2026-09-19
今日の要点
- イングリッシュウイスキーGIを巡り、スコットランド経済相が承認撤回を要請。登録予定日は10月1日のまま。
- ブラウンフォーマンが5億ドルの社債発行条件を決定。インドABDはモルト原酒内製化へ製造免許を取得した。
- 富士初の12年物は海外・国内空港免税で先行発売へ。静岡はゴールデンプロミス100%の5年物を発表した。
- ウェルシュウイスキーGIの仕様変更申請が公表された。具体的な変更案と意見募集は今後の確認点となる。
- 大手町のJAPAN SPIRITS FESTIVALが出品酒を発表。久住の蒸溜所限定品は9月21日発売予定。
本日の一面
1
スコットランド経済相、イングリッシュウイスキーGIの承認撤回を要請
業界の反発に自治政府の書簡が加わった。政府登録簿の10月1日登録予定は変わっていない。
9月18日配信のPA通信によると、スコットランド自治政府のスティーブン・フリン経済相が英国のアンジェラ・イーグル環境相に書簡を送り、イングリッシュウイスキーの地理的表示(GI)承認の撤回と仕様の修正を求めた。フリン氏はシングルモルトの製造要件や銅製蒸溜器の扱いに異議を唱え、英国の4地域が重要な修正を協議すべきだと主張した。政府登録簿では10月1日の登録予定が維持されている。
重要な理由: 反対が業界団体から自治政府による撤回要請へ広がり、シングルモルトの定義と英国GIの運用が争点となった。
次の観測点: 書簡への英国政府の正式回答、仕様修正の有無、10月1日の登録を確認する。
注目ニュース
2
ブラウンフォーマン、5億ドルの社債発行条件を決定
5年債の利率は5.375%。借入返済や設備投資などに充てる方針を示した。
ジャックダニエルなどを展開するブラウンフォーマンは9月17日、総額5億ドルの無担保社債の発行条件を発表した。期間は5年、利率は年5.375%、満期は2031年10月15日。調達資金は借入金の返済、設備投資、配当など一般事業目的に充てる方針を示した。個別の買収や投資先を決定した発表ではない。
重要な理由: 主要ウイスキーメーカーが中期資金の調達条件を示した。今後の投資・還元方針を判断する材料になる。
次の観測点: 社債の発行完了と、その後の決算・開示で資金の使途を確認する。
3
キリン「富士」初の年数表記、12年シングルグレーンを海外・国内空港免税で展開
「富士」初の年数表記12年。英仏→米国・国内空港免税→国内一般販売の順で展開する。
キリンビールは「KIRIN SINGLE GRAIN JAPANESE WHISKEY FUJI AGED 12 YEARS」を発表した。「富士」ブランド初の年数表記で、英国・フランスは10月、米国と羽田・成田・関西の国内空港免税店は11月から展開予定。700ml・48%、ノンチルフィルタードで、国内一般発売は2027年以降を予定する。
重要な理由: 「富士」初の年数表記を海外と空港免税から先行投入し、日本産ウイスキーのGTR成長と商品戦略がつながった。
次の観測点: 10月の英仏、11月の米国・国内空港免税での実売開始と、2027年以降の国内一般発売条件を追う。
発表
4
Allied Blenders、テランガナ州で年440万BLのモルトスピリッツ製造許可
年約440万BLの製造許可で、外部調達からモルト原酒の内製化へ進む。
インドのAllied Blenders and Distillersは、テランガナ州当局からRangapur拠点で飲用モルトスピリッツを年約440万バルクリットル製造する許可を取得した。これまで外部調達していたモルトスピリッツを内製化でき、自社シングルモルト開発の基盤にもなる。マハラシュトラ州の新規モルト蒸溜・熟成投資とは別拠点の進展となる。
重要な理由: 外部調達していたモルトスピリッツを年440万BL規模で内製可能になり、シングルモルト参入の供給基盤が具体化した。
次の観測点: Rangapurでの商業生産開始時期、原酒内製比率、Aurangabadの新設計画との役割分担、自社シングルモルトの発売計画を追う。
5
シングルモルト・ウェルシュウイスキーGIに仕様変更申請 英国政府が一覧を更新
