グレンキース 1968-2011 46% ゴードン&マクファイル コニッサーズチョイス

グレンキースが3回蒸留を実施していた頃の原酒。GMの加水ボトルに良く見られる味わい。


GLEN KEITH 1968-2011 46% GM Connoisseurs Choice.

評価:★ ★ ☆

CP:☆ ☆ ☆

価格:¥

 

香り:甘く、しっかりとした香り立ち。ミントのようなニュアンスと、マンサニージャやフィノを思わせるドライなシェリー香。ほんのりとサルファリー。酸化して変色した林檎、砂糖漬けのイチヂク、僅かにアプリコット、僅かにレーズン。グラスに注いでしばらく置くとそれらが落ち着いてきて、熟成感のある甘い麦芽香が立ち現れてくる。

味わい:度数以上にドライな口当たりから始まり、その後に甘さが強くなる。少し香ばしさのある麦芽の甘さと焦がした糖蜜の甘さで、個人的にはGMの加水ボトルで良く感じる組み合わせ。香ばしさや焦げ感はカラメル添加から感じられるものなのだろうか。僅かに樽由来の収斂味。

余韻:飲み込んだ後もドライかつスパイシーで、胡椒のようなビリビリとした刺激が持続する。僅かにミント。ややべったりとした甘さが残る。


グレンキース蒸溜所はストラスアイラ蒸溜所の姉妹蒸溜所として、第二次世界大戦後に建設された比較的新しい蒸溜所です。

2つの蒸溜所はスペイサイド地域のキース地区を流れるアイラ川を挟んだ対岸にそれぞれ位置し、現在の所有者はどちらもペルノ・リカール社です。1999年の蒸留を終えた後、一時操業停止となったグレンキースですが、2013年に蒸留が再開されたことは記憶に新しいかも知れません。操業年は資料によってまちまちですが、1957年から1960年の間に作られたことは確実なようです。このボトルの裏ラベルでは1958年操業となっていますね。ちなみに姉妹蒸留所であるストラスアイラの操業年は1786年で、これはスペイサイド地域の蒸溜所としては最古です。

シングルモルトとしてはあまり目立たないグレンキースですが、実験的な側面のある蒸溜所でもあり、ハイランド地域の蒸溜所としては珍しく創業当時から1980年代まで2回蒸留と3回蒸留の原酒を交互に生産していた時期があります。

今回のボトルは一時閉鎖前の貴重な原酒であるだけでなく、グレンキースがまだ3回蒸留を実施していた頃の原酒となります。

コニッサーズチョイスはGMの数あるシリーズの中でも比較的低価格の、いわゆるエントリーシリーズに当たるのですが、2011年ボトリングであるこのボトルの熟成年数は驚異の42〜43年。スペックだけ見ると相当なものです。価格は15000円程度と当時の同シリーズとしては高めだったものの、それでも今では考えられないくらいお値打ちの価格設定だったと思います。

ただ、味わいへの期待値を高く持ち過ぎるとあまり楽しめなくなるかも知れません。エントリーシリーズの中の一本として「加水の妙で整えられた味わいに潜む少し変わった個性を楽しむ」というスタンスでいるくらいが丁度いいと思います。

加水だということを差し引いても熟成期間から期待するような香味の複雑さには乏しく、グラスに注いでしばらく経つまでは熟成感のある麦芽香も奥に引っ込んでいます(そのため、グラスに注いでしばらく置いてから飲んだほうがいいと思います)。

基調には麦芽の甘さと焦がした糖蜜の甘さが合わさったような、コニッサーズチョイスに共通して見られることの多い、いわゆる『GM加水ボトル味』とでも言える味わいがあり、口当たりと余韻は度数からは想像しづらいくらいスパイシーでドライです。

楽しんで飲むには十分ではあるにせよ、このボトルを敢えてエントリーシリーズとして発売したGMは、色々な意味で侮れないというか、味わい的に分かってやっていると感じられてしまうボトルだと、個人的には思っています。

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