香ばしい麦芽香と焦がし砂糖。悪くはないが突き抜けない。今後はどうなるか?
Tomatin 1987-2012 25Y. 55.2% Whisk-E “World Wonders” selected and bottled by Morrison & Mackay whisky merchants.
評価:悪くない( ★ ★ ☆ – ★ ★ ★ )
CP:良くない( ☆ ☆ )
価格:¥ ¥
香り:穏やかな香り立ち。香ばしい麦芽の香りから始まる。合わせて蜂蜜、バニラ、焦がし砂糖の甘さと、ほんのりとグレープフルーツの酸味。木炭のようなうっすらとしたピート香。穏やかなウッディネス。このピート香が麦芽香に香ばしさを与え、黒糖の甘さに焦がした印象を与えていると思われる。
味わい:しっかりとした口当たり。スパイシーだが、すぐにローストした麦芽と黒糖の甘さが広がる。僅かにオイリー。滋味深い。
余韻:スパイシーさが戻ってくる。ミントの清涼感があり、麦芽の甘みと焦がし砂糖の甘さが持続する。
2012年にウィスクイーから発売されたオリジナルシリーズ「ワールドワンダース」の第一弾ボトル。1987年蒸留のトマーティンです。
このシリーズは、古代古典の世界七不思議に因んで7種類のボトルがリリースされました。今回のトマーティンのラベルにはその中からオリンピアのゼウス像が選ばれています。おそらくバーボンホグスヘッド熟成で、樽の出元はセレブレーションオブザカスクやカーンモアをボトリングしているモリソン&マッカイ社です。
香味はフルーツ香よりも麦芽香が主体の、言うなれば『麦芽系』と言える味わいの一本です。
最初は穏やかに始まり、徐々に開いてくると黒糖を思わせる甘さに加えて熟成感と香ばしさを伴った麦芽香、そこに適度なウッディネスと木炭を思わせる内陸系のピートが相まって、程良い奥行きを形成しています。基本に忠実な香味構成であり、度数も高いため飲み応えもあります。
ただ、熟成年数から考えるともう少し複雑さがあっても良かったかなと思えてしまい、悪くはないのですが今一歩な印象です。80年代から90年代にかけてのトマーティンらしい香味と言えばそうだろうと思います。
実際、発売当時も飲み手からは特に気の利いた評価を与えてもらうことが出来ず、そろそろ時代の中に埋もれる一本になりつつある予感がします。
さて、抜栓して5年近く経ち、グラスに注いでしばらく置くと香味の開きがまだあるとはいえ、もうあまり大きな変化もなさそうです。
ですが、今後はどうでしょう?
熟成感も含めて今後良くなりそうな要素は垣間見られるため、人の一生を見守るのと同じような感じで、ゆっくりと飲み進めていきたいと思います。
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