提出日は9月13日。具体的な変更案は一覧に示されず、公衆意見募集もまだ始まっていない。
英国政府は9月16日、蒸留酒の地理的表示(GI)申請一覧に、シングルモルト・ウェルシュウイスキーの仕様に関する非標準変更申請を追加した。提出日は9月13日と記載されている。公衆から意見を募る段階には入っておらず、一覧には具体的な変更内容は示されていない。変更の承認や発効を知らせる発表ではない。
重要な理由: 既存GIの仕様変更に向けた手続きが公表された。対象生産者の製造・表示条件を追うための公式記録となる。
次の観測点: 政府一覧で変更案の公開と意見募集開始を確認し、対象となる製造・表示要件を特定する。
6
静岡蒸溜所、ゴールデンプロミス100%のポットスティルK5年を10月下旬発売へ
旧軽井沢由来の初留釜Kと英国産ゴールデンプロミスを使用。500ml、50.5%、税込13,948円。
ガイアフローは9月18日、「静岡 ポットスティルK 5年 100%外国産大麦 ゴールデンプロミス 2026年版」の10月下旬発売予定を発表した。英国産ゴールデンプロミスを100%使い、旧軽井沢蒸留所から受け継いだ初留釜Kを使用する。500ml、50.5%、希望小売価格は税込13,948円。全国の酒販店とWHISKY PORTで扱う予定で、同通販の抽選案内は10月12日までに登録したWHISKY PORT会員およびメルマガ会員に送る。
重要な理由: 大麦品種と蒸留設備を明示した新作で、購入希望者には会員登録期限も関係する。
次の観測点: 10月12日の登録期限と、10月中旬の抽選案内、下旬の発売を確認する。
発表
7
元セントキリアンのマリオ・ルドルフ氏、独ハーバーシュトゥンプフでウイスキー事業を担当
2020年に委託蒸溜した原酒の商品化を計画。ルドルフ氏は当時の初回蒸溜にも携わった。
ドイツのハーバーシュトゥンプフ醸造所は9月15日、マリオ・ルドルフ氏を事業所責任者に迎え、ウイスキー事業の開発を進めると発表した。ルドルフ氏は過去11年、セントキリアン蒸溜所の幹部を務めた。同醸造所は2020年から独自のビール醪を蒸溜して樽熟成しており、最初の6年熟成品を今後披露する予定だ。初回の蒸溜をセントキリアンで担当したのも同氏だった。
重要な理由: 委託蒸溜で熟成させてきた原酒の商品化に向け、製造を知る責任者が移籍して事業化を担う。
次の観測点: 初回6年熟成品の正式な商品仕様、瓶詰め本数と発売日を確認する。
8
Glasgow Distillery、初のピーテッド10年を発売 2016年の初期原酒が節目へ
2016年に始めたピーテッド原酒が10年へ到達。ex-Bourbon3樽を54%で瓶詰めした。
The Glasgow Distilleryは、ピーテッドウイスキー生産10年を記念する「Glasgow 1770 10 Year Old Peated」を発売した。2016年に始めたピーテッド原酒の初期ロットから、ex-Bourbon樽3樽(リフィル2、ファーストフィル1)をヴァッティング。54%で、10年間のアメリカンオーク熟成を前面に出す。
重要な理由: 2016年に始まったピーテッド生産が10年熟成へ到達し、新興蒸溜所の初期原酒が成熟帯へ入る節目を示す。
次の観測点: 年内に予定するドイツとフィンランドでの販売開始と、今後の長期熟成品の公式発表を確認する。
発売
9
JAPAN SPIRITS FESTIVAL、9月26・27日の出展蒸溜所・出品酒を発表
大手町で開催する国内蒸留酒イベントの出品酒を公開。入場無料、試飲有料で業界向け時間も設ける。
JAPAN SPIRITS FESTIVALの主催者は9月18日、9月26・27日に東京・大手町ゲートビルディングで開くイベントの出展メーカーと出品酒を発表した。ウイスキーでは三郎丸、井川、御岳などが参加し、山崎18年を含む受賞酒やライスウイスキーの企画も設ける。入場は無料だが試飲は有料で、1枚250円の専用コイン2枚から。両日12〜14時には酒販・飲食などの業界関係者向け時間を設定する。
重要な理由: 複数の国内蒸溜所の出品が確定し、一般来場者と酒販・飲食関係者が参加を判断できる。
