2026-09-10
今日の要点
- EUの2025年蒸留酒輸出は6%減。新たな業界報告書が米国・中国の市場環境悪化を指摘した。
- SWAが英国の秋季予算に酒税引下げを要請。MGPは社名を冠した新ブランドを米国で投入する。
- アードベッグY2K25年の日本発売日が決定。「るろうに剣心」ラベルは抽選受付に入った。
- コニャック樽での全期間熟成や発酵時の蒸留残液再利用など、新商品の製造条件も明らかになった。
本日の一面
1
EUの蒸留酒輸出、2025年は6%減 業界団体が貿易報告書を公表
2026年版報告書が前年実績を集計。EU27カ国の蒸留酒輸出額の21%をウイスキーが占める。
欧州の蒸留酒業界団体spiritsEUROPEは9月8日、2026年版の貿易報告書を公表した。2025年のEUの蒸留酒輸出額は82億6,000万ユーロで、前年から6%減少した。同報告書によると、ウイスキーはEU27カ国の蒸留酒輸出額の21%を占める。団体は米国と中国の市場環境悪化を指摘し、既存市場との安定した通商関係と輸出先の分散を求めた。6%減は蒸留酒全体の数値で、ウイスキー単独の減少率ではない。
重要な理由: ウイスキーを含む欧州の輸出産業が、主要市場の減速と販路分散に直面している。
次の観測点: EUと米国・中国の通商協議、および次回の国別・品目別輸出統計が焦点となる。
注目ニュース
2
SWA、英国の10月予算で蒸留酒の酒税引下げを要請
税負担の格差是正を求める業界提言。減税が決まったわけではない。
スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は9月9日、英国財務省に提出した2026年秋季予算への提言を公表した。蒸留酒の酒税引下げと、ビールやサイダーとの税負担格差の是正を求めている。国内投資と雇用を支える措置として位置付け、インド、米国、中国などへの輸出機会にも言及した。今回の公表は業界側の要望であり、政府による減税の決定ではない。
重要な理由: 酒税の水準は英国のウイスキー販売と蒸溜所の投資判断に関わる。
次の観測点: 10月の英国予算で、蒸留酒の税率や適用時期がどう示されるかが焦点となる。
3
アードベッグ「Y2K 25年」、9月24日に日本発売
2000年蒸留のY2Kシリーズ最終作。国内価格と販売開始日が発表された。
モエ ヘネシー ジャパンは9月8日、アードベッグ「Y2K 25年」を9月24日に日本で数量限定発売すると発表した。2000年蒸留の原酒によるY2Kシリーズの最終作で、バーボン樽熟成後にスペインのボデガ・ヌマンシアの赤ワイン樽で仕上げた。700ml、48%、希望小売価格は税込13万7,940円。コミッティーストアや全国の酒販店で取り扱う。 【9月10日訂正】発表元の社名を「モエ ヘネシー ジャパン」に訂正しました。
重要な理由: 日本向けの発売日・価格・販路が示され、シリーズ最終作の購入条件が具体化した。
次の観測点: 9月24日の発売に向け、取扱酒販店が案内する販売方法が実用上の確認点となる。
発表
4
MGP、社名を冠した新ブランドを発表 第一弾は10年熟成バーボン
受託生産で知られるローレンスバーグの蒸溜所が、自らの名を前面に出す。
MGP Ingredientsは9月9日、社名を冠したウイスキーブランド「MGP」を発表した。第1弾は10年熟成のストレートバーボン「Chapter One: Out of the Shadows」で、今秋に米国で数量限定発売する。750ml、55.5%、希望小売価格69.99ドル。同時にインディアナ州ローレンスバーグの拠点名称をMGP Distilleryに戻す。
重要な理由: 他社向け原酒でも知られる生産者が、社名そのものを消費者向けのブランドとして展開する。
次の観測点: 今秋の米国取扱店と、発表された新ブランドの販売展開が次の確認点となる。
発表
5
Cask Trade、30本からの自社ラベル瓶詰めサービスを開始
