穏やかで良くある構成ながら、熟成感、バランス共に良好。閉鎖蒸溜所のシングルカスク。
LINLITHGOW (St. MAGDALENE) 1982-2008 26Y. 63.7% Speciality Drinks Ltd (The Whisky Exchange), “The Single Malts of Scotland”
評価:★ ★ ☆
CP:☆ ☆
価格:¥ ¥ ¥
香り:
穏やかな香り立ちだが少しずつ強くなる。うっすらと白葡萄、度数由来のスッとしたアルコール揮発香、熟成感のある麦芽香、砂糖漬けのレモンピール、林檎、洋梨。
味わい:
度数相当の強烈な口当たり。バニラ、キャラメルといった甘い香味が現れるが、直後にプレーンなウッディネス、アプリコット、麦芽の甘みへと以降する。味わいに凝縮感があるが、余韻への移行は早い。
余韻:
ホットでドライ。味わいからそのまま以降し、ミントの清涼感を伴いながら中程度に持続する。
1983年に閉鎖されたローランド地域の蒸溜所、セント・マグデランの26年物。
英国のインディペンデントボトラーでもありThe Whisky Exchangeという酒販店も経営するSpeciality Drinks社の、『Single Malts of Scotland』というシリーズからの一本です。
リンリスゴーという呼称は蒸溜所の建設地の地名から採られていて、主にボトラーから発売される場合に用いられています。版権の関係で蒸溜所名をそのまま使用することが出来ないことが理由のようです。
シングルカスクですがボトリング本数は601本と多く、御察しの通りシェリーバットで熟成されています。しかし色味と香味からファーストフィルは考えにくく、おそらくサードフィル以降のプレーンに近い樽か、フィノやマンサニージャといったドライシェリーのリフィル樽が使用されているのではないかと思われます。
度数が高いため喉越しは強烈です。うっすらとした白葡萄の香りはあるものの、シェリーカスクを思わせる要素はそれくらいで、後はプレーンな樽感と麦芽の熟成感、そこに寄り添うようなフルーツ香という構成をしています。
香味の主張そのものはあまり強くなく、良くあると言ってしまえばそれまでですが、熟成年数相当の凝縮感と熟成感がきちんと感じられ、バランスに優れているところが好印象です。
セント・マグデラン蒸溜所の歴史は古く、蒸溜許可を得たのはなんと1797年。閉鎖に至るまでは栄光の歴史と近代経済の合理化の波との双方を経験した蒸溜所であったようです。やや古い記事ですが、Whisky Magazine Japanの記事(2013年11月)が良くまとまっています。