サルファリーは抜け切らない。しかし塩気と苺の甘さが徐々に現れてきている。もう数年はそのまま置いたほうがいいかも。
Longrow 1996-2011 14Y. 56% Cask#376, 564bottles
評価:★ ★ ☆
CP:☆ ☆ ☆
価格:★ ☆
香り:
しっかりとした香り立ち。まずはレーズンと苺、続いて塩気と燃やした干し藁のような印象のあるピート。ややサルファリー。スワリングが強過ぎると苺が消えるので静置させながらノージングしたほうが良いと思う。奥からプルーンと僅かに黒糖。
味わい:
度数相当の力強い口当たり。ボディは厚く、暖かい印象。レーズン、ミネラル感のある塩気(ブリニー)、樽由来の強めの収斂、麦芽、ブラックチョコレートのほろ苦さ。
余韻:
口当たりからそのまま移行する。ドライでスパイシー。レーズン、プルーン、ブラックベリーの甘さはやや残る。僅かにミントの清涼感。じんわりと長い。
少し古いボトルです。2011年に開催されたWhisky Live Tokyoのためにボトリングされた1996年蒸留のロングロウ。(ロングロウは、キャンベルタウン地域にあるスプリングバンク蒸留所で作られている、スプリングバンクよりピートを強めに焚いたシングルモルトです)。実はというか、蒸留所の責任者が選定した、いわゆる『マネージャーズチョイス』という割と特別なボトルでもあります。アモンティリャードシェリーカスク熟成というところも少し珍しいですね。香味構成的に、おそらくですがファーストフィルだと思います。
ロングロウのピートはアイラモルトのピートのようなヨードを思わせる薬品臭さや燻製を思わせる香りとは異なり、どちらかというと黒土やお灸を据えたときのような香りがします。内陸系(アイラ以外の地域というくらいの意味です)のピート香に近い印象があり、そこに塩気を伴うことで独特の香りを形成しているのだと、個人的には思っています。
このロングロウを抜栓したのは今から数年以上前のことですが、最初は硫黄の香りが本当に強烈で、もうこれはこのボトルの個性の一つなんじゃないかと腹を括ったくらいだったことを覚えています。
今回かなり久し振りに飲んでみましたが、硫黄の香りはやや抜けつつあると感じています。
レーズンやプルーンを思わせる甘さに、スプリングバンク蒸留所特有の塩気もしっかりと感じられ、それに加えて徐々に苺を思わせる甘さも現れてきました。ただ、これからもまだまだゆっくりと少しずつ香味が開き、自分の好みのベリー感が出てきてくれるだろうと期待しています。
抜栓時からおそらく時間がかかるとは思っていましたので、本領を発揮してもらえるまでのんびり待ちたいと思います。
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