ウイスキーから宇宙へ。
評価:★ ★ ★
CP:NR
価格:NR
香り:
穏やか。ピートより先にベリーや葡萄を思わせる甘い香りが来る。ブルーベリー、レーズン、洋梨、その後にドライなピート(燻製ベーコンや魚介などのBBQ要素が前面に出ず、ヨードよりはクレゾールのような消毒液香で、軽い)。
味わい:
口当たりは滑らか。甘さとドライなピートの共演。その間からほんのりと麦芽の甘さが顔を出す。
余韻:
甘さが徐々に消えていき、ピートが残る。ピートは消毒液のようなニュアンスから燻製ベーコンのようなピーティーさにゆっくりと変化する。
2012年に発売されたアードベッグの限定ボトル。この年に、アードベッグ蒸溜所の原酒は宇宙空間におけるウイスキー熟成の影響を調べるという壮大な実験のためにスペースシャトルに積まれ、宇宙に向かって旅立ちます。そして3年後、蒸溜所200周年に当たる2015年に宇宙から帰還しました。
宇宙に打ち上げられ無重力下で熟成されたサンプルと、地球上で熟成されたサンプル(コントロールサンプル)とを比較した結果はこちらの論文(英語)に詳しく記載されています。
読めないながらもざっくり読んでみたところ、アルコール、エステル、アセタール、フェノールといったピートを含む原酒由来の成分では両者に有意な差は見られなかったものの、バニリン、芳香族アルデヒドなどの樽由来の抽出成分では実験サンプルがコントロールサンプルよりも有意に低い数値を示し、そこから無重力条件では樽からの成分抽出が抑えられるという結果が示唆されたということです。面白いですね。
そして、この実験を受けてサントリーもJAXAの協力を得て2015年から国際宇宙ステーション(ISS)でウイスキーサンプルを熟成させ、ウイスキーの円やかさを形成するメカニズムを調べる実験に着手しています。
ウイスキーから宇宙へ。