樽単位の購入を不要にした小口受託。企業や店舗向けに年末ギフトから展開する。
Cask Trade Bottlingは9月9日、樽を丸ごと購入せずに自社ラベルのウイスキーを注文できるサービスを発表した。最小注文数は30本。初回の年末向け企画では、2015年蒸留・11年熟成のスペイサイド産ウイスキーを46%、700mlで用意し、価格は1本50ポンドに付加価値税が加わる。9月25日までの注文分を12月4日までに届ける予定としている。
重要な理由: 樽単位ではなく小口で発注でき、飲食店や企業が独自ラベルを用意する際の最低数量が下がる。
次の観測点: 初回の注文期限は9月25日。利用時には配送対象地域とラベル制作条件の確認が必要となる。
6
オレゴンのウイスキーフェスに10〜16年熟成品 地元蒸溜所の原酒が充実
地域紙が複数蒸溜所の熟成原酒を取材。一般向け試飲は9月19日に開かれる。
米オレゴン州ベンドの地域紙The Sourceは9月8日、同州のウイスキーフェスティバルで長期熟成品の出品が増えていると報じた。Oregon Spiritは10年熟成バーボン、McMenaminsは14年熟成ライと16年熟成シングルモルトを用意する。同紙の取材に対し、Oregon Spiritのブラッド・アーウィン氏は2棟の熟成庫に約2,500樽を保有すると説明した。一般向け試飲は9月19日に開かれる。
重要な理由: 地元の小規模生産者が蓄えてきた原酒に長期熟成品が増え、提供できる年数の幅が広がっている。
次の観測点: 9月19日の一般試飲で提供される銘柄と、各蒸溜所の長期熟成品の販売案内が観測点となる。
7
ゴードン&マクファイル、世界マーケティング責任者にジョー・クームバー氏
ベンロマックとザ・ケアンを含むブランド育成・海外展開を担当する。
ゴードン&マクファイルは、グローバル・マーケティング・ディレクターにジョー・クームバー氏を迎えた。9月9日付の会社発表によると、同氏は25年以上の経験を持ち、近年はサントリー・グローバル・スピリッツなどにブランド戦略を助言していた。ゴードン&マクファイル、ベンロマック、ザ・ケアンのブランド育成と海外展開を担う。
重要な理由: 独立瓶詰めと二つの蒸溜所ブランドを擁する企業で、海外市場の販売戦略を担う体制が変わる。
次の観測点: 各ブランドの新たな販売市場や流通施策の公表が、今回の人事に続く観測点となる。
8
キルホーマン、コニャック樽で全期間熟成した2026年版を発表
2019年蒸留の33樽を使用。コニャック樽フィニッシュではなく、熟成の最初から同樽を使う。
キルホーマンは9月8日、「Cognac Cask Matured 2026」を発表した。2019年蒸留の原酒を33樽のファーストフィル・コニャック樽で全期間熟成し、50%で瓶詰めする。後熟だけにコニャック樽を使う製品とは異なり、熟成の最初から同じ樽を使った。英国と欧州では発表週から販売する。
重要な理由: 樽の種類だけでなく全期間熟成か後熟かを区別でき、製品の造りを理解する材料になる。
次の観測点: 英国・欧州の販売開始と、各市場の輸入代理店による取扱案内が確認点となる。
発表
9
Parker’s Heritage第20弾は14年熟成バーボン ライの蒸留残液を発酵に使用
発酵条件に特徴を持たせた限定品。100樽を選び、度数59%で瓶詰めする。
ヘブンヒルは9月8日、Parker’s Heritage Collection第20弾となる14年熟成バーボンを発表した。発酵にはライウイスキーの蒸留残液を一部再利用し、4棟の熟成庫で育てた100樽を使用する。アルコール度数59%、750ml、希望小売価格199.99ドル。9月から米国を中心に数量限定販売する。
重要な理由: 熟成年数に加え、発酵で使う蒸留残液の由来を示し、バーボンの製造条件の違いを伝えている。
次の観測点: 9月の米国販売と、同社が予定する一部海外市場での取扱案内が次の確認点となる。