次の観測点: 9月26・27日の開催までに、出品酒の変更と業界関係者向け参加条件を確認する。
10
ローヤルサルート、東京のホテルバーを3カ月ブランド空間化 サンディ・ヒスロップ氏も来日
ホテルバーを3カ月のブランド体験拠点にし、来店・再来店まで一体で設計する。
ペルノ・リカール・ジャパンは10月1日から12月31日まで、ハイアット リージェンシー 東京のバー「オードヴィー」でローヤルサルートの体験企画を実施する。10月2日には名誉マスターブレンダーのサンディ・ヒスロップ氏による20名限定マスタークラスと、カクテル&フードのペアリングイベントを開催する。
重要な理由: 限定イベントだけでなく、3カ月のバー空間・カクテル・再来店特典まで組み合わせ、オンプレミスで継続接点を設計した。
次の観測点: 10月2日のマスタークラスとペアリングイベント、12月31日までの限定メニュー・参加条件を確認する。
発表
新製品・発売情報
11
GEEKSTILL×吉田電材蒸留所、グレーンウイスキー樽で18カ月熟成したジンを発売
吉田電材のグレーンウイスキー樽でジンを18カ月熟成。国内蒸溜所間で樽を循環させる。
山梨のGEEKSTILLは、新潟の吉田電材蒸留所でグレーンウイスキー熟成に使われた樽へジンを入れ、18カ月熟成した「AMRTA CASK AGED GIN GRAIN CASK 1st」を9月18日に390本限定で発売した。500ml・40%・税込8,800円。ウイスキー樽を異なる蒸留酒へ循環させる蒸溜所間協業として注目できる。出荷は9月28日から。
重要な理由: グレーンウイスキー樽を国内の別蒸溜所へ渡し、18カ月のジン熟成に使うことで、樽資産と蒸留技術の横断利用を示した。
次の観測点: 9月25日の開栓イベント、樽の再利用履歴の開示、ウイスキー樽を介した蒸溜所間コラボが継続するかを追う。
発売
12
久住蒸溜所、大分限定「モルト&グレーン」を発売 県産大麦原酒を初使用
県産大麦の自社原酒を初使用し、高価格化とは逆に地元の食中ハイボールへ寄せた。
久住蒸溜所は9月18日、大分県限定の「久住蒸溜所 モルト&グレーン」を発売した。大分県産大麦で仕込んだ自社原酒を一部使用する同蒸溜所初のウイスキーで、グレーンウイスキーと組み合わせ、食事に合うハイボール専用として価格を抑えた設計。
重要な理由: 自社県産大麦原酒を初めて商品へ入れつつ、グレーンとのブレンドで価格を抑え、地元の食中ハイボール需要へ振った。
次の観測点: 大分県内での取扱店・実売反応、ハイボール用途の定着、県産大麦原酒の比率拡大と次の商品化を追う。
発売
13
In the Welsh Wind、ウェールズ産モルトを束ねる3部作完結「Meirion」を発売
自社green maltを核にウェールズ産モルトを束ね、地域そのものをブレンドで表現する三部作の最終作。
ウェールズのIn the Welsh Windは、Blended Welsh Malt Whisky三部作の第3弾「Meirion」を発売した。自社のgreen maltを軸に他のウェールズ産モルトを組み合わせ、軽いピートを用いる。46%・700ml、ノンチルフィルタードで60ポンド。前作Ceredigよりgreen maltの比率を高めた。
重要な理由: 自社蒸溜原酒だけで完結せず、ウェールズ産モルトを束ねて地域の味を作るという別の“産地性”を商品化した。
次の観測点: 三部作後の継続方針、green maltの使用比率や供給、ウェールズ産モルト間の協業が広がるかを追う。
発売
14
久住蒸溜所、限定ボトル第2弾「C635」を9月21日に店頭発売へ
バーボンバレルで4年1か月熟成した単樽。PXシェリーカスクを使った第1弾に続く。
久住蒸溜所は9月18日、蒸溜所限定の「Distillery Exclusive」第2弾「C635」を9月21日から店頭販売すると発表した。バーボンバレルで4年1か月熟成したシングルカスクを瓶詰めした。6月末に発売した第1弾はPXシェリーカスクの「C1920」で、同社によると1か月足らずで完売していた。
重要な理由: 蒸溜所限定品の次回販売日が具体化し、来訪して購入する読者の予定に関わる。
