多くの飲み手に求められているフレーバーです。76ベンリアック、アイリッシュシングルモルト、そして最近ではインチマリンの一部のボトルにもトロピカルがあるのでは?など、一部の飲み手のトロピカルフレーバー探しの旅路は今もまだ続いています。
先に書いた通り、76トマーティンに見られるトロピカルフレーバーは60年代ボウモアに見られるものと違って「ケミカルな」と形容される要素があります。この部分は特徴の一つでありながら、コアな飲み手の間では何をどこまでトロピカルと表現すべきかということについて評価の別れる部分でもあります。
ただ、このボトルにはホグスヘッド熟成のなせる技なのか長い熟成期間のなせる技なのか、そうしたケミカルな要素が突出しておらず、飲み進めれば飲み進めるほどに味わいに透明感が出てきます。口当たりから余韻にかけてのウッディネスとドライさも適度で、非常にコンテンツが豊富な、とても美味しいボトルだと思います。
このボトルも以前に個人宅での持ち寄り会に持参し、様々な飲み手に飲んでもらいました。
ボトルの香味分析として、以下のサイトの記事は参考になります。実際に飲んでもらいました。
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