欠点は探せるものの十分に美味しく、CPの高いシングルモルト。
OLD PULTENEY 46% DUNCANSBY HEAD LIGHTHOUSE
評価:悪くない( ★ ★ – ★ ★ ☆ )
CP:高いです( ☆ ☆ ☆ ☆ )
価格:お値打ち( Standard )
香り:華やか。甘酸っぱい果実を思わせるエステル香と溌剌とした麦芽香。林檎、アップルパイとシナモン、プラム、アプリコット、奥からレーズン。
味わい:思いの外しっかりとした口当たり。麦芽の香味が主体となる。香りで感じられたよりも熟成年数の短い原酒に見られるような荒さがやや目立つが、ボディの厚みに寄与する範囲に上手く収まっている。
余韻:胡椒や唐辛子を思わせるスパイシーさが強めに現れる。ナッティでややオイリー。
ダンカンスビー・ヘッドは、スコットランドのウィックにあるプルトニー蒸留所(ウルフバーン蒸留所が出来るまではスコットランド本土最北の蒸留所でした)から、更に北に19マイルほど進んだところにある海峡に連なる岬の名前です。海流が渦巻き、昔から「地獄の口」と呼ばれていたほどに海難事故の多かったこの岬の上には、1914年から同じ名前の灯台が建てられています。その灯台の名を冠したこのウイスキーはプルトニー蒸留所が海外の免税店向けに発売したものですが、信濃屋さんが並行輸入で取り扱ったため、日本国内で入手出来ました。
バーボンカスクとシェリーカスクのヴァッテッドで、熟成年数の表記のないNAS(No Age Statement)の商品です。
プルトニーらしく麦芽の香味を主軸に置いた香味構成ですが、ノージングではヴァッテッドに使われているシェリーカスク由来の香りが全体に華やかさと彩りを添えているところが好印象です。確かに、口に含んだ時の麦芽の香味には、熟成年数の短い原酒に見られがちな角が取れていない荒さがあるものの、それが飲みごたえやボディの厚みに寄与する程度に上手く収まっていると思いました。そうした点で香味のバランスが比較的上手く取れていて、複雑さこそないものの十分な飲みごたえと味わいを持っており、価格から考えるとコストパフォーマンスの高いウイスキーだと思います。
このボトルで感じた香味バランスの取り方には、個人的にブラックニッカやノンエイジの竹鶴にあるものと近い方向性を感じます。若い原酒を用いてバランスを整える際にこうした味わいに持っていくと、あまり飲み手を選ぶことなく広く受け入れられやすいのだろうと感じました(勝手な意見ですが、仮にジャパニーズウイスキーが参考にされていたとすれば名誉なことなんじゃないかと思います)。
嬉しいことにリッター瓶なので、普段使いでどんどん飲んでしまえるところも、このボトルの良いところだと思います。
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