次の観測点: 9月21日の店頭販売と、公式が案内する購入条件・在庫状況を確認する。
発表
16
The Caskhound、ArdmoreとGirvanをマルサラ樽で仕上げた2種を同時発売
独立ボトラーThe Caskhoundは、2008年蒸留のスモーキーなArdmoreと2005年蒸留のGirvan single grainを、いずれもマルサラ樽で仕上げた2商品として発売した。モルトとグレーンという異なる原酒を同じシチリア系酒精強化ワイン樽で比較できる構成になっている。
発売
国内短信
19
メーカーズマーク、仙台で来場者自身が赤い封蝋を仕上げる体験イベント
ブランドの象徴である赤い封蝋を、消費者自身が仕上げる参加型体験として仙台で展開。
仙台市青葉区のアエル広場で、バーボンウイスキー「メーカーズマーク」の封蝋を体験するイベントが開かれている。9月18日の東北放送の報道によると、全国を巡る「Premium Maker’s Market」の9か所目の開催地となる。参加者はボトルを赤い蝋で封じ、オリジナルのラベルを貼って仕上げる。仙台会場の開催は9月20日まで。
重要な理由: ブランドの象徴的な製造工程を消費者に開放し、パッケージの記号を参加型体験と所有記憶へ変える施策になっている。
次の観測点: 9月20日までの開催案内と、主催者による今後の開催地・参加条件を確認する。
20
宮下酒造、岡山トリプルカスクの9月抽選を受付中 27日まで
岡山県産麦芽100%、3種類の樽を組み合わせた定番の今月分抽選。700ml・43%・税込19,800円。
宮下酒造は「シングルモルトウイスキー岡山 トリプルカスク」の9月定期抽選販売を9月14日から27日まで受け付けている。岡山蒸溜所15周年を記念して4月に始めた企画の今月分となる。岡山県産二条大麦麦芽を100%使い、ブランデー、シェリー、ミズナラの各樽で3年以上熟成した原酒を合わせる。700ml、43%、税込19,800円。
重要な理由: 通常のネット販売がない商品の購入機会で、応募期間が明確に示されている。
次の観測点: 9月27日の応募締切と、公式商品ページに掲載される抽選・購入条件を確認する。
抽選
海外短信
15
ジョニーウォーカー、エディンバラの旧警察ボックスを試飲・音楽拠点に転用
体験施設の建物外へ展開。9月19日の開業後も試飲やライブ、期間限定企画を予定する。
ジョニーウォーカーはエディンバラの体験施設前にある旧警察ボックスを改装し、「The Johnnie Walker Booth」を9月19日に正式オープンする。試飲や音楽、期間限定イベントを通年で行う拠点とし、初日は現地時間13〜16時にスコットランドの音楽レーベルLost Map Recordsが選んだライブを実施する。ブラックラベルを使うカクテルの提供と、既存施設の店舗・バーへの特典も用意する。
重要な理由: 既存のウイスキー体験施設の接点を街路へ広げ、音楽と試飲から店舗・バーへ誘導する。
次の観測点: 9月19日の正式開業と、その後に公表する試飲・ライブの通年プログラムを確認する。
17
Whisky Live Germany、追加7マスタークラスを発表 9月21日に販売開始
Whisky Live Germanyは10月10・11日にハンブルクで開く2026年大会の追加マスタークラス7枠を発表した。Billy Walker、Andrew Symington、Fred Laingらが登壇し、追加分のチケットは9月21日10時から販売。2回目の開催で、一般日と業界日を分けた教育コンテンツを拡充する。
発表
18
独SiSa「Essential Drams #2」、投票を基に運営が試飲用6本を選定
ドイツのSimple Sampleは、コミュニティ投票を基に運営が選んだ6本を飲み比べる「SiSa Essential Drams #2」の最終ラインアップを決定した。Bushmills 21、Clynelish 18、Ben Nevis 24、Glengoyne 25、Port Charlotte 18、Laphroaig 25を各2cl、計12clで54.90ユーロ。オンライン試飲は10月7日。
発表