クライヌリッシュ 1996-2016 51.8% アデルフィ、ヘルムズデール20周年記念ボトル 

20周年という節目に相応しい見事な内容。


CLYNELISH 1996-2016 51.8% ADELPHI, cask#11454, 236bottles only. 20th Birthday for Helmsdale, Tokyo.

評価:★ ★ ★ ☆ Recomend!

CP:☆ ☆ ☆

価格:¥ ¥


香り:しっかりとしていて濃密な香り立ち。麦芽香とフルーツ香が渾然一体としており、陶酔感がある。洋梨のコンポート、オレンジマーマレード、レモンティー、砂糖漬けのアプリコット、甘く熟成感のある麦芽香。ローストしたナッツのニュアンスも感じられる。

味わい:かなりしっかりとした口当たり。香りと比べて麦芽の甘みが前面に出てくる。適度なウッディネス。余韻へは思いの外早めに移行する。

余韻:麦芽の甘みがじんわりと残り、ミントの清涼感。僅かにオイリーな口中感覚。


西麻布のモルトバーでありイングリッシュパブでもあるヘルムズデールさんの20周年を記念してボトリングされた1996年蒸留のクラインリーシュ。総数236本のボトルは都内を中心に各地のバーに卸されたのですが、個人愛好家の手に渡ったボトルも多かったのではないかと思われます。ヘルムズデールさんでの直接販売の他、ウイスキー愛好家団体であるThe Whisky Hoopの会員向けにも購入の案内が届いたボトルでした。


美味しいボトルなので、見つけた際には是非飲んでみてほしいと思います。ただ、発売されたのは比較的最近ではあるものの一般流通に乗らなかったマニアックなボトルで、またモルトドリンカーの間で話題になったこともあり、Barではどこも売れ行き好調だったようです。現時点でこのボトルを飲めるBarはどこかと言われると何とも言えません。ウイスキーに力を入れているBarへ足繁く通い、バーテンダーやお客さんと知己を深めてボトルが残っているBarの情報を集めたりとか、個人愛好家がある程度抱えているボトルでもあるので、仲良くなってから個人開催の飲み会などに参加して抜栓してもらう(当然こちらも御礼として見合うものを持参します)というのが割と現実的な手段なような気もします。

写真のボトルはだいぶ量が減っていますが、これは自分のストックを仲間内でシェアしたためで、自分だけでここまで減らした訳ではありません。このたび預けていたボトルが返ってきたので、あらためてテイスティングしました。ちなみに写真にあるリボンとメッセージカードは、ヘルムズデールさんで直接頒布されたボトルに付属しているものです。

抜栓後から割と時間が経過していたせいもあるだろうと思いますが、香味の開きは絶頂を迎えていたと言ってもいいくらい見事に開いていました。グラスに注いだ瞬間から素晴らしいフルーツエステル香で、そこに雑味のない熟成された麦芽香が折り重なり、素晴らしい陶酔感を形作っていました。複雑で渾然一体としており、香りを嗅いでいるだけでも十分に楽しむことができます。ローストしたナッツを思わせる香りや、僅かにオイリーでもっさりとした口当たりなどは私が現行のクラインリーシュの個性として認識している要素ですが、そうしたものもきちんと感じられました。

価格に関しては販売当時やや高いと考えた方もいらっしゃったと聞きましたが、味わいを考えれば十分妥当だと思われたためCPの評価は平均的なレベルとなっています。

ただ、最近はシングルモルトに限らずウイスキーの価格が高騰してしまい、おいそれとは手が出せないボトルが増えてきているのは残念です。今回のボトルのように何人かで金銭を負担して中身をシェアするのは良い方法だと思います。

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