トミントウル 1967-2012 45Y. 44.6% TWA

香りに難しさがなく、非常に親しみやすい。


評価:★★★☆

特徴:難しくない。万人受けする。華やか。ハウススタイルは分かりづらい。


香り:穏やかな香り立ち。総じて華やかなエステル香が主体。買ってきたばかりの黄色いバナナ(グラッシーな要素を伴う甘さ)、林檎、オレンジの皮、洋梨、蜂蜜、僅かにバニラ、うっすらと桃、同じくうっすらとパッションフルーツ。万人受けすると思う。

口当たり:優しい。ボディは薄いが麦芽の甘さが感じられる。

余韻:口当たりから直ぐに余韻に移行し、若干のスパイスを伴いながら、ノージングで現れた各種フルーツ香が広がっていく。ウッディネスが強くなり、それに伴い木樽の収斂が現れる。桃、バナナ、蜂蜜などがノージングよりも分かりやすくなる。


ウイスキーエージェンシーから2012年にリリースされたトミントウル。この頃を今振り返ってみると、一世を風靡した76トマーティンのリリースが終わりを迎えた後にそれに変わるトロピカルなモルトを各社が探していた時期だったのではないかと思います。結果として76トマーティンの持つトロピカル感をそのまま引き継ぐ別のモルトは見つけられなかったものの、次代を担うものとして注目されたのが90年代のリトルミルと、次点としての60年代のトミントウルだったような気がします。ちょうどこの時期に、ボトラーズ各社からこれらのヴィンテージのリトルミルやトミントウルが複数リリースされていたことから、私が勝手にそう思っているだけかも知れませんが。いずれにせよ、この流れは一時的というか、長くは続かなかったようです。特にトミントウルのほうはリトルミルに比べてリリースが少なかったようで、私はこの時期の60年代トミントウルをこのTWAのボトルの他はシルバーシールのボトルくらいしか知らないのでした。蒸留所の知名度が低いことやオフィシャルボトルにもこれといった特徴がないこと、またリリースされたボトルの熟成年数が長く、それに伴って当時としても価格が相応に高かったこと、60年代蒸留の原酒がそこまでたくさん残っていた訳ではなかっただろうことなど、リリースが少ない理由は色々考えられます。そしてこの時期を境にこのところボトラーズから長熟トミントウルの新規リリースは全くと言っていいほど見なくなりました。

このTWAのトミントウルはノージングから続く要素に富んだフルーツ香が非常にキャッチーで、飲み手を選ばずに好意的に受け入れられるボトルだと思います。こうした香味を指して、もしかしたら「いわゆるエージェンシー味」と言う方もいらっしゃるかも知れません。飲んで損はない美味しいボトルだと思います。

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