濃密でオイリーな個性。メロンを思わせるエステル香と旨味のある麦芽香が秀逸。
CLYNELISH 1974 55.6% The Modern Masters of Scotland 199bottles.
評価:★★★☆-★★★★
CP:ほぼNR( ☆☆☆☆☆ )
価格:当時価格( ¥ )
香り:濃密。ややワクシーで、熟したフルーツを思わせるエステル香と蜜蝋、工業オイルに混ざった芳香族化合物のような印象も。ワックス成分を含むフルーツ、例えばメロン、キウイフルーツ。そこにナッツや僅かに酸化した油脂の香りが加わる。奥から現れる麦芽香は非常にジューシーで、熟成感が感じられる。香りは渾然一体としていて口に含んだ後の旨みやコクを予感させる。ややくぐもっている。
味わい:度数なりの力強い口当たり。ややオイリー。口の中をコーティングする。香りの要素を引き継ぎながら、麦芽の太い旨味が前面に出る。やや苦味のある収斂。
余韻:スパイシーでドライ。オイリーさは持続する。
随分昔に地方の酒屋さんで見つけたもの。このシリーズはDalriada Whisky Companyという今では全く名前の聞かないインディペンデントボトラーのもので、日本にはウィスク・イーが輸入していました。ラベルはスコットランド在住の画家、Peter Howson氏によって描かれています。
このシリーズからは75ベンリアックや82ブローラなどを含めて12種類がリリースされたようです。発売は2000年代初頭なので、もしかしたら各地のバーなどにはまだ在庫が眠っているところもあるかも知れません。どのボトルもラベルが特徴的なので、一度見れば忘れないでしょう。
ボトルを入れてあるチューブにはシリーズに使われているラベルの絵が散りばめられています。
70年代のクライヌリッシュ(クラインリーシュ)は1972年蒸留が有名なヴィンテージだと思いますが、このボトルのキャラクターはそれとは少し異なるものだと思います。残り少なくなって抜栓時よりも香味の開きが良くなってきており、メロンを思わせるエステル香と熟成感のある麦芽香が素晴らしいです。ややオイリーでこってりとしたところもクライヌリッシュの個性として充分に受け入れられるものだと思いますが、このあたりは好き好きでしょうか。余韻は一転してスパイシーでドライです。
なにはともあれ、総合的に見ても文句なく美味しいボトルだと思います。
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