発表
10
ブラウンフォーマン、「Kentucky Boy」を復活 クリス・モリス氏の勤続50年を記念
9月10日に披露し、11日から限定販売。休眠していた銘柄を記念商品として再び投入する。
ブラウンフォーマンは9月8日、名誉マスターディスティラーのクリス・モリス氏の勤続50年を記念し、休眠ブランド「Kentucky Boy」を復活させると発表した。度数50%、希望小売価格99.99ドルの限定バーボンで、9月10日にケンタッキー・バーボン・フェスティバルで披露する。翌11日からオールドフォレスター蒸溜所などで数量限定販売する。
重要な理由: 蒸留担当者の世代継承を、休眠ブランドの一度限りの復活という製品で示した。
次の観測点: 9月11日の販売開始。米国オンライン販売は対象州が限られるため、購入条件の確認が必要となる。
発表
新製品・発売情報
11
WhistlePig、糖蜜とタイガーナッツを使う樽仕上げのBoss Hog第13弾を予約開始
先行予約は9月9日、米国での販売拡大は29日。ブラックハニーは蜂蜜ではなく糖蜜を指す。
ホイッスルピッグは9月9日、ライウイスキー「The Boss Hog XIII: The Golden Pharaoh」の先行予約を開始した。糖蜜と、食用塊茎であるタイガーナッツを使って調整した樽で後熟する。750ml、51.3〜52.8%、希望小売価格599.99ドル。9月29日から米国で販売を広げる。
重要な理由: 糖蜜と食用塊茎を用いた樽処理で、ライの後熟方法に新たな組合せを加えた。
次の観測点: 9月29日の米国での販売拡大と、各販売先の取扱条件が確認点となる。
予約
13
ボアン、チョコレートビターズ樽仕上げの5年熟成品 9月21日から会員向け販売
264本の単一樽限定品。一般向け販売は会員販売後に在庫がある場合に限る。
ボアン蒸溜所とStories & Sipsは、チョコレートビターズ樽で後熟した5年熟成のシングルポットスチル・アイリッシュウイスキーを発売する。9月8日付の販売者発表によると、1樽から264本を瓶詰めし、度数54%、価格120ユーロ。9月21日にクラブ会員向け、在庫が残れば26日に一般向け販売を始める。
重要な理由: クラブ会員向けの小規模企画だが、後熟樽の由来と一般販売に移る条件が明示されている。
次の観測点: 9月26日に在庫が残った場合の一般向け販売。
発表
14
「るろうに剣心」ラベルのミルトンダフ2012、抽選受付を開始
国内向けの抽選は116本。会員登録と同居人を含む応募制限に注意が必要となる。
WHISKY MEWは9月9日正午、「るろうに剣心」ラベルのミルトンダフ2012の抽選予約受付を開始した。価格は税込2万2,000円で、抽選販売分は116本。申し込みは会員登録が必要で、1人2本まで、同居人の重複応募は無効となる。締切は9月15日23時59分。当選案内は18日頃、出荷は24日からを予定し、発送先は日本国内に限る。
重要な理由: 告知段階から実際の申込受付に移り、国内の読者が応募できる期間に入った。
次の観測点: 9月15日23時59分の締切と、18日頃に予定する当選案内。
抽選
国内短信
12
第23回ウイスキー検定、1級の受験票を発送 未着時の受付日程を案内
1級と在宅試験で未着問い合わせの期間が異なる。受験者は配送状況の確認が必要となる。
ウイスキー検定実行委員会は9月9日、第23回検定1級の受験票を発送したと発表した。9月17日までに届かない場合の問い合わせは、18〜25日の10〜18時(土日祝日を除く)に受け付ける。3級・2級・ジャパニーズクラフト級の在宅受験キットは7日に発送済みで、こちらの未着問い合わせは15〜17日。受験区分ごとに受付期間が異なる。
重要な理由: 受験票・キットの未着対応には区分ごとの期限があり、受験者の手続きに直結する。
次の観測点: 在宅試験の未着受付は9月15〜17日、1級は18〜25日(土日祝を除く)。